習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

藤田宜永『女系の教科書』

2018-03-05 23:11:31 | その他
  カバーイラストを見て、これは読みたくないな、と思った。内容も含めての話だ。60代前半の男性が主人公だ。リタイアして、今では週に2度カルチャーセンターで小説の書き方を教えている元雑誌編集者。妻に先立たれて子どもたちと同居している。女ばかり。怒濤の3ヶ月間のお話。自分の5年後を見ている気分にさせられる。90になる母親の介護の問題も抱える。いろんな状況が今の僕と同じで、カバーイラストのじいさんは他 . . . 本文を読む
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南船北馬『さらば、わがまち』

2018-03-05 21:54:33 | 演劇
常に果敢に新しい挑戦に挑む棚瀬美幸の新作は、社会的マイノリティをテーマにした。オーディションで自ら社会的マイノリティであると自認する人たちを集め、彼らに自分を演じてもらう。もちろん、すべてが事実である必要はない。自分をモデルにした人物を演じるのだ。ベースとなるお話はソートン・ワイルダーの「わが町」なのだが、筋書きをなぞるわけではない。それどころか原作の骨子すら残さないくらいのオリジナルになっている . . . 本文を読む
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『アズミ・ハルコは行方不明』

2018-03-03 18:12:13 | 映画
  よくもまぁ、こんな無茶苦茶な映画を作ったものだ。松居大悟監督は前作『私たちのハァハァ』でも大胆な作り方をしていたけど、今回も果敢に観客の神経を逆なでにするような作劇を施す。まず何よりもこの編集は狡すぎる。タイミングを外してわざと混乱させる。時制の不一致を誘発するような、混乱を故意に招くような、そんな編集だ。アズミハルコの失踪以前と以後をごっちゃにして見せていく。だからアズミハルコは最後まで行 . . . 本文を読む
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『空海  KU-KAI』 

2018-03-02 21:54:01 | 映画
のチェン・カイコーの新作だ。前作『道士下山』は劇場公開すらされず、DVD公開となったが、とても面白い作品で僕は一応満足した。だけど、昔の凄い映画とは明らかに違う。あの頃の彼の映画とは、もうまるで違う。それが悲しい。今回もエンタメである。絢爛豪華な絵巻物。最初から高望みはしない、と覚悟して劇場に向かう。だが、失望は大きい。 この映画に先立って予習も兼ねて、昨年ようやく公開されたチャン・イーモウの『 . . . 本文を読む
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off-Nibroll Presents『源氏物語+Dance in Asia2018』

2018-03-02 20:51:10 | 演劇
 ブラックチェンバーでの公演「Dance in Asia』は、5つのダンス・パフォーマンスのいずれもとても刺激的で、確かにコンテンポラリーダンスっておもしろいよ、と再認識させられた。久しぶりでダンス公演を見て、相変わらず「わからないや、」と思いながらも、10分から15分ほどの作品群がそれぞれ個性的で、ダンサーの動きの美しさと、その意味するものを探しながら見ている瞬間はとても楽しい。僕が見たのは、「 . . . 本文を読む
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コンブリ団『ムイカ 再び』

2018-03-02 19:56:10 | 演劇
ムイカ再び、どころか今回で三度(みたび)、なのだが、それでも新鮮な感動がここにはある。それはこれが広島を扱った芝居だから、はなく、はしぐちさんの語り口が見事だから、ついつい乗せられてしまうのだ。同じ話を3度見ても鮮度が落ちないのは、わかった話を語るからではなく、どこに行きつくのかわからない話を語るからだ。もしかしたら、これは広島にも原爆にもたどりつかないのではないか、とすら思う。そして、もうそうな . . . 本文を読む
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