ブラックチェンバーでの公演「Dance in Asia』は、5つのダンス・パフォーマンスのいずれもとても刺激的で、確かにコンテンポラリーダンスっておもしろいよ、と再認識させられた。久しぶりでダンス公演を見て、相変わらず「わからないや、」と思いながらも、10分から15分ほどの作品群がそれぞれ個性的で、ダンサーの動きの美しさと、その意味するものを探しながら見ている瞬間はとても楽しい。僕が見たのは、「メラティ・スルヨダルモ + スカンク/世紀當代舞團/清水 彩加 + 竹内 桃子 + 青木 駿平/下村 唯 + 仁井 大志」というプログラム。いずれも面白かったが、世紀當代舞團がよかった。
場所をホワイトチェンバーに移して、『源氏物語』。着物を脱ぎ棄てる。「違う、違う、」と次々に着物を手に取り、身に着け、捨て去る。自分の求めるもの、自分の求めたもの。それって何なのかを探し求める。巨大な月の映像からスタートして、春から冬まで四季が巡り、そして、雪の中ホワイトアウトしていくまで。ラスト、再びモノクロームの月が現れる。そして、それすら消えていく。
源氏が何を求めて、生きたのか。彼が母なるものを求め、次々と女性と関係を持ち、そして孤独になっていくように、7人のパフォーマーは、ばらばらになりながら、同じように何かを求め、ホワイトチェンバーの広い空間をさまようことになる。ダンスだけではなく、言葉も使って見せるパフォーマンスはとても刺激的だ。壮大なスケールで、人が誰かを求め、かなわない、そんな想いを綴る。