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瀬尾まいこ「幸福な食卓」
2011年02月27日 / 本
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「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
印象的なフレーズに惹かれて読み始めた一冊です。「幸福な朝食」「バイブル」「救世主」「プレゼントの効用」の四編からなる連作小説。
数年前に自殺未遂を起こし生活をリセットしようとする父、歯車が狂ってしまい家を出た母、秀才だったのに大学進学を止めて農業を始めた兄、そして普通の中学生の私(佐和子)。家族の再生と佐和子の成長物語風。
そもそも寓話的な物語なので仕方ありませんが、登場人物の設定、描き方が個人的には大味に感じて、これが長編だったら途中で投げていました。少し我慢して読み進めます。見た目は家族崩壊しているのですが、お父さんは家族を温かく見守り、お母さんは食事を作りに家に通う。家族として普通に成り立っている不思議な均衡があります。希望学の玄田有史氏のいう「ウィーク・タイズ」(弱いつながり)を思い出しました。
ほんわかした雰囲気の中にリアルな言葉のやり取りがあり最後は違和感なくこの物語に浸れました。恋愛と悲しみがあり、最後は答えが提示されるわけではありませんが明るい温かさの残る作品です。クリスマスプレゼントの中身は・・・何か感動が待っているのでは・・・これは肩透かしですっと終わります。
非常に余白の多いストーリーなのでこれは映画を観てみたいと思いました。久しぶりにTSUTAYAのカードを作ってレンタルしました。
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基本的には原作に忠実に製作してあります。原作にあった大事なセリフ(シーン)が2~3無かったように思いましたが、全般的に安心して楽しく観れました。
ここは何といっても主役の北乃きいです。初めて見ましたが佐和子のイメージにばっちり合っています。特に「は!」「え!」「何それ!」といった感嘆の声、間、表情が最高です。
一方で違和感があったのがお母さん役の石田ゆり子です。原作のイメージでは40歳すぎ、ちょっと疲れている。石田ゆり子じゃ若いよなあと思い調べたところ、2007年当時、37歳でした。え?37歳。そんなに違っていませんでしたが、見た目が若いというか少し幼いのでここでの母さんにはどうでしょうか。
それと直ちゃんの彼女、小林ヨシコは原作ではしっくりこない面があったのですが、この映画での描き方の方が自然に思えました。
原作と映画と両方で楽しめた「幸福な食卓」でした。
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