レッド・ツェッペリン「聖なる館」(デラックス・エディション)

          

 1995年、2度目のニューヨーク旅行の際、幸運にもマディソン・スクエア・ガーデンでペイジ&プラントのコンサートを観ることが出来ました。
 たまたま通りかけてライブを知ったのだと思います。チケット売り場で当日券があるかどうか訊いたのですが、ここではない、××××で訊いてくれと断られました。そのどこかがどうしても聴き取れなくて、周囲の人に質問したのですが、チケット売り場は他にはないはず、ここではないかとのことでした。再度ブースに行って訊いたのですが同じことの繰り返しでした。
 諦めかけたのですが、どうしても観たくて、もう一度ブースに行き、これ以上ないという困り果てた顔を作り、どうしてもその場所が分からないと伝えると、またアンタかい、ここじゃないんだよとブツブツいいながら、カチカチやって券を売ってくれました(20年前のことを思い出しながら気付いたのですが、もしかしたらどこかに当日券を売るコーナーがあってそこに並ぶのだったかもしれません)。

 ヒット曲の連発だったと思います。あっという間でした。覚えているのは、ノー・クォーターでのデレレレレのギターリフで周りの観客が腰から体を折って、頭を振って陶酔してノッていたこと。アンコールはブラックドッグとロックンロールで、まだまだ続くんだろうと思っていたところ照明が点き、もう終わりなの?とため息、どよめきが起こりました。
 出口に向かう通路で興奮した人が「ツェッペリン・フォーエヴァー」と叫んだり、ウォーと雄叫びを上げていました。隣接したホテルの部屋の窓々が開けられ首を出した人達が何事かと不思議そうに眺めていました。雄叫びを上げる群衆の一人であることが幸せでした。

 レッド・ツェッペリンの活動は1968年から1980年なので、同時代ではまったく知らないのですが、1988年にキングダム・カムというヘビメタバンドがデビューして、ゲット・イット・オンとかヒットしました。私は大好きだったのですが、これがレッド・ツェッペリンの物真似バンドとかいうことで批判されていて、それを通じて本家を知りました。
 官能的なうねるロック、詩情溢れるアコースティックなサウンドとの融合、暫くは夢中になって聴きまくりました。その延長でのニューヨークでの主要メンバーによるコンサートは最高で痺れました。


 新しいリマスターの第2弾です。先日の「Ⅰ」~「Ⅲ」に続き、今回「Ⅳ」と「聖なる館」の2枚が発売されました。レッド・ツェッペリンについては、原始的な激しいサウンドが特徴で、音がどうのの興味は(おそらく多くのファン同様に)あまりないのですが、一応、やっぱり聴きたいということです。

 5作を聴き直すと、デビュー作からツェッペリンの音楽が完成されていることに改めて驚きました。どの作品が完成度が高いとかの議論、評価もあるのかもしれませんが、私にとっては楽曲の好みの違い程度しか差はありません。そういう意味では、やはりノー・クォーターが入っている「聖なる館」が一番好きです。

 今回のリマスターは、ジミー・ペイジによる3回目のものです。ネット評を読むと、一番よいことは良いが、1994年の1回目のものでも満足できる、2007年のマザーシップの際に現代風に音圧を強めたものを、もとの姿に戻したようなことが書かれていました。
 私は正直よく分からないのですが、Ⅰ~Ⅲはあまり違いを感じなかったけれど、今回のⅣ、聖なる館はところどころでクリアに聴こえた気がしました。普段は聴き比べる気力はないのですが、暇だったので、ノー・クォーターだけ94年、07年、14年を続けて聴いてみました。94年に比べると07年はロバート・プラントの声が強く聴こえます。更に14年を聴いても、もう違いはよく分かりません。

 いずれにしてもレッド・ツェッペリン最高です。今回、久しぶりにキングダム・カムをユーチューブで聴き直してみましたが、こちらもイケます。ただ、あまりにもボーカル、ギターが似すぎなので笑ってしまいます。




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