クライバー指揮/フィレンツェ五月祭管「ヴェルディ トラヴィアータ」

          


 カルロス・クライバー指揮、フィレンツェ五月祭管弦楽団と合唱団のヴェルディ「トラヴィアータ(椿姫)」。1984年12月20日のライブです。渋谷のタワーレコードで推薦されていました。手書きポップでも突然発売された驚きの未発表音源とありました。

 クライバーの椿姫といえば、コトルバスやバイエルン国立歌劇場との1977年のスタジオ録音が有名ですが、ライブは特別なクライバーです。試聴したところ、音もよく、劇場での生々しい雰囲気も良さそうで購入しました。

 冒頭の悲しみを封じ込めたような序曲の繊細な響きはスタジオ録音と似通っていますが、その後の演奏は、ライブだけあって劇的な激しいリズム処理で、徐々に盛り上がっていきます。

 木管をはじめとしてオケの音色もドイツオケと比べて明るい響きです。合唱も厚みがあって劇場で鑑賞しているような生々しさがあります。
 また、拍手が止まないのに次の音楽を始めるので、音が聞こえないところがあります。クライバーらしい畳み掛けに興奮します。

 ヴィオレッタのガスディアは迫真の歌唱、音楽だけでも十分に悲劇を感じられます。アルフレードのドヴォルスキーの艶のある美声も素晴らしいです。ジェルモンのザンカナーロも安定感ある歌い回しと役者が揃っています。

 前半は、やっぱりオペラは歌だな、美声に聴き惚れる音楽なんだと思い聴いていたのですが、途中からクライバー節全開で歌とオケとが一体となった熱い熱い演奏です。さすがです。これがクライバーです。




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