カール=ハインツ・シュッツ「モーツァルト フルート四重奏曲集」

            


 日経新聞の夕刊で紹介されていたディスクです。モーツァルトのフルート四重奏曲集では通常反応しないのですが、現在のウィーンフィルの首席であることに加え、日本の村松フルート製作所の楽器を使用しているという内容に興味を覚えました。しかも、調べたところ共演者のヴァイオリンのアルベナ・ダナイローヴァは同じウィーンフィルの団員で史上初の女性コンサートマスターとのこと。女性団員が入ったことまでは知っていましたが、女性コンサートマスターとは。2011年かららしいので、ここ数年間はニューイヤーコンサート含めて映像で見ていないということです。最近のニューイヤーコンサートの指揮者はメスト、ヤンソンス、バレンボイムにメータでした、ちょっと惹かれないです。

 村松フルート製作所は、埼玉県所沢にある製作所のようです。値段表があったので幾らくらいするのか眺めたところ、シュッツが使用している24金のものは本体価格が900万円、オプションがいろいろあるようなので1200万円とか1500万円でしょうか、世界的な奏者なので別仕様でもっと高額なのかもしれません。高いといえば高いですが、ヴァイオリンはものによっては億の単位なのでどうなんでしょうか。因みに一番安いもので本体25万円くらいでした。
 本ディスクの説明書で、ウィーンフィルのフルート奏者は全員日本製を使用しているとありました。ガイヤの夜明けではないですが、意外な分野で世界に誇るべき日本の技術がありました。

 モーツァルトのフルート四重奏曲集のディスクは、ベルリンフィル首席のパユのものを持っているのですが、正直、そんなに聴くディスクではないです。クラリネットやホルンのための曲に比べると残念ながら天国的な旋律には恵まれていない。久しぶりにパユ盤を聴くと輝かしい上品な旋律でいいなあと思いました。

 初めて聴くカール=ハインツ・シュッツのフルートの音、もしかしたらウィーンフィルということで、パユのものとは違う素朴な音なのではないかとイメージしていたのですが、ほとんど印象は違いません。華やかで艶のある優しいフルートのサウンドです。当然、録音の技術が違うので聞こえ方に違いはありますが、素人の私には演奏の違いは分からない水準です。詰まらないということではなく、パユの演奏とほとんど印象が変わらないくらい超高水準の演奏です。

 第4番とオーボエ四重奏曲のフルート版が親しみやすい旋律でよく聴こえました。

 改めていうまでもなくオーケストラにおいてフルートは最重要パートの一つです。世界最高レベルのウィーンフィルで日本製のフルートが鳴り響いていることは本当に誇らしいことです。




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ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ「モーツァルト 交響曲第39番」

            


 ブリュッヘンと18世紀オーケストラのモーツァルト最後の3つの交響曲集、2010年のロッテルダムでのライブ、約30年ぶりに再録音盤登場です。

 3曲ともに素晴らしい演奏ですが、特に39番が好きです。

 冒頭のたっぷりと低く大きく響くティンパニの連打と粒のそろった弦の絡み合い。そして、これ以上ない超スローで旋律を奏でるフルートを聴いていると、どこか別の世界へ連れて行かれるようで引き込まれます。恐るべきブリュッヘン、そしてモーツァルトの凄さです。
 この2分半を聴くだけで素晴らしい演奏であることが確信できます。

 リズムを強く刻んで語る表現と勇壮な旋律美とを高次元で融合したスケールの大きい光り輝くようなモーツァルトです。聴き慣れた音楽なのですが、ところどころにこれまで聴いたことのない歌い回し、リズム処理、合奏があり驚かせてくれます。

 昨年亡くなった巨匠の75歳での演奏会ですが、同じ解釈の繰り返しとはしない若々しい探究心には感動です。




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