安倍夜郎『たそがれ優作』







 大好きな羽海野チカの将棋漫画「3月のライオン」ですが最近数巻はノレなくなってきました。自分にはちょっと少女漫画すぎます。
 また、山本文緒で知った「さよならカラスまたきてね」も久しぶりの快作かとワクワクしましたが、2巻に入るとマンネリというか引き伸ばしというか飽きてしまいました。漫画の2巻目の壁は厚く高く、3巻目を読みたくなる漫画はなかなかありません。
 
 そんな中、とにかく面白い鉄板の「深夜食堂」も最新刊27巻はアレ?という印象でヤバいんじゃないかと心配していましたが、新しいシリーズっぽい「たそがれ優作」が滅茶苦茶に面白いです。4ページのショートショート。作者の引き出しは無尽蔵です。2巻以降も、もちろん深夜食堂も期待したいです。



 
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エリフ・シャファク『レイラの最後の10分38秒』





 トルコの女性作家エリフ・シャファクのことは週刊誌ニューズウィークの2022年新年号の特集冒頭にエッセイを書いていて知りました。分断の時代に他者を理解するためには感情、物語が大切であるといった内容に感動しました。
 日本で翻訳されていた小説はこれだけだったので早速購入したものですが、ようやく読むタイミングが来ました。

 イスタンブールの街角のゴミ箱に打ち捨てられた娼婦のレイラが人生を回顧する物語。生を受けた環境、厳しい時代・文化背景の荒波の中を生きる女の子の試練の積み重ねと友人との出会いが感情抑え気味に淡々と語られます。

 後半は進行が遅く読むのが辛いところもありますが、レイラの感情を押し殺した忍耐、人生がくれた小さな幸せ、心の拠り所となった友情の温かさなどがしみじみと伝わってきます。

 日本人、アジア人、欧米人などとは違う異文化の香りが楽しい。同じような印象のあるアフガニスタンの『千の輝く太陽』やアルゼンチンの『蜘蛛女のキス』などを読み返したくなりました。



 
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