明日は成人式。成人式を迎えたら、クアトロの成人指定スパゲッティを食べることが出来る。
その成人指定スパゲッティを注文すると、まずクアトロ・シェフの厳しいまなざしに出会う。成人指定スパゲッティを注文するに値する人物かを探られるのだ。
成人指定に作っても大丈夫と見極めたクアトロのシェフはフライパンに少量のオリーブ・オイルを注ぐ。油が熱くなりすぎないうちに、パンチェッタを投入する。パンチェッタはこの成人指定スパゲッティには欠かせないものである。強火でパンチェッタから脂と旨味を取り出し、白ワインが注がれ、一瞬炎がフライパンを包む。店内は、炭焼き小屋のように煙が充満し、店内には霧がかかったようになる。
ピッピッピ。
スパゲッティが茹であがると、クアトロ・シェフの眼差しはさらに厳しくなる。いつのまにか、鍋には生クリームと卵黄が加わり、パンチェッタから引き出された脂と旨味がこの生クリームと卵黄と一体となり、完璧な乳化を見せている。そこに、絶妙の茹であがりを確認したスパゲッティが投入され、さらにパルミジャーノのパウダーが、惜しげもなく大量に加えられる。
スパゲッティにほどよいとろみで絡まったソースを確認し、皿に盛りつける。鍋に残ったソースもゴムベラで丁寧に掻き出す。
仕上げに、念を押すがごとくパルミジャーノのパウダーを振りかけ、そして、最後に粗挽きの黒コショウをガリガリと挽く。出来たてだということを誇示するように緑のパセリのみじん切りが飾られて完成だ。
そのソースの濃度は、成人指定となっている「濃厚カルボナーラ」である。