岸和田産の特上イワシが入荷した。このイワシにはいつも驚かされる。たかがイワシなのに、ベールで包んだような脂の乗りがとても上品で高級な味わいだ。イタリアンのクアトロだが、刺身にしてしょう油と生姜の風味でいただく。舌に乗せると、体温で脂がトロリと溶ける。もうたかがイワシとは呼べない。この岸和田のイワシを開いて、香草パン粉焼きにする。これがまた身がふっくらとして旨い。脂が焼ける風味がまた絶妙だ。昭和の昔には、庶民の味わいだったが、今では高級魚の仲間入りだろうか。そんな余韻も、お酒で流して夏の英気を養おう。空にはイワシ雲ならぬ、黒い雷雲が湧いてきた。
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