一生降り続くような気がしていた灰色に濡れた日々、
ぬかるみを歩きながら、鬱々とうなだれ
しかし、愛することだけはやめなかった。
ある日、郵便配達夫が晴れの日を告げる手紙を届け、
気づいた。
わたしにとって一番大事なことは何かってこと。
目に見えない糸のような環のようなつながり。
あるいは縁。
長い雨に打たれて、気づいた。
静かな生活。
愛がなければ、人らしく生きることはむずかしい。
愛するから、朝が来ることが楽しい。
愛するから、瞬く間に過ぎる時を惜しみ、
眠りにつくのを先延ばしにする。
闘いつづけたのは、わたしの悔しさのためではなく
愛を守りたかったから。
くじけるわたしを見るあなたの目が
濡れるのを見たくなかったから。
あの日立っていた公園の芝生
雨に濡れ、独りきりだと思ったのは
わたしのまちがいだった。