想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

「こうちゃん」須賀敦子

2008-09-18 04:07:22 | 

    須賀敦子全集第7巻に収められた「どんぐりのたわごと」の中に
    こうちゃん、はあります。



    すすきの穂がはじけてふわふわになるのはもうすぐ。
    こうちゃんは、その一本を持って、ぶんぶんと振り回しながら
    わたしの庭をかけまわっています。

    わたしは須賀敦子という類い稀な才能の作家について、ほとんど知りません。
    知らないまま読み始め、噂ていどの知識はありましたが、その批評のどれとも
    違う印象と記憶をわたしの中に強く刻んでいきます。

    こうちゃん、読みはじめて数分、目頭が熱くなるので
    驚きました。
    悲しい話が書かれてある訳ではないのです。

    中程で、気づきました。こうちゃんの正体に。
    やはり、そうかと。

    わたしはキリスト教文化に疎いのです。
    日本人の多くが実はそうではないでしょうか。
    小川国夫や遠藤周作を読んだにしても、です。
    須賀敦子という人が、その教養に深さに及びもつかないだろうほとんどの人に
    絶賛された理由がわかった気がしました。

    こうちゃんは、だれにでも見えるからなんですね。
    東西の文化や宗教の違いなど、人の都合にすぎないのだと
    読み終えて、激しく涙があふれてきました。

    肘掛けの部分が割れたので、添え木をしてガムテで補強した椅子は
    みっともないでしょうね。
    あたらしく買ったのより、すわりごこちがいいのです。
    それに対で、おそろいを並べたほうが、落ち着くのです。
    そのうちもう片方も壊れるでしょうから、そのときまで一緒に使います。
    

  

コメント
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