舌なめずりの季節である。
花のあとには実がなる。
実にはタネが入っている。
実だけ食べて、タネを無視してはならない。
タネのために実を食べる‥というのは
いいすぎ、偽善である。
おいしく食べて、おまけにタネがあるので
また芽をだし、花が咲き、実がつく‥かもしれんという
可能性で人を喜ばせているのがタネである。
ぎぼうしは、花でよろこばせて、タネでさらに
「わたし、いいでしょ」とうさこの気を惹いている。
食べられない、と思っているのは親分で、
うさこはタネをみて、実を開いて黒いツブツブを見て、
けっこう喜んでいる。
道は遠い、遥かに遠い。
されど、希望は捨てない。
いつか食えるものを‥