映画 おくりびと観てきました。
整理券の番号順に入場するミニシアター系の劇場ではありましたが
老若男女ほぼ均等、やや年配者が目立ち、満員なのに驚きました。
納棺師という耳慣れない職業の二人の男、主人公である本木雅弘と
社長役の山崎努がいい味だしてます。役者に負うところの多い作品という感じ。
映画は大ヒット中という宣伝につられてこれからも動員するでしょう。
さらに山形では日光金谷ホテルに続いて脚本の小山薫堂さんが町おこしに
一役二役買ってる模様。この方はテレビの人だから大衆化すること、ビジネスモデル
を作ることに長けているのですね。
山形鶴岡市は藤沢周平原作の時代劇、山田洋次監督作品「鬼の爪かくし剣」の他、蝉しぐれ
のロケ地観光コースがすでにあるようで映画づいているんですね。
柳の下の泥鰌なの? (それにしても山田洋次の時代劇三部作、良かったですねえ!!)
骨抜きが気になる人は他にもいるようでブログで小栗康平監督が撮ったらなあ‥と
そこには書かれてました。
同感‥かな、そこまで渋くなくてもいいけど、それにしても舌足らず、いや
しゃべり過ぎな映画はどうも後味がよくないです。
考えさせてくれないってことは感じさせてもくれないわけで、
わかりやすさは何のため?って感じです。
気になったのは、年配の方が多かったこと。
歳をとって人生の締めくくりというか、旅立ちについて関心を持つように
なるということを目の当たりにしました。
でも、あれではわからんよー、ねえ、と言いたい。
上映開始後にハーハー言いながらわたしの隣に座ったオバちゃん、感想聞きたかったよ。
納棺師の仕事を描くというのは、どちらかというと逝く人へのメッセージではなく、
送る側、看取る側へのものではないかと思います。
死は新たな旅立ちへの門なのだ、という台詞があったのですが、
その門の前で送る側、つまりわたしたちは生きている側でしか考えられない。
死者を悼む心、偲ぶ心について考え直させる仕事なのですね、
納棺師頼みで、死んだときはよろしく、ってことじゃあ‥ちょっとなあ
違うと思います。
お通夜に行ったとき、親族家族の方が葬儀屋さん頼みで何もしないのをよく見ます。
このごろはどこでもそうなのかもしれませんね。
沢木耕太郎が作品「無名」の中で、葬式の本を買ったと書いていたのをリアルだなあ
と思ったことがあります、実際に直面しないとわからなくて不安になるものなのです。
わたしは葬儀屋の社長さんに細かいことを何度も尋ねたことがありました。
「おまかせください」と親切に言われますが、おまかせしてばっかりでは
いけないと思うのでありますね。
映画の中の人々は、山崎努演じる納棺業者に任せっきりでありました。
そこで悟ってゆくのは結局、まかせないで引き受ける山崎、本木ご両人と
銭湯のおばちゃんの親友だけなんですね、親友役、いいワキでした。
原作「納棺夫日記」青木新門著を読むと、別な映像、イメージが浮かぶかもしれません。
さて、観るか読むか、どちらにします? 両方?
(数ヶ月待てば、レンタルビデオ、図書館、もありますから)