3月18日夜4ヶ月半にわたったポルトガル・スペインの旅行から帰ってきました。一週間前の金曜日の朝日本の未曾有の国難のニュースを知り、それ以来今までの楽しかったいろいろなことが、風船がしぼんでしまったようにしょぼんとしてしまい、このブログを書くのも遠慮したいような気持ちです。でも後6回分だけ記録して今回の旅行記を終わりますので我慢してください。
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アーマセルからサルガドス湖畔への間には広い畑地と湿地帯、そして横幅3-4メーターの小川が横たわる。いつもは内陸の立派な車道とコンクリートの橋を渡って湖畔に向かうと片道1時間くらいかかってしまう。サイトの住人から聞いたところによれば車道のある内陸と小川が海に流れ出ている砂浜との中間に牛や羊が渡れる橋が在るという。
ある晴天の朝この橋を探しに出かけた。畑地や湿地帯を歩き回り諦めかけた頃に見つけたのがこの完全に壊れている橋だった。いつ支えが折れるか判らないが、4点歩行でやっと対岸にたどり着いた。最近はバランスがおぼつかない亭主は完全にビビッてしまい渡れないという。あの手この手で説得してやっと渡ったが、渡ってしまってからこんなひどいところをよくもと我ながら感心してしまった。
サルガドス湖畔までの丘陵地帯はいつも羊が放牧されているから草もほとんど食べつくされてまるで草刈り機で刈ったようになだらかで歩きやすい。対岸に広がるアーマセルの町はどんどん発展し拡大しているのがよくわかる。
砂浜に流れ込む川は意外と急流で、波の激しさで流れを変える。靴を脱いで歩けば対岸へたどり着けるが砂がついた足で靴を履くことを考えるとあまりその気にもなれない。丘陵地帯は白いエニシダが今を盛りと咲き誇っている。まるで雪柳の様みたいだが白い花は黄色ほどインパクトが無い。
この日、羊の群れは土ぼこりの立つ車道の両側に広がり悠々と草を食んでいた。子羊が多いので近づいて写真を撮っていたが、白い母親羊の双子の子羊は一匹が白もう一匹は黒のコンビネーションが多いのに気づいた。この子羊たちはまだ生まれて2-3日しかたっていないらしい。乾いたへその緒が下がっているのが見える。
そのうち羊飼いのおじさんがまだ濡れている子羊2匹をぶら下げて湖畔の方からやってきた。死んでいるのかと思いぎょっとしたが、草の上に2匹を横たえるとすぐ手足をぴくぴくさせて起き上がり、おじさんを親と思ったのかよろよろ近づいて行った。すると湖畔のほうから母親羊が異様な声を上げて走ってきてすぐわが子を認めたらしく子羊を舐め回していた。やっぱりわが子は舐めるほどかわいいというのは、動物の親を見ての表現なのかなー。ちょうど生まれたばかりの子羊だったのだ。母親は出産と同時に子供たちを連れてゆかれて相当あせっていたに違いない。子羊のへその緒は臍帯そのままの大きさが下がっている。
下の羊たちはサルガドスの羊と種類が違うらしく、毛の長さからしてまったく違う。一群れの羊に白鷺がたかっていて上に乗っても、足元でうろうろしても全然気にしていないらしい。羊飼いのおじさんが近くにいるが、白鷺はおじさんの存在さえも気にしていないように見えた。
ポルトガルの1-2月は出産の時期、10頭の牛の内かわいい子牛が2頭いて母親の周りにまとわりついていたが、おっぱいよりも人間に興味が在るらしい。ジーと私を見ていた。
帰路は内陸の橋を渡って帰ってきたが、高い橋のうえから見える草むらで、コウノトリの夫婦がえさを漁っていた。