ジブロルタルにはキャンプサイトが無く、ラ・リニアーの小さなサイト(私たちしか居なかった)で一泊した後、海岸線をマラガ方面へ向かった。ラ・リニアーの町を過ぎるころから道路はだんだん上りになり、途中の展望台標識を見つけて停まって見れば、ジブロルタルの大岩がはるか後方に見える。昨日から曇り空ですべてがぼんやりしているが、年に数回アフリカ大陸もはっきり見えるそうだ。
出てまもなくカサレス15Kmの道路標識を見つけて左折した。道はますます坂になり曲がりくねって山へ向かう。辺りは牧場の緑に真っ白の建物、そしてアーモンドの薄いピンクの花盛り。
一月はじめポルトガルで知り合ったスペイン在住のイギリス人から彼らの庭で採れたオレンジ、レモン、アーモンド、胡桃を袋いっぱいもらった。彼らは5-6年前にグラナダ近くの農家を買ったそうで、広大な農地に果実やオリーヴの木が在り、一月に帰ってオリーヴの収穫をするのだそうだ。大体100リッターくらいのオリーヴ油が採れるそうで、半分を村の加工所で買ってもらうのだと言っていた。イギリスにも家を持ち、ヨットとキャンパーであらゆるところへ行っている恵まれたイギリス人夫妻だった。
カサレスの村は純白の建物が重なり合うように崖に沿って建っていて、まるでキュービズムの近代絵画を見ているようだ。
村までは山の中腹を削って作られた曲がりくねった道路を延々と行き、村の入り口にたどり着いたが、道路が狭くて村には入れない。入り口から引き返し村の反対側から海へ向かう道路で下山。
山頂を花輪のように取り囲む真っ白な家々を見ると、ここスペインもイタリアによく似ているなーと感無量だった。
この上り下りの激しい道を4台のサイクリストが走っており、曲がりくねった道ではスピードが出せず、サイクリストに追い越されてしまい、亭主の恥ずかしがること。後で上り坂で追い越したが、途中の道で止まって写真を写して居たら、皆手を振って ”オラー”といって通り過ぎた。
道端に緑濃く茂る大きな木々がコルクの木だと気がついて、車を止めてもらった。コルク樫と呼ぶのだそうな。確かに葉が樫の木に似ていて、どんぐりでも落ちてきそうな気がする。太い木の幹は皮をはがれ,赤肌をさらしている。なんだか哀れな気持ちになった。