クリスマスの翌日(英国ではボクシング・デイという)一日中青空で暖かい日だった。町とは反対方向へ散歩に行き、形のよい松林を通って海岸へ出た。砂浜が長く続いて、辺りには犬を連れて散歩している人たちや、魚釣りをしている人たち、すべてが穏やかで平和そのもの。テレビでは年末とて今年の最大ニュースを上げ連ねているが、よかったニュースといえばチリの炭鉱夫救助成功くらいで、世界中の争いとテロ、そして自然災害の頻発を報道している。
ここのキャンプサイトが気に入った理由のひとつに、衛星放送で今まで見られなかったNHKや韓国、中国、マレーシア、アメリカ、フランス、BBCの番組が見られることで、ニュースが主だけれども、それぞれ自国の宣伝もしっかりしているところが面白い。
砂浜で打ち上げられた貝殻を拾いながら、クェイテイラの町まで行く。町の東端から西端までこの立派なプロムナードが伸びていて、真夏の宵などはどれほどの人出だろうか。イタリアの夏は夕方プロムナードを着飾った人たちが散歩しながら、知人とおしゃべりなどして、宵の社交場になるので有名だが、ここポルトガルもスペインも夏は暑いから、夕方の涼を求めて歩く人たちのためなのだろうと思われる。
私は手洗いが嫌いで、イギリスに住んでいる時にはセーターなど手洗いしなければならないときは、最後までおいて仕方なく洗うのだけれど、ここポルトガルでは毎日下着など小物を洗うのが楽しみ、シーツやタオルだけは洗濯機を使うが、固形石鹸まで買ってきて、デコボコせんたく板でごしごし洗っているときはなんとなく楽しくなってくる。隣で洗っていたドイツ人の女性はこれは精神衛生によいのだと話してくれた。
真冬のこの時期、野原には野草の花が咲き乱れ散歩の帰りに手折った花をもって帰ると、”それは僕にくれる花束かい”と次々おじいさんやおじさん達から声がかかり、大笑いしてしまった。ポルトガル人の若い人に花の名前を聞いたら、子供のときからいつも見ているけど名前は知らないと言う。
水曜日、野菜市場が開かれる日、前日魚市場の在り処を見つけたから行ってみた。生きのよい魚が一面、はじめに写真を取り捲り、今まで見たこともないような巨大なモンコイカを写していたら”撮影1ユーロ”とおじさんが笑って言った。市場の魚は新鮮で刺身も大丈夫だけれど、市場の魚は非常に高い。刺身にと買ったヤリイカ一匹が8ユーロ、マッスル1kgが5ユーロ、などと安くないけどやっぱり買わずにいられない。夕食は刺身にパエリヤといろいろ買ってしまった。
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