rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

白地に青の絵付け、ぼってりとした量感の陶器が好き…の妄想

2011-03-27 22:51:17 | 趣味たち
土産品の安物ではあるが、オランダの風車を描いたデルフト焼きのプレートを、このたびの震災で粉砕の憂き目に会った。
思い出をのせた陶器のプレート。
仕方のないこととはいえ、他の物で、代わりにすることはできない。

白地に青の絵付けした、ぼってりと量感のある陶器が好きだ。
ずっしりと重さのある陶器は、温かみを感じさせてくれるから。
白地は、乳白色がかっているとなおのこと好み。

日本のものでは、砥部焼き。
外国のものでは、デルフト焼き、マジョルカ焼き、近年のメーカーでデンマークのダンスクDANSK。

「捨てられない人」は、我が家のテーウルウェアをこの陶器たちで揃えたいと、ただ夢想する。
いつの日にか、アトリエ兼居住空間のある家を持てたなら、迷わず白地に青の絵付けを施してある陶器たちを、その家に住まわせよう。
お茶の時間が、食事の時間が、この陶器たちによって美しく演出されるだろうから。

そうだ、多彩な色使いではあるが、フランスの陶器メーカー・ジアンGienもポイントで組み入れたい。
Oiseaux de Paradis 極楽鳥シリーズを朝食の時に、カフェオレボールとプレートのセットで。
ジアンは、思い出が詰まっている。
旅先の、小さな陶器店で店先に積み重なって売っていた。
割れ物で旅の途中もあって、一枚だけサラダ・ケーキプレートを購入した。
フランスの田舎の旅の思い出。

これらの陶器たちは、きっと日々の生活に潤いと美をもたらしてくれるだろうから。
欲張りな願いだが、もちろんそれらの陶器の産地を訪れて、旅の思い出を付け加えて。



奔放な幻想のエロティシズム、ゾンネンシュターンの真空劇場

2011-03-27 01:03:48 | アート


彼は、自ら「月の精の画家」と称したという。
月の光の導きによって、プリミティブでエロティックなインスピレーションを得たのであろうか、どことなく温度を感じない絵を描いた。
赤などの暖色を使っても、暖かさを感じない。
青などの寒色で描いても、冷たいとは思わない。
真空の劇場の中で、粛々とドラマを行っているかのようだ。

ゾンネンシュターンを知ったのは、澁澤龍彦の「幻想の彼方へ」によって。
そのとき投げられた糸には、目には見えないがしっかりとしたフックがついていた。
彼の真空劇場の永久パスポートを手に入れ、時折ふらりと立ち寄る観客の一員となった。

劇場に架かるドラマは、登場人物?の容貌にもかかわらずに、悪夢的ではない、むしろ喜劇よりである。
大衆劇場で行われる身振り手ぶりよろしいサイレントドラマ、映画の黎明期の楽団付で弁士のいない活劇のような、ユーモアを映し出すドラマが展開される。
そこの入場券を手にしたものは、静かな観客として取り込まれるだろう。
幼い頃に味わった、甘美で深遠なエロティシズムを思い出し、懐かしむ為に。