大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・85『47RONIN』

2016-11-06 06:04:49 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・85
『47RONIN』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が、個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。



さぁて、こいつをどう評価するか、結構ややこしい問題ありです。

 一切何も考えず、ファンタジーなんだと、世界観はそのままに受け入れるんだとすれば、まぁ映像は良く出来ていたと評価出来る。
 しかし、本作が赤穂浪士四十七士の討ち入りの映画だとするなら、言いたい事は山積み、一々書き連ねたら明日の朝までかかってしまう。だから、これは考えないとして、とりあえずインスパイアされたけど、討ち入りそのものを再現するものではないとして見る。
 にしても、四十七士を知らない外国人がこれを見て、誰に思い入れてどこに感動するのか?
 日本の江戸時代に一体どれだけの外国人が知識を持っているのか。ハリウッドは昔から結構無責任に白人以外の歴史物語を英語映画にしてきました。ローマ帝の興亡なんてな同じ白人だからええとしてたら、オードリー/ホセで作った戦争と平和はイデオロギー以前に「こんな物はトルストイ文学の映像化ではない」と攻撃されたわけだし、アンソニー・クインで撮った「フン族の王アッチラ」の物語は当時こんなものはアッチラの物語ではないと主体的に抗議する民族が存在しないながらも「いかがなものか」位の議論はあった。
 はっきり言って、日本人であれば、「忠臣蔵」の話を知悉していればしているほど、入り込みにくい映画です。
 なんもかんも忘れて、ファンタジーと見るにしても、中途半端で 誰に思い入れてどこで感動すりゃいいのか 全く不明。 ファンタジーとして見るには 半端に日本の文化や歴史観に踏み込んでいます。外国人が本作をどう見るのかは分かりませんが 日本人には……う~~むぅ 監督はCM畑の人だとか……元々の脚本に問題があったのは確かながら、MTVやCM出身監督の作品はスタイルを優先させるが為に作品の内実を蔑ろにする傾向があるようです。日本にも 歳だけくって巨匠面している大林某なんてな輩もいますからね(尾道3部作ファンの皆さんごめんなさい)
 これが純然たるファンタジーだというなら変に日本文化ファンだとか忠臣蔵にインスパイアされたとか言わないでいただきたい。日本人は困惑するだけです。日本語スーパー監修のウブカタトウさんはパンフレットにつらつら本作の意味を書いておりますが……私は納得できません。これを否定してしまうと翻案ファンタジーは成り立たないのかもしれませんがね。とにかく、どこを足がかりにして楽しめばいいのか……。
 まぁ、そんなこんな 一切別にして、菊池凛子ちゃん、気持ちよさそうに演じてました。柴崎コウは、この先ハリウッドからオファーが出るかもしれません。真田君は毎度このタイプの映画には欠かせない地歩を確実に築いています。
 ただ一人、赤西仁の大石主税は、なんで赤西なのか全く解りません。こんな使い方するなら他にもっとまともな役者はなんぼでもいてます。これは理解不能。もひとつ言うなら将軍綱吉をやってた役者は最悪でしたわ。日本人はエンタメなら割となんでも受け入れるんだと言われますが……こいつはどうなんでしょうねぇ。
 外国人にしても、ラストの四十七士全員(主税だけが大石家跡継ぎとして許される、侍ではないカイ/キアヌ・リーブスを含む内蔵助以下)の同時切腹、しかも介錯無しを、果たしていかように理解するのか。 はっきり申し上げて、映像はそれなり、ファンタジーとしてのテリングもそれなりながら、底にある設定があまりにも杜撰……だと感じました。あんまりお勧めはいたしません。

コメント
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