大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・〔会いたかったカモ〕

2016-11-24 06:48:02 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト
〔会いたかったカモ〕



「え、うそ……」

 女子高生みたいな言葉しか出てこなかった。
「……水本さん」
 鈴木クンは、一瞬遅れて、わたしに気が付いた。
 隣同士駐車したコインパーキング、国産車と外車の違いがあったので、ちょうど車二台挟んで18年ぶりの再会だった。
 すぐに手にしたパンフで分かった。

『浪速高等学校演劇研究大会』二日目の朝だった。

 あたしは、フリ-のライターと言えば聞こえはいいが、要はアルバイトのゴーストライター。
 最近人気のあるパフォーマンス系の部活の取材。編集はダンスや軽音なんかを提案してきたが、あたしは、あえて演劇部を主張してきた。ダンスや軽音は、いわばメジャーで、もういくつも各紙で特集が組まれている。「演劇部こそステージパフォーマンスの王道なんです!」適当な理由を、それらしく押し出して認めさせた。
 でも、初日の昨日観に来て愕然だった。あたしたちの頃は加盟校130、コンクール参加校でも100校近くあった。それが参加校は80まで落ちていた。会場は1200も入るホールに、やっと三分の入り。まあ二階席を閉鎖していたので、一階席にいるかぎり、そんなに少ないとは感じない……一般客には。でも、こういう仕事をしていると、ざっと見ただけで観客の数ぐらい分かる。芝居は「熱意が伝わってくる」という表現しかできないシロモノばかりだった。今日こそは、突き抜けた作品を観せて欲しいものだと、諦め半分の気持ちで来た。

「ふうん、そうなんや」鈴木クンは、昔と同じ機嫌の良さで聞いてくれた。

 鈴木クンは、自意識が強い演劇部の中ではくすんでいた。見かけはいいんだけど、芝居は花丸のヘタクソ。体育なんかもできない。そもそも演劇部に入ってきたのも、ガタイだけで判断して引っ張り込んだバスケが引導を渡したから。女子が多い演劇部では、芝居ができなくても力仕事は一杯ある。照明や、道具作り、立て込みやバラシ。そんな陰の仕事を楽しそうにやっていた。
 あたしは、ませた子だったので、こういう男の子が、案外大人になると堅実な家庭人になることや、可愛げのある堅実さは、社会に出たら強い武器になることを見抜いていた。そして、彼が地元の名家の次男坊であることも承知していた。将来を見据えてカモの一人ぐらいの認識で接していた。
 遠足で、宝塚遊園の現地解散になったとき、鈴木君の期待に応えて二時間近くいっしょに遊んだ。ジェットコースターで彼の熱気を隣で感じて、あたしは太知真央みたいにはしゃいで、鈴木君の気持ちをくすぐったりした。ジェットコースターから降りるとき意識的に手を伸ばした。
「いま、どうしてんの?」
 ホールの屋根が見えたころに粉を振った。
「兄貴がアメリカで独立したんで、ボクが家の跡を継いでんねん」

 ということは、駅前の鈴木ビルとかの不動産や株とか、前部鈴木クンのもの!?

「まあ、派手なことはでけへんけど、地道に、ボチボチと……」
 あたしは、大学に行って鈴木君のことなんか、すっかり忘れてしまった。もっと面白い美味しいことや人間が一杯だったから。周りの男どももチヤホヤ。就職も大手の出版社。もう天狗だった。
 ある企画で女編集長と衝突。それで辞めてからはさっぱりだ。さっき車を降りて劇的な再開「会いたかったカモ」だった。
「今日終わったらさ……」
 二度目の粉を振ろうとしたら、ホールの方から声がした。

「お父さーん!」

 なんと、昔のあたしと同じ制服着た女の子が走ってきた……。

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高校ライトノベル・秘録エロイムエッサイム・5(The witch training・1)

2016-11-24 06:36:23 | ノベル
秘録エロイムエッサイム・5
(The witch training・1)



 朝起きると、テレビで船の事件を二つ言っていた。

 一つはイタリアの客船が過積載のまま出港。波にあおられて船が傾き沈没の危機になった。しかし船長らの的確な判断と行動により、船は傾斜を五度に戻して無事に助かった……という目出度い話。
 もう一つは、南シナ海で、C国の巡視船にしつこく追いかけまわされたベトナムの漁船が、神業的な操舵で巡視船に体当たり。C国の巡視船は大きな船であったが、当たり所が悪く沈没。幸い怪我人だけで済んだが、C国とベトナムは、一触即発の危機的な状態になったものである。
「大変だね、世界は……」
 日本人を代表するようなのどかさで、お父さんが呟くように感想を言った。真由は高倉健に続き菅原文太が亡くなってしまったことと、AKBの新曲を半月も知らなかった方がショックだった。

「行ってきまーす!」

 いつものように、玄関を出て横丁を曲がると、たまげた。沙耶が怖い顔をして立っていた。
「やっぱ、自覚ないんだ」
「え、何が? どうして沙耶が、ここにいるわけ? あなたの家、駅三つはむこうだったわよね?」
「今朝、船の事故のニュース二つやってたでしょう」
「え……」
 AKBの新曲の方が気にかかり、とっさには思い出せない。
「あれ、二つとも真由がやったんだよ」
「え……?」
「もう忘れちゃっただろうけど、真由は夢の中で、透視していたの。で、無意識にイタリアの船を助け、ベトナムの漁船をC国の巡視船にぶち当てたの。イタリアは船長は英雄視されると同時に過積載の責任を問われるし、ベトナムとC国は戦争直前までいってんのよ!」
「え、うそ!?」
「真由の魔力は、予想よりも大きい。今日から、ちょっと魔力コントロールの訓練やるわね」
 
 沙耶が、そう言うと一本向こうの道から、真由と沙耶そっくりの二人が現れて駅へ向かった。
「あ、あれ、あたしたち……」
「デコイよ。しばらくあたしたちの代理をやってもらうの。さ、あたしたちは訓練にいきましょう」
 そう言うと、沙耶はジーンズと、ブルゾンの姿に……そして、顔が今まで見たことのない子に変わっていた。
「すごい、本物の変身なんだ」
「感心してないで、真由もやるの!」
「あ、そか……エロイムエッサイム……」

 一瞬間があって、沙耶が呆れた顔で言った。

「渡辺麻友になって、どうすんのよ!」
「あ、ついAKBのこと考えてたから……どうしよう」
「あ、みんな気づいた! ご丁寧にステージ衣装なんだもん。走って!」
 二人は、横丁を曲がりながら、魔法をかけなおした。沙耶は、ブルゾンの色を変えるだけだったが、真由は大変だった。ステージ衣装は無くなって、当たり前のハーフコートとコーデュロイのパンツに変わったが、顔が決まらない。次々と変わるが、どれもAKBの選抜の顔だ。
「ええ、もう足して47で割る!」
 やっとAKBの顔ではなくなったが、集団の中では目立つかわいい顔になってしまった。で、駅前の百均でマスクとファンデとペンシルを買って、駅のトイレでメイク。なんとか群衆の中に溶け込める顔にはなった。

 改めて、魔法の難しさを実感した、真由であった。で、訓練の場所は渋谷に決まった……。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・103『アメイジングスパイダーマン2: テルマエ・ロマエⅡ』

2016-11-24 06:16:49 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・103
『アメイジングスパイダーマン2: テルマエ・ロマエⅡ』

この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ



 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評を転載したものです


行って来ましたよ、梅田TOHOプレッツ。

 8:30でもそこそこ人がいましたが、別館でスパイダーマン見て本館に帰ると……なんじゃ こりゃぁ!!!!満員電車かい!!

スパイダーマン2

 嫌な予感はいきなり来ました。いきなりスクリーンにデカデカ“SONY”の文字!続く“COLUMBIA”の社名の下に“SONY CO.”の文字……よっぽど自信がおありになったんでがしょうねぇ…(´ヘ`;)ハァ~~ 映画はマンガに先祖帰りしとりました。
 本作で一番迫力が在ったのは“予告編”でありますわい……嗚呼(滂沱たる涙)有ったなぁ、「メン・イン・ブラックⅠ」 予告編見たら本編見る必要なし。この映画、コンベンションで30分の予告編を流したとか……その方がよっぽど面白かったんやなかろうか。予告を見る限り、スパイダーマンは複数の敵に囲まれて絶体絶命!「こぉら えらいこっちゃ!」と思うたに…本編ではちまちま1対1で盛り上がらん事夥しい。スパイダーマンの懊悩もグゥエンとの付き合いに関する事ばかり、スパイダーマンの活躍によって、さらに破壊が広がる件についてはほんの付け足し、編集長(出てこないが)は未だに「スパイダーマンは悪者だぁ」と言いつのっている。
 ピーターの両親の最後が出てくる。忌まわの際にデータを送るが、その内容たるや……嗚呼(涙) これ、原作の通りなのかもしれませんが、スパイダーマンでは毎回彼の大事な人が誰か死ぬ。今回は○×△が亡くなった、なんともお可哀想に、ほんで たらたら悲しんでおる所にまたもや怪人出現で大フッカァ~ツ。目出度し目出度し(拍手) 毎度 大暴れいたしますが、今回もニューヨークから一歩も出ず……しゃあないですか、ビルが林立していないと糸を頼りにブッ飛んで行けませんもんね。 兎に角、期待外れもええとこでありました。


テルマエ・ロマエⅡ

 典型的な二番煎じ(また涙) 前作よりも広がりは感じるし、群集モブシーンの撮り方も各段の進歩。とは言うモノの、ダラダラと前作の続きを作ったに過ぎない。まぁ、これで終わるでしょうが、その気になったら“日本全県温泉巡り”っつなもんでシリーズ化するかもね。
「フーテンの寅さん」か「トラック野郎」じゃあるまいし、まさかそりゃあなかろう……と、思いますが……今日の入り(満員)からすると、あながち、いやいやおまへんやろ。
 前作には“比較文化”のメッセージが ちゃんと在りましたが、本作はただただ日本の温泉をコピーしまくるのみであります。それでも、観客を楽しませようっちゅう工夫は十全にこらされてますから、楽しめるのは確かです。
 ただねぇ……二列位後ろに座ってたオバハン〓〓 映画の真ん中辺から、何を言うてるんやらハッキリとは判らんかったがウダウダと……ってん〓じゃっかましいんじゃ〓〓見ながら喋りたかったらテレビでオンエアされるの待っとけ!ちゅうんじゃい〓〓〓 二度と映画館に来るんやないわい〓〓 てな訳で、非情(コノジノキブン)にドッと疲れた半日でござりました。後、“相棒”も行かんとあかんのですが……大丈夫やろなぁ(汗)3日からのH・ジャックマン“プリズナー”も……頼んまっせ。

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