大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想『探偵はひとりぼっち』

2016-12-28 07:00:27 | 映画評
タキさんの押しつけ読書感想
『探偵はひとりぼっち』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


 この読書感想は、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流しているモノですが、もったいないので転載したものです


 迷ってましたけど、結局読んじゃいました。

「探偵はBARにいる 2」の原作。 作者:東直己は1956年生まれ、北大文科中退後、ススキノでその日暮らし……結構アナーキーな生活を経て92年「探偵はBARにいる」でデビュー。ススキノ探偵“俺”は作者の生き様を反映して映画よりアナーキーな存在……映画は「原作物」と言うより古沢良太がインスパイアされて脚本化、大泉/松田が自分達のニュアンスで命を吹き込んだと言えそうです。

 原作中の“俺”と映画の大泉では背負っているものが違います。いずれの“俺”もニヒルな自分を演出しようとしながらそうは成りきれない。どちらも内に熱い塊を持っているのだけれど、その背に見えるペーソスが違っている。
 事実上、原作は今から20年前の作品、作中年数は出てこないが80年代らしき書き込みがある。映画は現代の話になっているからニュアンスの違いは致し方ないが、それだけでは捉えきれない変更がある……だから、原作ファンは全く別物と思って見た方がいいと思います。

 さて、小説です。いわゆる探偵物カテゴリーよりも、ミッキー・スピレーン的ハードボイルドに分類した方がピッタリきます。
 船戸与一のような汗臭さはなく、探査手法は行き当たりばったりだが 結構スタイリッシュである。荒事の腕前は、トーシロー2人相手が限界、そっち方向は映画と同じく 高田にお任せ。
 今作では高田が早々と骨折でリタイア、なんの展望も無いままにそこら中で跳ね返ったため、複数正体不明のグループから付け狙われる……あらあら、これじゃ命がいくらあってもたまったもんじゃない。そこんところをなんとか切り抜けて行く訳ですが、それなりに納得いくストーリーになっていて、ラストの謎解きで全部“落ち”がつくかたちになっている。
 ススキノの裏も表も、それなりに見て来た作者ならではのリアリズムと言える。 映画と小説が補完しあっていると言うのではないので、どちらかのファンという形になる。
 私としては、映画/小説どちらとも言えず、ちょうど真ん中にいる感じ。今すぐ全シリーズ購入一気読み……までの“ノリ”は有馬線なぁ。
 映画を見ていて あんまり思わなかったのですが、“社会党国会議員の橡脇”という重要キャラが登場します、読んでいて「これって露骨に道知事から国政に出たY路じゃないの?」と思っていたら……解説の所に「道民なら一目瞭然のモデルがいる」と書いてある。もとより虚実ない交ぜと断ってあるのですがぁ~。 これって“実はホモ”ってのは虚? “身を守るに手段を選ばず”が実?
 最近あんまり名前が出ませんが……さて、どうなんでしょうねぇ。北海道の政治ってのは 中川一郎にせよ、鈴木のおっちゃんにせよ ミステリアスですからねぇ。ひょっとしたら各作中にそんなネタが転がっているんでしょうか? ちょっと興味ありますなぁ。
 こういうジャンルは読者にこだわりがあるので 特にオススメはいたしませんが、作者の腕前は確かです、この点は保証します。


コメント
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