大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ読書感想・『ライアンの代価』

2016-12-23 06:52:09 | 映画評
タキさんの押しつけ読書感想
『ライアンの代価』
    

この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


 これは、悪友の映画評論家、滝川浩一が個人的に流している読書感想ですが、もったいないので本人の了解を得て転載したものです。


 年末から読み出して、漸く文庫四冊読了、本を読む時間が殆どなかったので、えらく時間を食っちまいました。
 
 トム・クランシー(マーク・グリーニー共著)の“ジャック・ライアン 新シリーズ 第二弾”…ハリソン・フォードの「パトリオットゲーム」「今、そこにある危機」の原作シリーズです。
 原作は映画(「レッド・オクトーバーを追え」 アレックス・ボールドウィン主演 も含む)三本の後も続いており、「今、そこにある危機」でCIA副長官になったジャックは大統領にまで上り詰める。新シリーズ 一作目「デッド オア アライブ」では、引退して回顧録の執筆を始めているが、自分の後の現大統領・キールティ(おそらく民主党、白人だがオバマを思わせる)の政策が全く気にくわない…で、とうとう再選に打って出る。その間、クラーク、ディンゴ、ジャックjr達 ザ・キャンパスはテロリスト(ヴィン・ラディンを思わせる)を追う。

 前作では、少々 もたついた雰囲気があったが(キャラクターがそれぞれ歳を食い、その分jrが成長しているので、どうしても説明調子になる) それも払拭されて、クランシー本来の語り口調が戻った。
 大統領選もたけなわ、ジャック優勢で推移しているが、キールティのパトロンである富豪が、ジャックとクラークの過去のいきさつに気づき、クラークを陥れて それにジャックを絡めて追い落とそうと画策する。クラークは絶体絶命の窮地に……同時進行でクーデターを目論むパキスタンの将軍とタジキスタンの原理主義者がとんでもないテロを画策、クラークのいないザ・キャンパスはこの陰謀を食い止める事ができるのか……と言うお話。

 正直 ラストにとんでもない御都合主義が飛び出すが、往年のストーリーテリングと構成の巧みさでグイグイ引っ張って行く。本作の続編、アメリカでは昨年末既に発売されており“THREAT VECTOR”直訳したら「脅迫のベクトル」とでもなるんですかね。今度の相手は中国! いや、人事(ひとごと)ではありませぬゾ!御同輩。
 しかし、日本語タイトルの陳腐はどないかならんのかい! 本作の原題は“LOCKED ON”……こっちの方がよっぽど内容にマッチしている。いやはや、映画の宣伝部といい、出版社の企画室といい、何でこんなにセンスが無いんでしょうね~。次回作のタイトル…何とつけるやら、想像するに「ライアンのウンタラ」になるんですかねぇ、やめてほしいなぁ。
 クランシーは執筆にあたり、まず現世界情勢のデータを並べ(殆どは新聞、雑誌から得られるデータだが、彼の元には情報機関からの生データも集まると言われる) それらが有機的に繋がった時に執筆を始める。「今、そこにある~」の時、意図的にCIAが情報を提示したが、見事にその裏を読み解かれたという事もあった。この当時の政権が民主党(カーターだったと思う)だったってのが笑わせる。 日本人はケネディの幻に騙されている人が多いので、民主党=リベラル=正義なんぞと素朴に信じている阿呆が大半なのだが……そういう人はアメリカ史を読み返してみると良い。アメリカが戦争を始める時の政権は殆どが民主党であり、共和党はその尻拭いをさせられている図式がクッキリ浮かぶはずだ。アメリカン・リベラルの主張は絶対鵜呑みにしては成らない。
 
 日本人の大多数が未だに信じている「地球温暖化」の大嘘も 元をたどればゴアが「不都合な真実」なんてな本とフィルムで作り上げた大嘘なんだって事、今や常識でっせ! いつまでも寝とったらアカンよ~!!  何も「クランシー絶対」「クランシーは神の視線だぁ」なんぞと言うつもりはないし、民主党より共和党の方が正しいと言う気も無い。(日本人にとっては共和党政権の方がやりやすいのは確かだけどネ) ただ、民主党の一部には「お前、コンミイか?」ってな奴らが多いのも確か……日本のアメリカ占領時代をみても、GHQの中でも「民政局」なんてなアメリカ本国にいられなくなった左翼のたまり場だったのは今や自明、そいつらが日本で何をしたか……まぁ 色々な本を読んで下さい。
 国際政治の現場は国益がぶつかり合う所、何が正しいのか一概には断定出来ない。立場が異なる人々の思惑の絡まりが読み解ければ理解はできる。クランシーの小説は“国際政治の読み解きツール”として使える。この点に関して、あまりアメリカの価値観に偏った見方をしていると警戒する必要は無い。勿論、読み方にもよるが、まぁ そこは常識ってやつです。
 本作で言えば、パキスタンと言う国が「テロ支援国家」呼ばわりされながらも、片足は西側民主主義に置いていて、日本の新聞だけから情報を取っていると訳が解らなくなるのだが、その辺りの事情が良く解る。 とことんアメリカ大嫌いな向きには「何 言ってやがる」ってなもんでしょうが、そういう偏見の無い人には池上彰張りに分かりやすく、しかも最高のエンタメ作品です。一読オススメ〓

コメント
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