ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)
第64話《それからの異変》さつき ![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/e2/9c3aa75d5ada7576ca4a506de2541517.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/e2/9c3aa75d5ada7576ca4a506de2541517.jpg)
また、彼の声が聞こえてきた。
急いで意識をブロックした。
幸いはるかちゃんとも別れ、梅田の地下街を歩いていたところなので、誰にも気付かれはしなかった。
彼とはClaude Leotardのこと。
日本人の母とフランス人の父を持ちながら自衛隊の兵隊さんをやっているという面白いやつ。渋谷で彼が運転する車に跳ねられてからの付き合い。
事故そのものはあたしの不注意によるものなんだけど、クロウドは上司と共にお詫びの記者会見までやらされた。兄の惣一が海上自衛隊なので、自衛隊の置かれた立場は分かっているつもりだったけど、あらためて、その厳しさを実感した。
そして、留学先のクレルモンへの機内で、上司の通訳としてフランスへ行く途中のクロウドと同じになった。
彼とはClaude Leotardのこと。
日本人の母とフランス人の父を持ちながら自衛隊の兵隊さんをやっているという面白いやつ。渋谷で彼が運転する車に跳ねられてからの付き合い。
事故そのものはあたしの不注意によるものなんだけど、クロウドは上司と共にお詫びの記者会見までやらされた。兄の惣一が海上自衛隊なので、自衛隊の置かれた立場は分かっているつもりだったけど、あらためて、その厳しさを実感した。
そして、留学先のクレルモンへの機内で、上司の通訳としてフランスへ行く途中のクロウドと同じになった。
偶然の再会にびっくりするやら驚くやら。
乗っていた飛行機のトラブルで、クロウドは二百人余りが乗ったジェット機の操縦をするハメになった。クロウドの父はフランス空軍のパイロットで、クロウドも子どものころから、パソコンのシミュレーターで一通りの操縦をマスターしていたんだ。
しかし、本物のジェット機の操縦は初めてで、上司とあたしが付き添って、なんとか、この試練を乗り越えた。
それから異変が起こるようになった。
時々クロウドの思念が飛び込んでくるようになったのだ。
最初はイメージだった。ホテルのベッドで高熱を出して寝込んでいるクロウドの姿が浮かび、ついには自分自身も発熱し息苦しくなってきた。
心配になってホテルに電話して、クロウドの安否を確認してもらった。クロウドはジェット機を操縦したストレスで熱を出していた。
クロウドは病院に連れて行かれて事なきを得たんだけど、びっくりした。
しかし、本物のジェット機の操縦は初めてで、上司とあたしが付き添って、なんとか、この試練を乗り越えた。
それから異変が起こるようになった。
時々クロウドの思念が飛び込んでくるようになったのだ。
最初はイメージだった。ホテルのベッドで高熱を出して寝込んでいるクロウドの姿が浮かび、ついには自分自身も発熱し息苦しくなってきた。
心配になってホテルに電話して、クロウドの安否を確認してもらった。クロウドはジェット機を操縦したストレスで熱を出していた。
クロウドは病院に連れて行かれて事なきを得たんだけど、びっくりした。
わたしはクロウドの泊まっているホテルの名前さえ知らなかったんだよ(;'∀')!
病院に見舞いに行って、クロウドと話しているうちに、その不思議に気付いた。
一瞬運命の糸などと思いかけたけど(^_^;)、ちょっと違う。
なぜならね、一緒にいたクロウドの上官小林一佐の想念も飛び込んでくるようになった!
病院に見舞いに行って、クロウドと話しているうちに、その不思議に気付いた。
一瞬運命の糸などと思いかけたけど(^_^;)、ちょっと違う。
なぜならね、一緒にいたクロウドの上官小林一佐の想念も飛び込んでくるようになった!
クロウドならともかく、オッサンの小林一佐に、そういう感情をもつことはあり得ない!
あ、クロウドにそう言う気持ちがあるってことじゃないからね。
小林一佐は、どうやら、それに気付いたようで、彼の思念は、ほんの希にしか感じなくなっていた。でも、クロウドの思念はしょっちゅうだ。今もヘマをやらかして凹んでいる姿が飛び込んできた。
――凹むんじゃないわよ、ヘマをやるのは仕事をやっている証拠!――
そうメールを打っておいた。クロウドとは、いいメルトモになったのだ。
小林一佐は、どうやら、それに気付いたようで、彼の思念は、ほんの希にしか感じなくなっていた。でも、クロウドの思念はしょっちゅうだ。今もヘマをやらかして凹んでいる姿が飛び込んできた。
――凹むんじゃないわよ、ヘマをやるのは仕事をやっている証拠!――
そうメールを打っておいた。クロウドとは、いいメルトモになったのだ。
大学からは、留学二カ月目で日本での資料収集を指示された。
多少の戸惑いはあったけど、教室の顔ぶれをみれば「ありうる」と納得した。
最初に言われた目的地が大阪で、関空から直行した大阪駅で妹さくらのロケに出くわした。
大阪だから川端康成、織田作之助、司馬遼太郎、今東光、藤本義一などの名前が浮かんだけど、目的地は自衛隊のS駐屯地だった。最初は意外に思ったけどS駐屯地は敷地も広く、古墳などの遺跡や史跡が駐屯地内にある。で、実際そういうもののリストも大学から渡されている。
それは突然だった。
地下街のトイレに入ったところ、急に若い女にスプレーを吹きかけられた。一瞬の差で顔を背けたけど少し吸い込んでしまい、クラクラした。
「ちょっと、陽子大丈夫?」
多少の戸惑いはあったけど、教室の顔ぶれをみれば「ありうる」と納得した。
最初に言われた目的地が大阪で、関空から直行した大阪駅で妹さくらのロケに出くわした。
大阪だから川端康成、織田作之助、司馬遼太郎、今東光、藤本義一などの名前が浮かんだけど、目的地は自衛隊のS駐屯地だった。最初は意外に思ったけどS駐屯地は敷地も広く、古墳などの遺跡や史跡が駐屯地内にある。で、実際そういうもののリストも大学から渡されている。
それは突然だった。
地下街のトイレに入ったところ、急に若い女にスプレーを吹きかけられた。一瞬の差で顔を背けたけど少し吸い込んでしまい、クラクラした。
「ちょっと、陽子大丈夫?」
え?
スプレーを吹きかけた本人から声を掛けられた。
――こんな女知らない!――
声が出なかった、もう一人若い女が入ってきて、まるで友だち二人で具合の悪いあたしを介抱するように連れ出そうとした。
――だ、だれか助けて!――
スプレーを吹きかけた本人から声を掛けられた。
――こんな女知らない!――
声が出なかった、もう一人若い女が入ってきて、まるで友だち二人で具合の悪いあたしを介抱するように連れ出そうとした。
――だ、だれか助けて!――
☆彡 主な登場人物
- 佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
- 佐倉 さつき さくらの姉
- 佐倉 惣次郎 さくらの父
- 佐倉 由紀子 さくらの母 ペンネーム釈迦堂一葉(しゃかどういちは)
- 佐倉 惣一 さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
- 佐久間 まくさ さくらのクラスメート
- 山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
- 米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
- 白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
- 原 鈴奈 帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
- 坂東 はるか さくらの先輩女優
- 氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
- 秋元 さつきのバイト仲間
- 四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
- 四ノ宮 篤子 忠八の妹
- 明菜 惣一の女友達
- 香取 北町警察の巡査
- クロウド Claude Leotard 陸自隊員