大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女なんかじゃないぞ これでも悪魔だ こ 小悪魔だけどな(≧ヘ≦)!5『ダークサイドストーリー・1』

2024-01-19 15:12:58 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃないぞ これでも悪魔だ こ 悪魔だけどな(≧ヘ≦)!

5『ダークサイドストーリー・1』 
 
 本作は旧作『小悪魔マユ』を改作したものです




 この時間は、いつもこうだ。


 誰も授業を聞いてねえ。


 英語の片岡先生の授業だ。


「……というわけで、接続詞の用法はわかったかなぁ」


 ほんの一瞬、みんなは先生の方を向くが、すぐにそれぞれ勝手な事を始める。

 マンガやラノベを読む奴。ヒソヒソ声で話す奴。スマホを教科書で隠してメ-ルを打っている奴。むろん率先してやっているのはルリ子たちだけどな、マユの友だち、沙耶、里依紗、知井子さえも、この授業の間は内職をやってやがる。
 
 聖城学院は、そこそこの私学で校則も厳しくて授業もちゃんとしている……数人の先生の授業以外はな……その数人の先生の中でも、片岡先生は無視を超えて蔑ろにされて、ワルプルギスの夜のように無秩序だ。

 無秩序というのは小悪魔にとっては望ましい状況なんで、マユは好きだ。

 マユも、この時間は、魔法とも言えないイタズラをして楽しんでるぞ。

 ラノベに熱中すると膝が開いてくるルリ子の取り巻きの一人に、ちょいと指を動かす。足許から風が巻き上がり、スカートがひるがえる。アミダラ女王のパンツが丸見えになる。 

 ルリ子の仲間は、みんなアミダラ女王のパンツらしい。『スターウォーズ』の3Dを見てファンになり、わざわざ輸入雑貨専門のネットショッピングでアメリカから取り寄せたそうだ。その子のアミダラ女王と目が合って、片岡先生は一瞬ドキリとしたが、並の男が感じるドキリとは違った。

 え?

 マユは、少し意外だったぞ。

 メールをやりとりしていた美紀とルリ子のスマホの画面にはいきなりダースベーダーのドアップを3Dで出してやった。

『おまえは、すでに暗黒面に取り込まれた!』

 ダースベーダーが一喝。

「キャーー!」「キャハハ、うっけるぅ!」

 美紀は悲鳴をあげた。が、ルリ子は喜んで嬌声をあげた。

 スカートめくりよりも教室は賑やかになったけど、片岡先生は我関せずと、気のない授業を続ける。

 片岡先生のあまりな無気力さが面白くて、マユは先生の心を覗いてみたぞ。
 
――え……読めねえ――

 マユに見えた先生の心は具体性のない闇だ。闇と言ってもダースベーダーのような力はねえ。

 普通の人間の心を覗くと、散文的な不満や、不安や、欲望が見えてくる。それが、先生の心からは見えてはこねえ。

 ちょうど四時間目の授業だったんで、授業が終わったあと、マユは先生の後をつけていった。

「マユ、食堂……フグッ(;'×')」

 呼びかける知井子の口にチャックをした。知井子は友だちとして親切で言ってくれてるんだけどな、お楽しみの邪魔になったら容赦はねえ。

 廊下を歩く片岡先生の心は空虚だ……闇じゃねえけど、濃い雨雲の中みてえに気持ちの悪い空虚さ。

 階段の踊り場で、ちょっと魔法をかけたぞ。

 ガチャガチャガチャ……

 片岡先生の手からチョーク箱やえんま帳やらが滑り落ちて、階段を下の階まで落ちていった。

「あ、ああ……」

 さすがに、片岡先生は声をあげ、オデコに手をやってため息ついて階段を下り、ノロノロと商売道具を拾い集めようとした。階段の下にいた生徒たちがそれを手伝いやがった。

 一瞬、片岡先生の心にイメージが浮かんだ。

 それは、一人のブルネットの若い女性……スッピンのアミダラ女王に似てる。

「はい、先生」

 最後のチョークを拾い上げたのは、落第天使の雅部利恵だったぞ……。



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生 

 


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RE・かの世界この世界:225『タングリス吠える』

2024-01-19 07:29:59 | 時かける少女
RE・
225『タングリス吠える』テル 


 

「背嚢の中で話しは聞いた、戻ろう!」

 手早く衣類を身に着け装具を整えるとタングリスは吠えた!

 お産で言えば、いささかの早産。入学したての高校一年生ほどの体格に、軍服の袖も裾もまくり上げ、凛々しくも可愛いマナジリを上げた姿は、頼もしいというよりは痛々しい。

「ダメだ! まだ蘇えったばかり、それではまともに戦うことなんて……」

「できるできないではない! 姫とタングニョーストが体を張って……!?」

 ウオーーン……グギャァァン……カキンカキーンカキーン……

 そこまでタングリスが吠えた時、洞窟の奥の方から雄たけびと剣戟の音が木霊してきた!

「戦闘になっている!」

「待てタングリス!」

 伸ばした手は空を掴む。

 未熟で再生したぶん身が軽くなっている。あっという間にタングリスは奥に進んで行く。

 羨道の奥、剣戟や打撃の閃光が花火のように煌めき、鬼どもの影が明滅する! 四人の姿はほとんど見えない!

 ウワ!

 玄室の戦いはたけなわ、玄室から男神とヒルデが押し出されてくる。

「テル、タングリスが中へ! タングニョーストも!」

「戻りましょう! 助けなければ!」

 自分の立場も忘れてイザナギさんが目を血走らせる。

『二人を頼むぞー!!』『逃げろーテル!』

 タングリス、タングニョ-ストの声が響く。

「時間を稼いでくれている、ここは逃げるんだイザナギ殿!」

「見捨てることはできない!」

「たとえ一人になろうと、国生み神生みは道半ばではないか! 創造神としての自覚を持たれよ!」

「それはそれ、これはこれです!」

「ヒルデ、わたしが二人を連れ戻す、イザナギさんを外に!」

「すまん! 無理はするな!」

「テルさん!」

「イザナギ殿っ!」

 イザナギさんをヒルデに任せ、玄室に走る!

 人一人がやっとの羨道に雄たけびと鬼どもの奇声、イザナミの怒声が響く。

 まだ無事なようだが、鬼どもの方が勢いづいている。

 急がなければ!

 オリャアアアアアアア!!

 渾身の雄たけびを上げ、弾丸のように空を切って突き進む!

 ズガ! ビシベシ! ドゲシ! ドゴ! ベシビシ! ズサ! ビシビシビシ!

 我ながら、電光石火! 乾坤一擲! 獅子奮迅!

 二秒足らずで数十匹の鬼を切り伏せぶちのめして活路を開く。

「逃げろ二人とも!」

 ビシビシビシ!

 声は無いが了解という感じでソードが一閃、鬼どもがわずかに身を引いた!

 今だ!

 シャキン! シャキン!

 後ろざまに羨道に駆け戻り、ソードにXを描かせて天井と側壁を切り崩す!

 ムヘン以来さまざまな危機を乗り越えてきた。とは云え本性は文系のJK、我ながらどこにそんな力があったのかと驚くが、トラック一杯分ほどには岩を切り崩して羨道を塞いだ。

 ……無我夢中、やっとの思いで開けたところに戻る。

 身に着けたばかりの軍服を血みどろのズタボロにしたタングリスは戻っていた。

 だが、タングニョーストの姿が無かった。


 
☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――
  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ 櫛名田比売 ヨネコ
―― この世界 ――
 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 
 

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ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第55話《あかぎ奇譚・2》

2024-01-19 05:03:45 | 小説7
ここ世田谷豪徳寺 (三訂版)

第55話《あかぎ奇譚・2》惣一 




「護衛艦カレーグランプリ イン よこすか」


 三面記事のコラムあたりで、ご存じの方もおられるだろうが、わが「あかぎ」も無謀ながら参加した。
 15隻の艦艇から、各艦ご自慢のカレーの店を出し、お客さんの投票でトップを決めようという、市民との交流を主眼に置いたイベントである。

 これに、なんと「あかぎ」の烹炊長がノってしまった。

「あかぎ」は、船こそ海自で最大最新の護衛艦であるが、それは護衛艦としての能力である。烹炊にかけては、古い艦の方に分がある。

 海自のカレーは旧海軍の伝統を引き継いだもので、その目的は、曜日感覚が鈍くなる海上勤務で、曜日感覚を無くさないため、海自の各艦は、金曜日のメニューはカレーと決まっている。

 で、百年あまり続けていると、単なる習慣を超えて、ほとんど軍事機密。各艦で独自のレシピがあって、部外秘になっていることが多い。

 自然艦齢の古い艦ほど、磨きが掛かっていて、レストランで言うと、そこらへんのファミレスと、戦前から続く老舗ほどの違いがある。


「勝負はともかく、乗員の士気を高めるには、杉野君の結婚と同じくらい効果がある」


 艦長の決裁で決まってしまった。烹炊科のメンバー始め、乗組員はみな張り切ったが、オレはいやな予感がした。

――オレと杉野曹長はかり出される――

 杉野曹長のカミサンは某放送局の美人アナ。でもって、新婚。こないだの結婚式での元大和の乗り組みだったお祖父さんの話はネットでも流れ、アクセスはかなりのものがある。放送局が、これにのってこないわけが無い。

 それに、オレの妹は女優のタマゴ。つい先日『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』の映画に脇役ながら主役の親友役として出ることが決まったことでもあり、その線からの脅威も排除できなかった。

「杉野君と、佐倉君も出てくれるね?」

 予想通り艦長は命じてきた。



「なんで、こんなエプロンなんですか!?」

「はあ、家内が、どうしても、これを付けろと言うものでありますから」

 早くも尻に敷かれた杉野曹長が、カレー色に「あかぎ」のロゴと、なぜか萌えキャラのプリントがされたエプロンを差し出した。

 この日ばかりは、岸壁やら沖に停泊した護衛艦は、ただの背景になり果てている。
 なんと言っても百年の伝統のカレーである。カレーに関しては日本で一番古いのが海自である。開場一時間前には、長蛇の列が出来ていた。

 で、案の定、開場と同時にネットで面の割れた杉野曹長と、そして同じエプロンをした俺の「あかぎ」のテント前に人が殺到した。むろん、その先頭は某放送局である。

「今日は『護衛艦カレーグランプリ イン よこすか』に来ております。こちらが自衛隊最新最大の護衛艦『あかぎ』のブースになります」

 杉野のカミサンであり、看板女子アナである彼女が語り始めると、吉本のタレントが、特徴のあるメガネをかけて、MCになってしまった。

「みなさ~ん。この純子アナと杉野さんは、他人行儀な顔をしてますけど、つい先日ご結婚されたばかりです。今日のエプロンも純子アナのお手製とか。まあ……この胸の萌えキャラは『ガルパン』の西住みほじゃあーりませんか! これ、やっぱり奥さんの趣味ですか?」

「は、家内は陸と海の区別もつかんようで。でも、こういうことは家内まかせですので……」

「ハハ、どうやら『あかぎ』は中辛カレーのようです」

「こちらのイケメンの方が、何を隠そう、今売り出し中の女優佐倉さくらさんのお兄様です。こんにちは佐倉さん。今日は妹のさくらさんは?」

「は、あいつも何かと忙しいようで……」

「忙しいお仕事の一つが、今日の『護衛艦カレーナンバー1グランプリ イン よこすか』のレポートです!」

 なんと、さくらが別のテレビクルーを連れてやってきた(-_-;)。

「今度『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』に出演させていただくことになりました。それを記念して、みんなで『フォーチュンクッキー』一発やっておこうと思います。むろん先頭は、わたしの兄の佐倉三等海尉です。では、はりきっていきましょう!」

 放送局が、いつのまにか設置した機材から、大音量の「フォーチュンクッキー」。あっという間に数百人の踊りの輪になってしまった。さくらのやつは、オレが二尉に昇進したことを忘れててるし……。

 で、扱いこそ、大々的であったが、肝心の勝負は、某潜水艦にもっていかれてしまった。

 艦長の目論見通り、親睦と士気の高揚という目的は、オレの恥さらしという犠牲の上に成功裏に終わった。


 しかし、このほのぼのとした空気は、南西海域への出航任務で消し飛ぶことになる……。



☆彡 主な登場人物
  • 佐倉  さくら       帝都女学院高校1年生
  • 佐倉  さつき       さくらの姉
  • 佐倉  惣次郎       さくらの父
  • 佐倉  惣一        さくらとさつきの兄 海上自衛隊員
  • 佐久間 まくさ       さくらのクラスメート
  • 山口  えりな       さくらのクラスメート バレー部のセッター
  • 米井  由美        さくらのクラスメート 委員長
  • 白石  優奈        帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
  • 原   鈴奈        帝都の二年生 おもいろタンポポのメンバー
  • 坂東 はるか        さくらの先輩女優
  • 氷室  聡子        さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
  • 秋元            さつきのバイト仲間
  • 四ノ宮 忠八        道路工事のガードマン
  • 四ノ宮 篤子        忠八の妹
  • 明菜            惣一の女友達
  • 香取            北町警察の巡査
  • タクミ           Takoumi Leotard  陸自隊員 
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