魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
38『赤ずきんと狼男』
――ああ、ここにいたのか――
振り向くと、楓(かえで)の葉っぱが一枚宙に浮いていやがる。
「そんなに気を遣わなくてもいいわよ、風邪をひくわよぉ(-_-;)」
赤ずきんが、葉っぱの方を見ないようにして言いやがる。
――でも、姿を現したらキミが辛いだろう――
「もう、気持ちの整理はついたから。それに透明になって身を隠すんだったら、その楓の葉っぱはよしたほうがいいわよ」
――透明でも……ここだけは、きまりが悪くって――
「葉っぱがユラユラしてるの、かえっていやらしいわよ」
――そ、そっかなあ――
「エヘン……あのな、マユはぜんぶ見えてるんだぞ」
葉っぱの1メートル上のところを見ながら言うと。葉っぱがびっくりしたように落ちてしまって、さすがのマユも真っ赤になっちまったぜ(#'∀'#)。
――ほ、ほんとか( ゚Д゚)!?――
「ああ、ほんと」
大あわてで、葉っぱが元の位置にもどると道の向こうにすっ飛んで、薮の中に隠れてしまいやがった。
「ごめんねぇ、情けないとこ見せちゃって」
「あれが、赤ずきんタソガレの原因なんだな」
「うん……あいつが戻ったら、説明するわね」
少しすると、気配が服を着て現れた。
少しすると、気配が服を着て現れた。
マユは斜め向かいに別のベンチを出してやったぞ。
「ひょっとして、キミがウワサの魔法使い……おっと、危ない。このベンチ、崖のすぐ間際だよ!」
「ひょっとして、キミがウワサの魔法使い……おっと、危ない。このベンチ、崖のすぐ間際だよ!」
「そう、事と次第によっては、ベンチごと崖下に落してやるからな」
ふーっと息を吹きかけると、ベンチが後ろに傾いた。
「ワ、アワワワ(''◇'')!」
「ああ!」
イケメンが吉本のお笑いみてえに慌てやがる。意外な反射神経で赤ずきんがそいつの脚を掴んで、危ういところを引き戻しやがった。
それから、そいつ九割、赤ずきん一割ぐらいで事情を説明しやがる。
「……と言うわけ」
「……と言うわけ」
「……なのよ」
「エ――( ゚▢゜)!?」
「ウワァアアーーー(≧◇≦) !」「キャーーー(≧⊿≦) !」
マユは慌てて口を押さえたけど、漏れた息で、イケメンは手を伸ばした赤ずきんごと落ちていきやがった!
「あ、ごめん……」
ふたりはバラエティーで罰ゲームをうけた二線級アイドルみてえな引きつった笑顔で戻って来て、話の続きをしやがった。
「じゃ、なに、赤ずきんは、この狼男。それをそうだとは知らずに好きになった。で、この狼男は、狼になったときに、知らずにお婆ちゃんと赤ずきんちゃんを食べちまったってわけか!?」
「じゃ、なに、赤ずきんは、この狼男。それをそうだとは知らずに好きになった。で、この狼男は、狼になったときに、知らずにお婆ちゃんと赤ずきんちゃんを食べちまったってわけか!?」
「「うん……」」
二人がそろってうなづいた。
「で、でもよ……どうして、そのことが分かったんだ!?」
「……それは……ね……この人の裸を見たら、お腹に大きな傷があって」
「ボクは、腎臓結石をとったときの傷だと思っていたんだ。だってお母さんがそう言ってたから」
「わたしも、それで納得したんだけどね。デートが終わって、名残惜しいものだから、ずっと彼が帰っていく姿を見ていたの。そうしたら峠を越えた向こうで狼の遠吠えがして……てっきり彼が狼に襲われたと思って、怖さも忘れて駆けつけたの……」
「そうなんだ、赤ずきんちゃんは、自分も裸だったのにもかかわらず、ボクのことを心配して駆けつけてくれたんだ」
「すると、そのとき、雲がお月さまにかかって……この人が、ちょうど人間にもどりかけているところを見てしまって、思わず叫び声をあげてしまったの。マユほどじゃないけど、わたしの叫び声もすごくて、あのとき、わたしを助けてくれた猟師さんが駆けつけて『そいつは、こないだお婆ちゃんと赤ずきんちゃんを食べた狼だ。その傷はわたしが縫ったんだから!』なって」
「ボクは、なにも知らなかったんだ。そのとき、初めて自分が狼男だったってことが分かったんだ……(-_-;)」
マユは眉をつり上げて聞いたぞ。
「でもよ、そうだったとしても、自分のお腹にいきなり大きな傷ができて、なんとも思わなかったのかよ!?」
「ボクは、子どものころから記憶がまだらなんだ。血だらけで帰ったり、服がボロボロになっていたり……そのつど、お母さんが説明してくれて……」
「そうか……でもよ、そんな夕暮れ前に、なんで二人裸でいたんだ……?」
「それは……(-○-;)」「ねえ……(-,-;)」
見交わす二人の目から☆が出て、ぶつかって、大きなハートマークになっていきやがった!
見交わす二人の目から☆が出て、ぶつかって、大きなハートマークになっていきやがった!
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- 狼男
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生