愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題 110 飛蓬-漢詩を詠む 27: 縄文の女神が做(ミ)た夢

2019-07-05 10:28:50 | 漢詩を読む
八頭身で、美尻(?)の麗人のため息:

   “国宝”と言われても……。
     起こしてほしくなかったワ!“ (写真参照)


写真:縄文の女神

・「土偶の“縄文の女神”です。よろしく、お見知り置きください。」
-東京かパリのファッションショウでお目に掛かったような気がしますが?」
・「約5,000~4,500年前に山形で生まれ、土中で寝(ヤス)んでおりましたの。寝んでいる間に とても明るく楽しい夢をみていたのヨ!
この青い星、夢いっぱいの明るい星となるよう願っているワ!」

xxxxxxxx
<原文 と 読み下し文>  
縄文女神做的夢  縄文の女神が做(ミ)た夢 [上平声 四支韻]
打碎砂中悠遠時, 打ち砕かれ 砂中に 悠遠(ハルカトオイ)時(ムカシ)のこと,
黏合片片整斉姿。 片片 黏合(ハリアワ)されて 整斉(トトノエ)し姿。
摩登姿態動揺魂, 摩登(モダン)な姿態(シタイ)は人の魂を動揺(ユサブ)り,
古代麗人懐往時。 古代の麗人は往時(オウジ)を懐(オモ)う。
前望舒陪月亮玩, 前には望舒(ボウジョ)が御し 月亮(ゲツリョウ)と陪(トモ)に玩(アソ)ぶ,
後飛廉繞昊天馳。 後(ウシロ)には飛廉(ヒレン)が昊天(コウテン)を繞(メグ)って馳せる。
離開吵閙人間界, 吵閙(ソウゾウ)しい人間界から離開(リカイ)し,
天上無争仙境怡。 天上 争い無く仙境(センキョウ)に怡(タノシ)む。
 註] 黏合:接合する;  摩登:モダンな;
   望舒:月の車をひく御者。月は馬車に乗って夜空を回るという(屈原・離騒より);
   飛廉:風の神(屈原・離騒);  昊天:おおいなる空;
   吵閙:騒々しい

<現代語訳>
 縄文の女神が見た夢
打ち砕かれて土砂に埋まったのは遥かに遠い昔のこと、
掘り起こされて片々を貼り合わされて、均整の取れた美しい姿`となった。
モダンな姿は見る人の魂を揺さぶるも、
古代の麗人は夢に在りし日のことを思い懐かしんでいる。
望舒が御する馬車に乗ってお月さまと一緒に遊び、
風の神 飛廉は後ろから風を送って、大いなる天空を巡るのを援ける。
騒々しい人間界から離れて、
天上界はなんら争いのない、和やかな別天地であった。
xxxxxxxxx

“縄文の女神が做(ミ)た夢”については、すでに投稿済みです(閑話休題55、2017.11.03投稿)。実は当時、漢詩作成のルールを十分に理解していない状態で、女神に接した感激が大きく、その“想い”だけに頼って書いたものでした。

現在やっと漢詩作成の“ルール”を理解し、作品に反映させることができた次第です。少なくとも形式の上では、鑑賞に耐えうる作品になったか と。縄文の女神をはじめ、本詩をめぐる諸々のことは、先に詳述しましたので、前稿をご参照ください。

要点を簡単に紹介しますと。山形県西ノ前縄文遺跡から、破片として発掘されたもので、張り合わせの結果、高さ45㎝の土偶となった。’17年10月、京都国立博物館の開館150年記念 国宝展で出品されていました。

縄文の土偶としては、まず相撲取りが二回りも三回りも大きく、太ったような像を想像します。件の像は“異質”さを感ずるほどに、モダンな姿態で、何度見ても見飽きない“現代”感覚を感じます。その思いを詩にしたものです。

その作製や破片に砕かれた などの事情が解ると面白いですネ。特に、東北の日本海側の遺跡で発掘された ということで、一層興味が湧きます。研究が待たれます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 閑話休題109 漢詩を読む 酒... | トップ | 閑話休題 111 飛蓬-漢詩を... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

漢詩を読む」カテゴリの最新記事