OMOI-KOMI - 我流の作法 -

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顧客の声の妄信

2006-07-22 00:20:00 | 本と雑誌

(イノベーションのジレンマ(クリステンセン))

 クリステンセン氏の立論においては、「顧客の声への対応」がひとつのポイントとなっています。

(p80より引用) 「顧客の意見に耳を傾けよ」というスローガンがよく使われるが、このアドバイスはいつも正しいとはかぎらないようだ。むしろ顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、率直に言えば誤った方向に導くことがある。

 成功企業の失敗は、破壊的技術を現在の主流顧客のニーズに合わせようとすることが根本原因です。

(p24より引用) すぐれたマネージャーは顧客と密接な関係を保つという原則に盲目的に従っていると、致命的な誤りをおかすことがある。

 成功している優良企業、その中の優秀なマーケティングスタッフは、当然のごとく顧客志向で判断しますから、必ずこの落とし穴に嵌ってしまうのです。

(p19より引用) 主流顧客がどのように製品を使うのかといった動向を注意深く判断する企業だけが、市場で競争の地盤が変化するポイントをとらえることができる。

 ここでのポイントは「顧客がどのように『使う』のか」を把握することです。
 買われ方だけでなく、使われ方まで理解しないと、現在の提供機能が、不足しているのか or 適切なのか or 過剰なのかは分かりません。

 過剰スペックの製品を提供しつづけていると、いつか、許容最低限の機能をもち、信頼性や利便性、さらには価格といった面で強みをもつ破壊的技術を抱えた新規参入企業に主役の座を奪われることになるのです。

 顧客を「購買者」としてのみ見てはならないということです。
 「利用者」として見るという別の視点が「ジレンマ」脱出のカギになります。

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