ドラッカー氏自身も指摘しているように、氏の将来予測が的確なのは、今すでに起こっている未来の兆候を卓越した感性?(高感度アンテナ)で捉えているからです。
(p4より引用) 重要なことは「すでに起こった未来」を確認することである。
その「確認」は演繹的ではありません。理論的に単線で導かれるものではないのです。
(p14より引用) 理論が実践に先行することはない。理論の役割は、すでに有効性を確認された実体を体系化することにある。
もちろん現在の中にある変化の芽を捕捉するだけでは十分ではありません。その未来の兆候をどう解釈するか、その意味づけが圧倒的な差になります。
「未来」を志向する考えは、「能動的」な「先手を打つ」アクションにつながります。
たとえば、「コスト管理」という側面では、
(p231より引用) コスト管理とは、コスト削減ではなくコスト予防でなければならない。
コスト管理を、「すでに膨れ上がってしまったコストを削減するためのアクション」と見ると、脅威に対する受動的な対処療法と位置づけられてしましいます。
他方、「コスト予防」という将来に対するアクションと意味づければ、脅威ではなく機会として見る事ができます。
また、陳腐化の危機も、自らの能動的な先取りアクションで機会と意味づけることもできます。
(p239より引用) 自らの製品、サービス、プロセスを自ら陳腐化させることが、誰かに陳腐化させられることを防ぐ唯一の方法である。
上記のようなアクションの実行にあたっては、「プラニング」が必須です。具体的なアクションの「プラニング」そのものに、「未来を折り込む」ことが求められるのです。
(p342 より引用) プラニングにおいて重要なことは、明日何を行なうかを考えることではない。明日のために今日何を行なうかを考えることである。重要なことは、未来において何が起こるかではない。いかなる未来を今日の思考と行動に折り込むか、どこまで先を見るか、それらのことをいかに今日の意思決定に反映させるかである。