そもそも「宅急便」事業は、周囲すべての反対の中、経営危機を脱するべく、小倉氏が「乾坤一擲の大事業」として立ち上げたものでした。
そのチャレンジ精神は、続く「スキー宅急便」でも発揮されました。
小倉氏に言わせれば、こういうチャレンジこそが経営の醍醐味だということのようです。
(p147より引用) スキー宅急便でも似たような苦労を味わった。しかし、このサービスを始めたことで、運送会社にとって運行の妨げになる雪が、需要を喚起する天の恵みに変わったのである。デメリットあるところにビジネスチャンスあり。これが経営のだいご味だと思う。
「宅急便」事業の展開・拡大期において「官僚と闘う男」との勇名をはせた小倉氏です。
その反官僚の気概は、氏が晩年取り組まれた「福祉事業」への関わり方にも表れています。
小倉氏は、単なる「補助金ばら撒き」といったやり方は決して採りませんでした。
障がい者の方の給料が「1万円」であることに憤慨しました。同じように働いていて「1万円」とは何事か?それに疑問を抱かない福祉関係者にも不満を感じたのです。
そして、小倉氏は、障がい者自立化の支援を始めました、障がい者の方が自ら働いてひとりでも生活していけるよう「働く場所」を提供することに力を注ぎました。
小倉氏が私財を投じて設立した「財団法人ヤマト福祉財団」は、氏の想いを受け
「心身に障がいのある人もない人も、共に働き、共に生きていく社会の実現。そのノーマライゼーションの思想こそ、ヤマト福祉財団の基本理念です。」
と高らかにうたっています。
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