「ノンフィクション・ノベル」という中途半端なスタイルにも興味を持って読んでみました。
ただ、期待が大きかった分、正直に言って落差が大きいですね。
文才がない私がこう書くのは著者には大変失礼だとは思いますが、ノベルとの位置づけだとすると、筆力の貧弱さはあまりにも顕著と言わざると得ません。もちろん、本職のストーリーテラーと比較すること自体間違っているのでしょう。
では、ノンフィクションとして、虚構の部分を捨象したと想定してイメージしてみても、今度はその事実の積み上げの厚みに物足りなさを感じてしまいます。
今回の福島原子力発電所事故を取り上げた著作としては、以前に船橋洋一氏の「カウントダウン・メルトダウン」を読んだのですが、私としては、船橋氏の著作をお薦めします。
こちらの方は純粋な「ノンフィクション」ですが、若杉氏の著作よりも遥かに重厚で、(被災された方々には不謹慎な言い様でお許しいただきたいのですが、)圧倒的にドラマチックです。
最後に、一言。
本書の中で、原子力規制庁の西岡進課長補佐が逮捕されるくだりがあるのですが、ここで書かれているような捜査が実際に行われるとしたら、本書の著者もあっという間に特定されてしまうでしょうね・・・。
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