私がこのところ読んでいる本の一つの流れは、大きくは民俗学のジャンルも含めた日本人論です。
この本は、ちょうどその範疇の「明治から昭和期の代表的著作」を要領よく紹介したものでした。
全体は6つの章からなり、それぞれの章で、2・3人の学者・作家等の代表的著作を取り上げ概括しています。
- 明治開国と民族意識のめざめ : 志賀重昂・新渡戸稲造・岡倉天心
- 民俗の発見 : 柳田國男・折口信夫・柳宗悦
- 日本哲学の創造 : 西田幾多郎・和辻哲郎・九鬼周造
- 文人たちの美学 : 谷崎潤一郎・川端康成
- 伝統日本への反逆と新しい日本像の発見 : 坂口安吾・岡本太郎
- 西欧近代社会モデル対伝統日本心性 : 丸山真男・土居健郎
この本で紹介されている15人のうち、新渡戸稲造氏、岡倉天心氏、柳田國男氏、九鬼周造氏、丸山真男氏の5人は、このBlogでも紹介したことがあります。
が、やはり、概観といえども専門家の紹介は的確です。
当然ではありますが、私の理解とは天と地ほどの差があります。私の場合、哲学や文化論の専門知識の欠如はもちろんですが、論旨をコンパクトに整理し著述する力もまだまだ勉強しなくてはなりません。反省です。
たとえば、九鬼周造氏の代表的著作『「いき」の構造』の「意味づけ」「位置づけ」について、著者は、「感性の論理化」というコンセプトで以下のように結論づけています。
(p150より引用) 生の哲学、現象学、実存哲学、哲学的人間学など、20世紀初頭以来の哲学は、さまざまに感性的なもの、具体的なものを論理化、概念化しようと試みていたのであり、『「いき」の構造』は、まさに、その際立った成果のひとつだった。
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