東日本大震災 帰らない人びと (1)
復興庁が取りまとめた「住民意向調査」の第2回目が公表されたので、
調査結果を見ながら、避難した住民の意向を探ってみたい。
原発周辺の福島県の自治体は避難の長期化を見越し、
住居や学校、医療機関などを建設し集約する「仮の町構想」を描いてきた。
国が土地を用意し、暮らしの機能を丸ごと移す。
各地に散らばった住民がそこに集まって一緒に生活する。
長期間避難者のほとんどを占める大熊、双葉、浪江、富岡の4町が計画した。
集団移住する仮の街の災害公営住宅の入居意向(復興庁調べ)
『仮の町構想・町外コミュニティ・風の行方(19)参照』
|
入居希望 |
入居しない |
判断できない |
大熊町 |
24.7% |
36.6% |
37.2% |
浪江町 |
19.5% |
30.3% |
47.6% |
双葉町 |
6.7% |
42.8% |
45.5% |
富岡町 |
24.0% |
24.4% |
48.3% |
少なくとも事故から6年、今後4年は帰還できない町は
「仮の街構想(町外コミュニティ)」に基づいて、
他の町に生活の場を築こうとしている。
しかし、3月に復興庁がまとめた住民意向調査では、
災害公営住宅への入居希望者は、極めて少ない(上図)。
国や自治体の計画とは裏腹に、
現時点では入居希望よりも希望しない人が多く、
更に判断できない人の比率が各町とも最も高い。
見通しの立たない先行き不安な住民の立場が、
「判断できない」と回答せざるを得なかったのだろう。
入居を希望し、故郷に帰れるだろう6年後を待つ人。
入居しないで他の町に転出し帰郷の日を待つ人。
故郷には帰らない選択をし、生活の立て直しをする人。
事故から6年後の故郷の状態は誰にも想像できない。
土地は荒れ、家屋は朽ちる。
それでも希望の種をまいて、
双葉が目を出し本葉が伸びるころには、
被災地にも新しい春が訪れることを祈る。
|