東日本大震災 帰らない人々(2)
前回は「仮の町構想」に基づく災害公営住宅の入居希望について
福島第一原発立地自治体の4町の住民意向という視点で述べてみた。
今回は災害公営住宅の場所について、意向調査から調べてみた。
「仮の町」の設置を希望する自治体
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第1希望 |
第2希望 |
第3希望 |
大熊町 |
いわき市 |
郡山市 |
会津若松市 |
浪江町 |
いわき市 |
南相馬市 |
福島市 |
双葉町 |
いわき市 |
郡山市 |
南相馬市 |
※ 富岡町 |
いわき市 |
福島県外 |
郡山市 |
富岡町のデータ「今の住居で暮らしたい」又は「今の住居から引っ越したい」と「移動希望自治体(複数回答)」を合算して作成(復興庁)。ちなみに、このデータは現在の避難先と完全に一致している。(現住所から動きたくないという希望の表れなのか)。
なぜ「いわき市」なのか。
いわき市は浜 通り南部に位置し、
中核市に指定されており、人口(約33万人)、面積ともに県内最大である。
東北地方内では年間日照時間が最も長く、1日の平均気温が最も高い。
年間を通して寒暖の差が少なく、気候が安定していると言われる。
雪は山間部を除いてほとんど降らず、快晴の日が多い。
東北地方で最も工業製品出荷額が多い(約1兆900億円)工業都市でもある。
原発に依存し、見せかけの経済活性化と、
気付いてみれば途方もない危険なもの(原発)を抱えてしまった住民にとって、
追われた地が故郷とはいえ、
気候温暖と都市の便利性を兼ね備えた避難所に2年以上も暮らしてしまえば、
いつ帰れるか分からない故郷に執着するよりも、
新しい土地で、生活の立て直しをはかろうとするのは、ごく自然な感情の流れではないか。
特に若い世代にとっては「帰らない」志向が強い。
住み慣れた土地、
気心の知れた隣人との生活を望む高齢者の志向とは対極をなすものである。 (つづく)