風の行方(30) 「仮の町構想」(14)
帰らない人々(3)
今後4年間は帰町しないことを打ち出した4町は、
放射性物質の汚染が激しく、全住民が町外に避難を余儀なくされている。
政府は、避難住民の生活立て直しを「仮の町構想=町外コミュニティ」によって推進する政策を打ち出した。
しかし、復興庁の「住民意向調査」の結果、
町外コミュニティの基盤となる災害公営住宅への入居希望者は、
少ない現実が浮かび上がった[風の行方(29)参照]。
『いつ帰れるかわからない故郷』、4年後には帰還できるのか。
本当のところは誰にもわからない(一概に比較はできないが、チェリノブイリ原発事故により消えた村は、
26年経った現在でも立入禁止となっている)[風の行方(17)参照]。
帰還意向
帰還意向あり |
判断がつかない |
帰還意向なし |
|
大熊町 |
11.3% |
43.5% |
42.3% |
浪江町 |
39.2% |
29.4% |
27.6% |
双葉町 |
38.7% |
26.9% |
30.4% |
富岡町 |
15.6% |
43.3% |
40.0% |
※ 無回答の項目はカット
表から推測されることは、「捨てがたき故郷」とはいえ、
いざ帰還となると、これを断念せざるを得ない理由があるのだろう。
大熊町や冨岡町では「帰還の意向あり」と答えた人はわずかに1割強(4町平均で26.2%)である。
仮設住宅や借上げ住宅で不自由な避難生活に耐えながら、
災害公営住宅の設置を待ち、
「仮の町(町外コミュニティ)」で故郷への帰還の時期を待つ姿が見えてくる。
「帰還意向なし」の回答からは、
一刻も早く生活の立ち直りを計り、
自立への道を検討する若い人たちの姿が推測される。
「判断がつかない」と回答した人の割合が4町とも多い。
次回では、どんな思いが「判断がつかない」を選んだのか、この人たちの心の内を考えてみたい。
(つづく)