議会質問「売ります」
議員のレベル低下
「政務活動費」に関連した地方議員の醜態については、
議員の質とモラルの低下という視点で、400字詰め原稿用紙17枚・葉書10枚に渡り記録してきた。
しかし、事態はもっと深刻だ。
朝日新聞デジタル3月13日版、政務活動費47都道府県調査で浮かび上がった問題。
議員の支出先調査で、議会での質問案を専門業者から有償で提供してもらった議員がいたという。
更に4月3日付産経新聞では、
議会質問「売ります」、地方議員「買います」という見出しで大きく報じている。
地方議員の資質低下が指摘されるさなか、
議会での質問をアドバイスする議員向けの有料サービスを行う一般社団法人「つながる地域づくり研究所」の存在を明らかにしている。
各地の地方議員に送られたダイレクトメールの内容は、
議会質問のサンプルを有料で提供するという内容で、年会費は定例会4回分で97,200円。
同じ議会でサービスを利用する議員が重複すると困るためか、「1議会1名様」の限定募集の断りがついている。
朝日の調査では実際にこれを利用した議員の検証記事まで載せている。
その費用を「政務調査費」から支出するなど言語道断。
議会質問は本来、
地域の抱える問題を議員自身が、住民の声を掘り起し、
調査・研究の総まとめとして自治体側に問うことではないか。
議会における政治家の責務は、
議会において首長や担当部局に質問し、その責任を追及し代案を提案することだ。
しかし、最近の地方議会にはこうした気骨のある議員は非常に少なくなった。
「妥協と仲間意識」だけが強く、
素人でも作成できるようなおざなりな質問でお茶を濁している。
だから、ほとんどの首長提案はろくな議論もされず採択されてしまう。
議員が国や自治体から報酬を支給される以上、政治家は職業である。
議員質問は、議員活動の根幹だ。
プロとしての責任と誇りを持つなら、
質問案を業者に委託するなど、資質を問われても仕方がない。
こんな利用の仕方しかできない「政務活動費」なら、
ない方がいいと、問題を短絡的に考えてはいけない。
適正に有効利用している議員もいるのだから。
運用の仕方に問題があるのだ。 (2015.5.5記)
(昨日の風今日の風№28)