廃棄カツ横流し 激化する格安弁当 (昨日の風 今日の風№38)
カレーチェーン店が廃棄した冷凍ビーフカツが横に流しされた。
委託料を受け取り廃棄するはずだった産業廃棄物処理業者「ダイコー」(愛知県稲沢市)は、
この0円のカツを製麺業者「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)に1枚33円で売った。
さらに卸業者の三社が転売、愛知県津島市のスーパーで店頭販売された時には約80円になっていた。
各卸業者は「廃棄物とは知らなかった」と証言している。
果たして本当か?
まるで悪いのは「ダイコー」であり「みのりフーズ」であるという構図が みえてくる。
その「みのりフーズ」の経営者の証言。
「ダイコーからは帳簿を残さず、箱の詰め替え」を指示され、
中身のビーフカツを壱番屋の箱からみのりの名前の入った箱に詰め替えられ、
産業廃棄物は食品として店頭に並ぶことになる。
「みのりフーズ」から買い付けた二次卸業者は、
「大手チェーン店の過剰在庫が格安で出まわることはよくあり不思議に思わなかった」。
つまり、メーカーの名前を隠して裏の流通経路をたどって流れる商品は珍しくない。
在庫処分の商品の多くは、デスカウントショップなどに回され、アウトレット商品と明示して販売される。
メーカーによっては、自社ブランドに傷がつくことを嫌い、市場に流さない場合も珍しくない。
その場合、産業廃棄物として処分される。
寄付物件として老人施設や児童施設などに送られる場合もある。
この場合の商品は、立派に商品として成り立つ食品であることが鉄則。
産業廃棄物として依頼されたビーフカツは約4万枚。
「ダイコー」はその大半を「みのりフーズ」に横流しした。
そのうち約1万枚が弁当店に横流しされた。
格安弁当業界の競争も熾烈な戦いが続く。
300円を切る弁当の原価は、「40~45%以内という」。
つまり、一個当たり120円程度でご飯+付け合わせ+容器代などを差し引くとメインのおかずは
「60~70円」になってくる。
だから、賞味期限が近い、形が整っていない、在庫処分などの訳あり商品も仕入れなければならない。
今回の横流し事件も、まさにこうした業界の事情の中で起きた不祥事なのだろう。
「卸に出どころは聞かないのが暗黙のルール」ということだが、
職業倫理に外れるようなことは絶対にしてはいけない。
(2016.02.09記)