雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

啄木哀し (1) 青春と貧困

2016-02-14 13:51:31 | つれづれに……

啄木哀し(1) 青春と貧困

 今年は石川啄木生誕130年にあたります。わが青春の愛唱歌を紹介します。(生誕110年を記念して啄木記念館に建てられた啄木像。彼の像は沢山建てられているが、私はこれが一番気に入っている。貧困と闘い、不遇と闘った彼が見せる、穏かで優しい雰囲気が好きです)。

 「青春」

頬につたふ なみだのごはず 一握の砂を示しし人を忘れず

いたく錆びしピストル出でぬ砂山の砂を指もて堀りてありしに

  石原裕次郎の「錆びたナイフ」の歌の元にもなった。

砂山の砂に腹ばひ初恋のいたみを遠くおもひ出づる日

命なき砂のかなしさよさらさらと握れば指のあひだより落つ

 啄木にとって、青春も初恋も悲しみの代名詞でしかなかった。死に対するあこがれは、多感な青年の感傷だったのか

こずかたのお城の砂に寝ころびて空に吸はれし十五の心

  青春っていいなー 遠ざかりし青春。歌の甘さや切なさが中学生の私をとらえたのでしょうか。

 「貧困」

 たはむれに母を背負ひて  そのあまり軽ろきに 泣きて三歩あゆまず  

 こころよく我にはたらく仕事あれ それをしとげて死なんと思う

 はたらけどはたらけどなほ我が生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る

 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て妻としたしむ

 これに上げた歌も、中学生の時から折に触れて詠んでいた歌。早熟な少年の1ページが浮かんできます。

 (2016.2.14記)    (つづく)

コメント (3)
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