パパママ おねがいゆるして ③
虐待死 なぜ救うことができなかったのか
懸命に生きていた幼い命を、何とか救う機会はなかったか。自治体、児童相談所、警察の対応に問題はなかったか。 |
児相の業務の多忙さはかねて指摘されている。問題家庭と向き合う児童福祉司の人数はこの10年間で1・4倍になったが、その間に相談件数は3・3倍になった。努力にも限界がある。今回の事件を受けて、小池都知事は児相の増員と専門職の育成を表明した。むろん都だけの問題ではない。国をあげて取り組みを急ぐべきだ。(6/9朝日新聞)
児童相談所と結愛ちゃんとの関わり
① 以前の住まいのあった香川県(香川県の児相の対応)
2016.9月 近隣住民より通報があり、定期訪問開始。
12 月 通報により児相が一時保護
2017.2月 神奈川県警 結愛ちゃんへの暴行容疑で父親(雄大容疑者)を書類送検。
児相 一時保護解除
3月 結愛ちゃん2度目の一時保護
5月 雄大容疑者を再び書類送検。
7月 2度目の一時保護解除
児相による2度の一時保護が、二回とも雄大容疑者の書類送検後に解除になってい
る。恐らく書類送検(2度とも不起訴)時に、虐待をしない等のやり取りがあり、一時保
護が解除になったのであろう。だが、虐待は繰り返し行われる傾向にあり、容易に止め
ることができない。家庭内の密室で行われるために再発防止も確認が取れないところに
問題がある。
2度の一時保護のがあった時に、なぜ児童養護施設への措置を考えなかったのか。
② 東京目黒区に一家が移住(品川児相の対応)
2018.1月 なぜ移住したのか報道は伝えてない。
2度の書類送検や一時保護で居ずらくなり移住した可能性はないのか。
県の児相が品川児相に情報を引き継ぐ。
2月9日 品川児相が家庭訪問するも結愛ちゃんの姿を確認できなかった。
母親の様子から児相と距離を置きたがっていると判断し、
関係づくりを優先しようと考えたという。
子どもを守るため、直ちに権限を行使して親と引き離すべきか。それとも親との信頼関係を粘り強く築き、虐待をやめさせるよう支援を続けるほうが、その子のためになるか。児相にとって難しい判断だろう。 |
3月2日 雄大容疑者が119番通報。
結愛ちゃん搬送先で死亡
6/7の社説で、親との信頼関係という視点で、「児相にとっては難しい判断だろう」と述べてい
る。確かに、そういう二者択一の難しい判断だつたのかも知れない。
しかし、2月9日に家庭訪問して不首尾に終わった後、結愛ちゃんの死が確認されるまでの1カ
月近く、品川児相は報道による限り再度の家庭訪問を試みた様子はない。このことはあまりにも
緊張感を欠いた事例ではないか。
家庭という密室の中で、結愛ちゃんがどんな生活をしているのかを把握するためには、再度の
訪問を実行すべきだったのではないか。
児相には、家庭への立ち入り調査や親子を引き離す権限がある。 |
権限行使は十分な配慮の基に施行されなければならないが、躊躇するようなことがあってはなら
ない。児童の命に関わることもあると認識し毅然としてことに当たって欲しい。
朝日新聞社説の最後は次のように結ばれている。
「ほんとうにもうおなじことはしません」。 |
結愛ちゃんのご冥福を祈ります。
(つづく) (次回 児童相談所の現実)
(2018.6.24記) (児童虐待№6)