雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

北越雪譜 雪崩人に災いす ① 栄村 十日町 津南町を想う

2021-01-16 06:30:00 | 読書案内

北越雪譜 雪頽(なだれ)に災(わざはい)
       ① 栄村 十日町 津南町を想う
    美しく舞い散る雪も、ここ北越塩沢の地ではすざましい自然の脅威となり、
   人々の暮らしを圧迫し つづける。著者牧之(1770-1842)は、雪とたたかい、
   雪と共に生き、雪の中に死んでゆく里人の風俗習慣や生活を、
   
雪国の動物と人間のかかわりや雪中の幽霊のような奇現象などを紹介する。
   江戸時代に書かれた雪国に暮らす人々の風俗や生活を記録した越後の文人・鈴木牧之(ぼくし)
   の作品。
    昭和12年の岡田氏の序文によると
   「天保6(1830)年頃」には世に出たのではないかと推測しています。
   昭和になって活字本が発行されました。岩波文庫です。
   1936(昭和11)年 第1刷発行
   1978(昭和53)年 第22刷改訂版発行
   2004(平成16)年 第59刷発行
      一刷の発行部数がどのくらいなのか解りませんが、
      隠れたベストセラーといっても過言ではないと思います。
            
      私は、「北越雪譜」に魅せられ、2年続けて越後の豪雪地帯を訪れました。
      残念なことに、冬のではなく、晩秋の北越です。
      雪にあまり縁のない関東に育った私は、
      寒さに弱く車での訪問には、危険が伴う恐れがあるからです。
      冬の寒さが募ってくると、北の国から雪の便りが聞こえてきます。
      今年は豪雪地帯からの、近年にない豪雪のニュースが連日報道されています。
      その度に、あの谷間の集落はどうなっているのだろう。
      『冬は嫌だ―」と言っていた連れ合いを失くした家で一人暮らしをしていた
      おばあさん、一昨年雪で凍結した道路で転び、
      今でも骨折した部分が痛むと言っていた。
      人里近くまで降りてきた小熊や、
      私の背後の崖の藪を勢いよく駆けおりて来て、
      私を驚かせたニホンカモシカたちはどうしているだろうか。
      思いを巡らせながらこの記事を書いている。

  「北越雪譜」の紹介の前に、雪国の住宅を紹介します。

 落雪式住宅
   屋根の勾配を急にして、雪が自然に滑り落ちるようにしてあります。
   従って、「雪のすべり止め」はつけていません。
   落雪住宅の多くは、写真のように3階建てになっています。
   一階はコンクリートで作られていて、車庫や物置として利用しています。
   二階、三階がリビングになっています。
   屋根の雪が落下して家の側面を被いつくしてしまい太陽光が室内に入らず、
   室温が低くなってしまうことを考慮した構造になっています。二階部分に階段をつけ
   玄関を二階にしているのも理解できます。
   こうした「落石式住宅」は、昭和40年代中頃から普及したようです。
  
    
  
 
雪囲い
   
1階の窓などをそのままにしておくと、ふってきた雪や、雪おろしで投げすてられた雪、
           屋根からすべり落
ちてきた雪によって1階の窓ガラスがわれてしまう危険性(きけんせい)が
   あります。そこで、窓ガラスが
われないように、1階の窓の外に横板(よこいた)をならべます。
   これを雪囲(かこい)といいます。

   かんたんに板の取りつけ取り外しができるように、柱には金具が取りつけられ、そのフックに
   横板を載せるだけなので、簡単に取り外しができます。



    車庫
      雪国の車庫は、雪の重みにたえられるように、カマボコ型になっているものがあります。
      内部はがんじょうな鉄骨(てっこつ)のほねぐみになっていて、つもった雪は、
      屋根のてっぺんから左右にすべりおちるため、雪に押しつぶされることもありません。


  地域によっては、家の周りに水を引いて積もった雪や屋根から落ちた雪を溶かすための、「融水池」
  を設けているところまあります。主として山間部に多い。

  晩秋に訪れると、一階から二階に届く長いはしごが立てかけられている家が少なくない。
  雪下ろしの備えでしょう。
  私にとっては、遠い他国の風景を見ているようで、長旅の疲れが癒され、
  まるで故郷に帰ってきたような気持ちになります。
                       (住宅の説明は十日町市HPを参考にした)
                 前置きが長くなってしまいました。次回は「北越雪譜」の雪崩人に災すを紹介します。

                                                                                     (つづく)
           (2021.1.11記)     (読書案内№163 )

コメント (2)
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