能登半島地震 (7) 災害廃棄物
災害廃棄物 244万㌧ 石川県内ごみ排出量7年分
(朝日新聞2024.2.7 1面)
石川県全体の全体の年間ごみ排出量の約7年分に相当に相当するという。
当然石川県だけで処分できる量ではない。
県外も含めて広域での処分、海上輸送もを検討している。
処理完了の目標を2025年度末としている。
記者会見での馳浩知事の話。
「ぞっとする数。大変なハードルだ。復旧復興のあらゆる足かせになると想定される」
危機感をもろに出した発言である。内容的にはその通り、間違いではないが
健の最高責任者としての発言としてはどうかと思う。
危機感が前面に出ており、被災者の感情を煽りかねない発言は控えるべきでしょう。
自分に課せられた責任の重さを、回避するなと言われても仕方のない内容だ。
馳知事のテレビ記者会見にもこのことが表れている。
発表内容をあらかじめ画像入りでボードに張り付け、それを指示棒でなぞるだけ。
ワイドショウのコメンテーターが視聴者に向かって説明を連想してしまう。
よく整理された情報で、視聴者には理解しやすい反面、
右から左へ情報が素通りしてしまう危険がある。
石川県の被災者は知事の肉声を聞きたいと思うのは私だけではないと思う。
ごみ132年分 片付くのか 珠洲 回収も家屋撤去も見通せず (同 社会面)
奥能登(輪島、珠洲、能登、穴水)の被害甚大地域
この地域では、151.8万㌧の廃棄物が予測されている。
この地域の年間ごみ排出量の59年分に相当する。
珠洲市は全半壊の棟数も多く57.6万㌧で、この市の年間のごみ排出量の132年相当する。
(8年前の熊本地震では311万㌧の廃棄物が出て、完了までに2年を要した)
道路の寸断が激しいため、奥能登の四つの港からの積み込みも視野に置いて検討している。
処理費用について
補助金と地方財政措置を合わせて国が全体の97.5%を負担する。
罹災証明書
家屋の解体撤去は、被害状況を示す罹災証明書が発行されなければできない。
市町が所有者からの申請を受けて出すが、現地調査が必要で、ここでも人手が不足しているので、
災害廃棄物処理のボトルネックになっている。
【声】
「片付けたいが、どうしたらいいのかわからない」(84歳・男性)
「昨年の地震でも災害ごみはすごい量だった。地区の家の倒壊具合を見ると、それくらいは相当だろう」
( 同・132年分の震災ごみについてと問われて)
「周りは全部ごみいつになったら持って行ってくれるのか」(52歳・女性)
「(住民は)おじいちゃんやおばあちゃんばかり。どこから手を付けていいのかわからない」(住職・39歳)
東日本大震災の時にも、膨大な量の災害廃棄物が出た。
1年後に現地を訪れたとき、仕分けされた廃棄物が山のように積み上げられ、
大型ダンプが砂埃をあげて廃棄物を運ぶ景色を見て災害の大きさを改めて感じた。
堤防のコンクリートは破壊され、防砂林の松林は根こそぎさらわれ、
自然の暴威で破壊された痛々しい風景が忘れられない。
津波で押し流された船が民家の屋根の上に押し上げられ、あるいは海岸からかなり離れた田んぼまで流され、行き場を失くして放置された風景が忘れられない。
いかに大きな津波であったか。
平野部に在っては民家はほぼ土台だけを残して根こそぎ津波にさらわて跡形もない。
たまに残った民家があっても、柱と屋根が残っているだけで、
家の内部は根こそぎ津波に持っていかれている。
被災地だけでは処理できない廃棄物を、他県が協力を申し出たが、問題が起きた。
福島の廃棄物は受け入れられない、と民間からごみ受け入れに反対の声が上がった。
放射能で汚染されたごみを懸念する声が上がったのだ。
余談だが、半年前に福島県の原発被災地を訪れた。
原発の立地する大熊町では、2011年3月に発生した東日本大震災およ
び原子力災害により、一時全町避難を経験した。
その後8年後の2019年に一部避難指示が解除される。
その3年後、震災から11年後に町の中心地の避難指示が解除された。
しかし、解除されたとはいえ、町全体の面積のほんの一部分であ
り、12年後の2023年の私の訪れた、大熊町や浪江町、双葉町など、
まだまだ立ち入り禁止区域が多く、草に覆われた家や田畑が多く散在
する。
例えば、大熊町を例にとってみよう。
2023年12月1日現在の人口状況を見てみると、
全町民の人口 9960人(住民登録済み)
県内 7,741人 3,709世帯
県外 2,219人 1,144世帯
町内移住者 612人 475世帯
復興の道遠しである。
12年経ち仙台、女川、三陸地方など災害の大きなところでも、
ほぼ整備が終了し災害記念公園ができ、新しい街は活気にあふれてい
る印象だった。
久々の学校「やっぱりいい」 公立小中校が登校再開 (同 社会面)
輪島市内の市立小中学校が7校が、県立輪島高校の校舎を借りての再開である。
対象児童・生徒は計159人。
【声】
「オンラインで話すより、直接会った方がやっぱりいい。クラスの再編で話したことない人とも同じク
ラスになったので、これから仲良くなりたい」(中学一年)
引率される子供たちの笑顔がまぶしい報道写真だ。
(ことばのちから№7) (2024.02.22記)
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