雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

坂村真民の言葉 (2) いのちの張り

2021-06-18 06:30:00 | 読書案内

坂村真民の言葉(2) いのちの張り


坂村真民について (坂村真民記念館 プロフィールから抜粋)
  20歳から短歌に精進するが、41歳で詩に転じ、個人詩誌『詩国』を発行し続けた。
  仏教伝道文化賞、愛媛県功労賞、熊本県近代文化功労者賞受賞。
  一遍上人を敬愛し、午前零時に起床して夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げる生活。
  そこから生まれた人生の真理、宇宙の真理を紡ぐ言葉は、弱者に寄り添い、
  癒しと勇気を与えるもので、老若男女幅広いファン層を持つ。
  写真の本は「一日一言」と称し、真民が生きた日々の中で浮かんだ言葉の中から365を厳選、
  編集したものです。

    いのちの張り
   大切なのは
   いのちの張り
   恐ろしいのは
   この喪失
   懸命に
   一途に
   鳴く
   虫たちの
   声声
    真民さんの言葉には時々、擬人化された昆虫や植物が登場する。
              前回①(2021.4.15)「未練」には、『はち』と『蟻』と『こおろぎ』が登場していた。
    
    どんな最期を迎えようとも、「今」を生きつづけたものにとって、
    それは大したことではないと真民さんは詠う。
    覚悟を持って生きたものには、「生」に未練はないと…
              どこかに武士道の精神に通じるものがある。

    働き蜂は、自分の亡骸を蟻に与え
    鳴くだけ鳴いたこおろぎは、
    己を風葬にする 
(「未練」より引用)

     生きることへの毅然とした姿勢がうかがえる言葉だが、
     全体をつつむ無常観がただよっている。

    「いのちの張り」には、「虫」が登場する。
    ここに登場する「虫」たちも一途に鳴いて、精一杯鳴き続けいのちを全うする。
    虫たちの精一杯の生き方が「声声」という言葉にさりげなく詠われている。

    恐ろしいのは、この張を失ってしまうことだ。
    虫たちだって命果てるまで懸命に鳴いているのに、
    「『いのちの張り』を失くしてしまえば、人生そのものが輝きを失ってしまう」
    と真民さんは言っているのか。

    真民さんに生きる力をいただく様な言葉だけれど、
    凡人の私には重い言葉となって、私にせまってくる。
                     ブ
ックデーター
                      「坂村真民 一日一言 人生の詩、一念の言葉」
                        致知出版社 2006(平成18)年12月刊 第一刷

                         (2021.6.17)                                  (読書案内№178)

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