坂村真民の言葉(2) いのちの張り
坂村真民について (坂村真民記念館 プロフィールから抜粋) |
いのちの張り
大切なのは
いのちの張り
恐ろしいのは
この喪失
懸命に
一途に
鳴く
虫たちの
声声
真民さんの言葉には時々、擬人化された昆虫や植物が登場する。
前回①(2021.4.15)「未練」には、『はち』と『蟻』と『こおろぎ』が登場していた。
どんな最期を迎えようとも、「今」を生きつづけたものにとって、
それは大したことではないと真民さんは詠う。
覚悟を持って生きたものには、「生」に未練はないと…
どこかに武士道の精神に通じるものがある。
働き蜂は、自分の亡骸を蟻に与え
鳴くだけ鳴いたこおろぎは、
己を風葬にする (「未練」より引用)
生きることへの毅然とした姿勢がうかがえる言葉だが、
全体をつつむ無常観がただよっている。
「いのちの張り」には、「虫」が登場する。
ここに登場する「虫」たちも一途に鳴いて、精一杯鳴き続けいのちを全うする。
虫たちの精一杯の生き方が「声声」という言葉にさりげなく詠われている。
恐ろしいのは、この張を失ってしまうことだ。
虫たちだって命果てるまで懸命に鳴いているのに、
「『いのちの張り』を失くしてしまえば、人生そのものが輝きを失ってしまう」
と真民さんは言っているのか。
真民さんに生きる力をいただく様な言葉だけれど、
凡人の私には重い言葉となって、私にせまってくる。
ブックデーター
「坂村真民 一日一言 人生の詩、一念の言葉」
致知出版社 2006(平成18)年12月刊 第一刷
(2021.6.17) (読書案内№178)
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