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能登半島地震 (10) 疲弊する支援員

2024-03-10 06:30:00 | ことばのちから

能登半島地震 (10) 疲弊する支援員
   
もう辞めたい…自治体職員も被災者 悲鳴あげる心身 

能登半島地震の発生からまもなく1カ月半。住民の支援や復旧の業務にあたる被災自治体の職員から「このままでは倒れてしまう」と悲鳴が上がっている。職員の多くは自らも被災しており、心身の負担を減らすための対策が急がれる。

住宅約5000棟(2/9日現在)の損壊が判明した石川県能登町。
カップ麺や飲料水、消毒液など支援物資がうずたかく積まれている。
各避難所にこれらの支援物質を、各都道府県から派遣された応援職員に指示し仕分けをしていく。
支援物資を行政区域の避難所へ仕分けする作業に、避難所運営の仕事も交代で回ってくる。
「2月に入って週1日だけ休めるようになりました。
 自宅に帰っても片付ける気が起きず、地震発生当時のまま散らかっています」

「避難所から出勤したり、役場に寝泊まりしたりする職員もいる。自分はまだ良い方」
                                 (能登町支援員)
子どもを祖父母宅に預け、食器が倒れたままの自宅から職場に通う職員もいる。

震災直後は気持ちも高ぶっていたが、最近では先行きが見えないことに落ち込むこともある。
「生活環境や子どもの教育を考えると、家族で転居した方がいいのかもしれない」。
退職という選択肢が頭をよぎっている。(女性職員40歳)
 
被災地職員 過労死ライン
       輪島市 残業月100時間超え8割
                     (朝日新聞2024.03.03)
能登半島地震から2カ月が経ち、元旦から災害対応を続ける自治体職員の過酷な長時間労働の実態が明らかになってきた。1月の時間外勤務(残業)が「過労死ライン」とされる100時間を超えた職員が、約8割に達した市町もある。(リード記事)

輪島市の場合 
      管理職を除く事務職の正規職員全部で218人のうち
    1月の時間外勤務が100時間を超えた職員が167人(約77%)、
    時間外の平均……約148時間

    この数字は過労死ラインの100時間をはるかに上回っている。
    災害対応の中軸を担うのは防災対策課だが、
    震災前の昨年1月の
時間外勤務が超えた職員はゼロだった。
    発災直後、多くの職員は多くの職員が家に帰れず、庁舎の床に寝袋を敷いて寝たり、
      机に突っ伏して仮眠をとる職員も少なくなかった。
穴水町の場合
    集計中だが、1月の時間外労働が過労死ライン100時間を超えた職員……8~9割
七尾市の場合
    職員471人中128人が
過労死ライン100時間を超えた職員(約27%)
珠洲市の場合
  
 1月中旬まで全員がほぼ休めていない。
    時間外労務が増えた理由の一つに「支援物資の受け入れ」を挙げている。
道路事情が悪く物資の到着が深夜や未明にずれ込むことが頻発した。
   また、安否確認の電話への応答、避難所運営など、
   24時間対応を迫られる業務が多かった。

   被災後2ケ月を経て、避難者が2次避難場所に移動したり、
   自主避難に切り替えた人、仮設住宅に移動した人などで、
   各市町とも避難者が当初の混乱期から比べると少なくなってきている。
   また、応援職員などの作業効率なども向上し、
   2月の時間外勤務は1月より減少している、と記事は伝える。

珠洲市職員Kさんの場合
   対応に忙殺 12日間連続勤務
「母が無事か確認してくれ」
「親族と連絡が取れない」
震災当所、安否確認の電話が鳴りやまず、電話口で怒鳴られたこともしばしば。
   倒壊を免れた彼の家は、市役所まで車で15分の道のりにあったが、
   通勤路は亀裂が激しく危険な状態だったので、市役所に近い避難所に移った。
   仕事が終われば、避難者と支給された食事を一緒に食べ、
  段ボールのベッドで横になる。
  そんな生活が1カ月ほど続いた。
  3月3日に2カ月ぶりに自宅に戻ったKさんは次のように当時の心境を振り返る。
「この2カ月、本当に大変だった。でも、少しは珠洲の力になれたかなと思っている」

 災害の規模や混乱ぶりを報道するのは、ジャーナリストの第一の目的だが、
 震災から2カ月以上を経た現地で、市町の職員や避難者どのような行動をし、
 考えたかを掘り起こすのも非常に大切な職務だと思う。
 今私が参考にしている記事は、朝日新聞3月3日付の記者により著名入りで報道された
 ルポルタージュ記事である。

過労死ラインの時間外労働100時間を超える先に見えて来るもの
 「燃え尽き症候群」
 人の体力や精神力には個人差があり、過労死ラインの100時間は一つの目安である。
人によっては無理な勤務が続けば、危険ラインを超える前に、体力の限界を感じ、
精神のバランスを欠くことは十分に予測される。
ある日、仕事に対する意欲が急になくなるような症状が現れた場合は、「燃え咲症候群」の可能性もある。
対応が遅れてしまうと、「うつ病」や「アルコール依存症」などを併発し、
快癒するのに時間がかかってしまう。

「災害派遣精神医療チーム(DPAT)」
被災自治体の職員の心のケアをする専門チームが被災地に派遣されている。
また、産業医科大の支援チームは、スマホなどで疲労度を自己評価する健康管理システムを使い、
リスクの高い人への聞き取りなどの取り組みもしている。
業務でのミスが増えたり、怒りやイライラが仕事中になったりすれば、
肉体的疲労と精神的疲労の蓄積を疑い、適切な医療の措置が必要になる。
      (ことばのちから№10)                     (2024.03.09記)

 

 

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