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読書案内「落花は枝に還らずとも」会津藩士・秋月悌次郎 ①幕末の時代背景

2022-12-18 06:30:00 | 読書案内

読書案内「落花は枝に還らずとも」会津藩士・秋月悌次郎
   ブックデーター: 中村彰彦著 中央公論新社 (上 下) 2004.12初版
          中公文庫あり

 ① 会津藩士、秋月悌次郎が生きた幕末の時代背景

 歴史はいつの時代でも勝者によって書き換えられ、敗者の記録は歴史の時のなかに埋もれて
消えていく。敗者の多くは命を失い、あるいは逃亡の末歴史の表舞台から抹消される。

 尊王攘夷思想のさきがけとなり、
時代の先鋒を牽引するかに見えた徳川斉昭の水戸藩は、
内部紛争と殺戮を繰り返すうちに多くの人材を失い、
時代はいつの間にか薩摩・長州が率いる尊王討幕の大きなうねりの波に飲み込まれてしまう。
水戸藩の第九代藩主・徳川斉昭の七男で一橋慶喜が15代将軍となるが、
傾いた幕府の屋台骨を立て直すには、
時代を襲った改革の波音は大きく、
慶喜は江戸幕府最後の将軍という敗者の汚名を着せられ、
歴史の舞台裏へ消えていく。

 かつて、会沢正志斎や藤田東湖を輩出し時代を先駆けた水戸藩はただ一藩、
江戸定府の藩として参勤交代を免除され、
有事の際には将軍名代の役目を担う御三家の一つでありながら、
明治時代を築いた新政府で活躍する人物を見出せなかった。
水戸徳川家も歴史に翻弄された敗者だった。

       『将門記』『平家物語』は歴史書ではなく、軍記物語である。平将門についての歴史的資料は
       ほとんどなく、「将門記」を唯一の資料となる。
  『吾妻鑑』 : 鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝から六代将軍・宗尊親王までの6代将軍記として、
          幕府の歴史を編年体で記録する。編纂者は幕府中枢の複数の者と見られているが、
          詳細は不明。
  『信長公記』: 太田牛一による織田信長の一代軍記。『信長公記』は、
         この太田牛一(織田信長の弓衆のひとり)がその時々につけていた日記をもとにして
         後年著述したものとされる。
  『徳川実記』:   江戸後期の史書で全516冊。 家康から家治に至る徳川家10代の歴史。
         大学頭林述斎等のもとに1809年―1849年に撰修。 将軍ごとに年月を追い事績を叙述。
         11代将軍家斉以降の記録は『続徳川実記』にあるが、未完のまま明治維新を迎えてし
         まう。

    などなど、勝者の歴史は後世まで残され、歴史の表舞台を飾るが、
    敗者の歴史は日陰に咲くあだ花になって、なかなか脚光を浴びられない。

    だが、歴史のなかで、活躍した人は勝者や敗者だけではない。
    名もなく、文字も残さず、歴史に影さえ落とさなかった多くの庶民が時代を作り、
    文化を作って来たのだ。
    そうした名もない人々の生活を掘り起こし、甦らせるのが
    研究者や小説家であり、歴史家、
郷土史家なのでしょう。

   次回、②「争乱の時代を生きた・秋月悌次郎」

     (読書案内№187)              (2022.12.17記)
                                 
         


 

 

 

 
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