雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

読書案内「火垂るの墓」 (1)多彩な顔を持つ表現者

2015-12-21 22:40:21 | 読書案内

読書案内「火垂るの墓」野坂昭如著

  (1) 多彩な顔を持つ表現者・野坂昭如

12月9日、野坂昭如氏が死去した。2003年脳こうそくで倒れ、活動の範囲はかなり狭くなったが、新聞や雑誌などに寄稿された彼の文を読むことで、健在ぶりを知っていた。享年85歳。

 彼ほどたくさんの顔を持った表現者も稀だ。

 

 作家、編集者、作詞家、歌手等活動の範囲は多岐に渡っていた。

また、焼け跡闇市派、無頼派、黒メガネのプレイボーイを名乗り、

映画監督の大島渚の結婚30周年記念パーティーでは、

主催者の大島渚を殴り、殴り合いのけんかをした。

  金権政治を批判し、旧新潟三区から衆院選に立候補(落選)等、

話題には事欠かなかったが、「反戦」「反権力」の姿勢は、最後まで貫き通した。

 

 体表作でアニメにもなった「火垂るの墓」では、

終戦間際の戦争の中で必死に生き、死んでいった少女と少年の物語を描き、

「アメリカひじき」や「エロ事師たち」、「受胎旅行」、「骨我身峠死人葛」など句読点の少ない、

長いセンテンスの文章でユーモアとアイロニー、エロティックを盛り込んだ小説で、発表当時多くの読者を獲得した。

 写真は1968(昭和43)年刊行の本、当時780円だったが、現在5000円ほどの高値である。

   (明日へ続く)        (2015.12.21記)    

 

 

 

 

 

 

 


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