不適切な表現 生活保護「なめんな」
神奈川県小田原市 生活支援課顛末ローマ字で「保護なめんな」などとプリントされたジャンパーのエンブレム(朝日新聞)
福祉系の仕事に携わる者にとって最も必要なことは、「人権感覚を失わない」「上から目線にならない」ということが最も大切な心構えだ。
加藤賢一市長は、「配慮を欠いた不適切な表現」とコメントし、監督する立場の福祉健康部長ら同部職員7名を厳重注意したというが、このジャンパーの着用を10年間も黙認していたことは、重大な瑕疵である。
異議を唱える職員がいなかった、ということに、この問題の根っこの深さを感じるのは、私だけではないでしょう。移動や配置替えをしなければ、この淀んだ空気は一掃されない。麻痺した人権感覚を正常に戻すには、市長の英断が必要です。
生活保護受給世帯と不正受給
多くの自治体で保護世帯も不正受給も増えている。
小田原市の場合
2009年 生活保護受給世帯 2万件 不正受給の摘発 20件
2014年 〃 2万5000件 〃 100件
市民の目は厳しく、
生活保護費受給世帯の者が、パチンコをしていたり、遊んでいると批判の声があがる。
担当職員はこうした批判の声にも対処しなければならない。
少ない担当職員人数で制度を支えなければならない。
市民感覚の中にも、上から目線の人も多い。
「一部の不正受給者のために生活保護者全体が悪いという意識がどこかにあるようだ」。
一生懸命自立に向けて頑張っている人も大勢いることを忘れてはならない。
今回のように、職員のいきすぎた言動も珍しくない。
メディアの論調の中には、好意的な記事も見られる。
不正受給が増加する中で、担当職員が不正は許さないという思いでつい突っ走ってしまったのだろう。
私たちは、この制度が円滑に運用できるように見守っていく姿勢が必要だ。
受給者の中には自立のために、頑張っている人もたくさんいます。
こうした人たちを私たちには、温かく見守る社会的規範が求められます。
(2017.01.25記)