7月25日、NYダウは、原油相場反転をきっかけに下げに転じ、
54.70ドル値下がりした。
人民元切り上げという腹ごなれの悪い「揚げ物」を突然胃の中に
ほりこまれて、議論百出、消化不良を起こしたかのように
NYダウは方向感をなくし反落した。
NYダウは原油相場上昇に敏感に反応する。
人民元が2%切り上ったということは、中国は原油を
2%安く買えることを意味する。
当面は2%切り上げだが、中長期的には
徐々に切り上がるから、原油が買い易くなる。
つれて、中国の原油輸入の勢いはとまらないと
いう単純な台本で動いたようだ。
7月25日、Y9月物原油WTI相場は、はじめバレル1ドル
下げたが、あと反転、バレル59ドルで取引を終了した。
同日朝、全米不動産協会は、6月の米国中古住宅販売高が
前月比2.7%増、年ベースでエコノミストの予測714万戸を
上回る730万戸と発表した。
同協会は、同時に7月の中間価格帯の販売価格は、
80年11月来最高伸び率の前年対比14.7%増、
21万9,000ドルと発表した。
住宅バブルを象徴するようなデータが出た。
原油高騰と住宅価格急騰(住宅バブル)は、
米FRB〔連邦制度理事会〕のグリーンスパン議長も
インフレの芽として繰りかえし懸念を表明している。
住宅ローン金利は米国の10年物国債の利回りに
連動して動いているが、グリースパン議長も頭を
抱える問題のひとつに、10年物国債利回りが
低位安定が住宅バブルを支えてきた経緯がある。
ところで人民元切り上げの余波として、米国国債の
値下がり懸念を指摘する声が出てきた。
中国は人民元切り上げ圧力を回避するために
大量の米国債を買いつづけた。
中国が2%と小幅とはいえついに中国は懸案の
切り上げをスタートしたことで無理やり米国債買いを
続ける必要性が減ることは確かである。
中国は、米国債を2005年5月時点で2,450億ドルと
日本についで巨額である。中国の米国債買い手控えは、
そのまま米国債値下がり〔利回り上昇〕へ当然波及する。
10年物国債値下がり〔利回り上昇〕は住宅バブルを
じわりじわり侵食する。
人民元切り上げをきっかけにして、10年物国債相場を
引き下げ〔利回り上昇〕、年5.5%を越える可能性が
出てきたと一部エコノミストは既に指摘している。
今回の人民元切り上げは、通貨バスケット制度である。
バスケットの中身は、中国は、シンガポール方式にならい
公開していない。
しかし、バスケットの中身が見えないから疑心暗鬼を
呼び易く、それがドル離れ、長期金利高の思惑を呼び、
NYダウ上昇の足を引っ張っている可能性が強いようだ。
米国産業界は、政府議会を巻き込み人民元切り上げに
奔走してきた。
人民元切り上げに真っ先に歓迎を表明したのは、
スノー米財務長官であった。
米国の貿易赤字は、2005年5月時点で、5,535億ドル、
この内、対中国は1,577億ドルとダントツである。人民元
切り上げは米中貿易摩擦のシンボルでありつづけてきたから
歴史的一歩だと高く評価していた。
今回の2%上げタイミングは、予想より早いという点では
サプライズであったようだが、ブッシュ大統領の北京訪問を前にして
中国政府の好意を示したとの見方もある。
米議会、業界は、最低30%切り上げが必要だと
米産業界は矛先を収めていないことだけははっきりしている。
J.P.Morganのチーフエコノミスト、FrankF.X.Gong氏は
中国は年末までに7%、2006年末には15%まで切り上げると
予測しているとWSJ紙電子版は紹介している。
人民元切り上げのアジア経済効果を高く評価する
論調も見られる。
WSJ紙電子版(7/25)、によれば、人民元切り上げは、
中国以外のアジア通貨相場を引き上げ、地域の物価安定、
利上げ懸念を抑え、地域の需要掘り起こしにプラスに
働くと評価している。
同紙はCitigroups資料を元に主要アジア通貨相場
〔対米ドル〕を以下予測している。
7/22NY相場 6ケ月先 12ケ月先
日本円 111.33 100 95
インドネシア
ルピア 9,794.32 9,750 9,400
シンガポール
ドル 1.66 1.62 1.58
韓国ウオン 1,022.49 980 950
タイバーツ 41.37 42 41
日本は自国通貨の値打ちが上がるととたんに
懸念の声が マスコミを皮切りに産業界問わずから
出てくる不思議な国である。
日本は100%近い資源を海外に依存している。
原油がバレル60ドルに値上がりしても落ちついて
いられるのは2度のオイルショックを経験して
省エネ効果が格段に進んだことが大きいが、円相場が
1ドル=110円台へ上昇した事実も無視できないであろう。
人民元切り上げ、議論百出、NYダウ下げる。
人民元切り上げを消化不良に終わらせず、
貿易摩擦解消、世界貿易発展に向けた
偉大なる第一歩として好材料と受けとめたい。(了)
54.70ドル値下がりした。
人民元切り上げという腹ごなれの悪い「揚げ物」を突然胃の中に
ほりこまれて、議論百出、消化不良を起こしたかのように
NYダウは方向感をなくし反落した。
NYダウは原油相場上昇に敏感に反応する。
人民元が2%切り上ったということは、中国は原油を
2%安く買えることを意味する。
当面は2%切り上げだが、中長期的には
徐々に切り上がるから、原油が買い易くなる。
つれて、中国の原油輸入の勢いはとまらないと
いう単純な台本で動いたようだ。
7月25日、Y9月物原油WTI相場は、はじめバレル1ドル
下げたが、あと反転、バレル59ドルで取引を終了した。
同日朝、全米不動産協会は、6月の米国中古住宅販売高が
前月比2.7%増、年ベースでエコノミストの予測714万戸を
上回る730万戸と発表した。
同協会は、同時に7月の中間価格帯の販売価格は、
80年11月来最高伸び率の前年対比14.7%増、
21万9,000ドルと発表した。
住宅バブルを象徴するようなデータが出た。
原油高騰と住宅価格急騰(住宅バブル)は、
米FRB〔連邦制度理事会〕のグリーンスパン議長も
インフレの芽として繰りかえし懸念を表明している。
住宅ローン金利は米国の10年物国債の利回りに
連動して動いているが、グリースパン議長も頭を
抱える問題のひとつに、10年物国債利回りが
低位安定が住宅バブルを支えてきた経緯がある。
ところで人民元切り上げの余波として、米国国債の
値下がり懸念を指摘する声が出てきた。
中国は人民元切り上げ圧力を回避するために
大量の米国債を買いつづけた。
中国が2%と小幅とはいえついに中国は懸案の
切り上げをスタートしたことで無理やり米国債買いを
続ける必要性が減ることは確かである。
中国は、米国債を2005年5月時点で2,450億ドルと
日本についで巨額である。中国の米国債買い手控えは、
そのまま米国債値下がり〔利回り上昇〕へ当然波及する。
10年物国債値下がり〔利回り上昇〕は住宅バブルを
じわりじわり侵食する。
人民元切り上げをきっかけにして、10年物国債相場を
引き下げ〔利回り上昇〕、年5.5%を越える可能性が
出てきたと一部エコノミストは既に指摘している。
今回の人民元切り上げは、通貨バスケット制度である。
バスケットの中身は、中国は、シンガポール方式にならい
公開していない。
しかし、バスケットの中身が見えないから疑心暗鬼を
呼び易く、それがドル離れ、長期金利高の思惑を呼び、
NYダウ上昇の足を引っ張っている可能性が強いようだ。
米国産業界は、政府議会を巻き込み人民元切り上げに
奔走してきた。
人民元切り上げに真っ先に歓迎を表明したのは、
スノー米財務長官であった。
米国の貿易赤字は、2005年5月時点で、5,535億ドル、
この内、対中国は1,577億ドルとダントツである。人民元
切り上げは米中貿易摩擦のシンボルでありつづけてきたから
歴史的一歩だと高く評価していた。
今回の2%上げタイミングは、予想より早いという点では
サプライズであったようだが、ブッシュ大統領の北京訪問を前にして
中国政府の好意を示したとの見方もある。
米議会、業界は、最低30%切り上げが必要だと
米産業界は矛先を収めていないことだけははっきりしている。
J.P.Morganのチーフエコノミスト、FrankF.X.Gong氏は
中国は年末までに7%、2006年末には15%まで切り上げると
予測しているとWSJ紙電子版は紹介している。
人民元切り上げのアジア経済効果を高く評価する
論調も見られる。
WSJ紙電子版(7/25)、によれば、人民元切り上げは、
中国以外のアジア通貨相場を引き上げ、地域の物価安定、
利上げ懸念を抑え、地域の需要掘り起こしにプラスに
働くと評価している。
同紙はCitigroups資料を元に主要アジア通貨相場
〔対米ドル〕を以下予測している。
7/22NY相場 6ケ月先 12ケ月先
日本円 111.33 100 95
インドネシア
ルピア 9,794.32 9,750 9,400
シンガポール
ドル 1.66 1.62 1.58
韓国ウオン 1,022.49 980 950
タイバーツ 41.37 42 41
日本は自国通貨の値打ちが上がるととたんに
懸念の声が マスコミを皮切りに産業界問わずから
出てくる不思議な国である。
日本は100%近い資源を海外に依存している。
原油がバレル60ドルに値上がりしても落ちついて
いられるのは2度のオイルショックを経験して
省エネ効果が格段に進んだことが大きいが、円相場が
1ドル=110円台へ上昇した事実も無視できないであろう。
人民元切り上げ、議論百出、NYダウ下げる。
人民元切り上げを消化不良に終わらせず、
貿易摩擦解消、世界貿易発展に向けた
偉大なる第一歩として好材料と受けとめたい。(了)