12月30日、NYダウは前日比61ドル下げて10,717ドルで取引を終了した。一年前2005年のNYダウの多くのアナリストの予測は11,800ドルであった。サンタクロースはNYから東京へ逃げたというぼやきさえ聞こえてきそうだ。
アナリストの予測が外れたのはNYダウだけではない。為替レートでは1ドル=100円割れのドル安・円高予測が1ドル=118円近辺での円安・ドル高で現在推移している。ただ、年後半に米利上げ打ち止めに加え、貿易赤字拡大が米中間選挙の争点に使われると人民元切り上げや円安が矢面に立たされるリスクは消えていない。
金相場もアナリストはオンス425ドルと予測したが見事に外れた。一時540ドルまで値上がりした。現在517ドルである。インド、中国の実需、ロシアはじめ中央銀行による金の持高を増やす動きに加え日本買い、その一方、供給余力が乏しいことから先高期待が強い。
原油相場もバレル39ドルとアナリストは予測した。現在61ドルである。8月末のハリケーンが吹き荒れた時には70.85ドルの史上最高値をつけた。安くなるとの予測が見事にはずれ原油が高騰したことがNYダウ不振の要因のひとつであろう。
原油相場の2006年の見通しは議論の分かれるところである。ただ、OPECはじめ産油国の供給余力が乏しく、その一方で金相場同様に、中国、インドの需要が強いこと、肝心の世界最大の原油消費国の米国に消費節約の兆しがみられないことから60ドル前後の高値圏で推移する可能性が高い。
NYダウが年末に失速した最大の要因は短期金利(2年物国債利回り)が4.408%,これに対して長期金利〈10年物国債利回り〉が4.393%と長短金利逆転現象が先行き米景気後退のシグナルとして受け取られ、投資家が嫌気したことが挙げられる。これは短期FFレートを13期連続0.25%上げた結果の4.25%で狂った。ただ、長期金利の低位安定は米住宅ローン金利を引く抑え、米景気を支えてくれた功績を見落とすことはできない。
10年物国債の利回りが低く抑えられた要因のひとつに原油相場高騰で巨万の富を得た産油国が大量に米国債を買ったことが本来なら暴落するはずのドル相場を救った。2005年の予想外のドル相場の堅調の裏には、米国向け輸出で巨額のドルを稼いだ中国、原油高の恩恵に浴したロシア、ゼロ金利で金余りの日本の米国債大量買いも無視できない。
2006年はどのような年になるのであろうか。キーワードは金利と原油相場だが、どのタイミングで潮目が変わるのか見極めたいところである。加えて鳥インフルエンザなど疫病の大流行、大地震などの天変地異、テロ事件など突発事件もリスク要因となりそうだ。〈了〉
アナリストの予測が外れたのはNYダウだけではない。為替レートでは1ドル=100円割れのドル安・円高予測が1ドル=118円近辺での円安・ドル高で現在推移している。ただ、年後半に米利上げ打ち止めに加え、貿易赤字拡大が米中間選挙の争点に使われると人民元切り上げや円安が矢面に立たされるリスクは消えていない。
金相場もアナリストはオンス425ドルと予測したが見事に外れた。一時540ドルまで値上がりした。現在517ドルである。インド、中国の実需、ロシアはじめ中央銀行による金の持高を増やす動きに加え日本買い、その一方、供給余力が乏しいことから先高期待が強い。
原油相場もバレル39ドルとアナリストは予測した。現在61ドルである。8月末のハリケーンが吹き荒れた時には70.85ドルの史上最高値をつけた。安くなるとの予測が見事にはずれ原油が高騰したことがNYダウ不振の要因のひとつであろう。
原油相場の2006年の見通しは議論の分かれるところである。ただ、OPECはじめ産油国の供給余力が乏しく、その一方で金相場同様に、中国、インドの需要が強いこと、肝心の世界最大の原油消費国の米国に消費節約の兆しがみられないことから60ドル前後の高値圏で推移する可能性が高い。
NYダウが年末に失速した最大の要因は短期金利(2年物国債利回り)が4.408%,これに対して長期金利〈10年物国債利回り〉が4.393%と長短金利逆転現象が先行き米景気後退のシグナルとして受け取られ、投資家が嫌気したことが挙げられる。これは短期FFレートを13期連続0.25%上げた結果の4.25%で狂った。ただ、長期金利の低位安定は米住宅ローン金利を引く抑え、米景気を支えてくれた功績を見落とすことはできない。
10年物国債の利回りが低く抑えられた要因のひとつに原油相場高騰で巨万の富を得た産油国が大量に米国債を買ったことが本来なら暴落するはずのドル相場を救った。2005年の予想外のドル相場の堅調の裏には、米国向け輸出で巨額のドルを稼いだ中国、原油高の恩恵に浴したロシア、ゼロ金利で金余りの日本の米国債大量買いも無視できない。
2006年はどのような年になるのであろうか。キーワードは金利と原油相場だが、どのタイミングで潮目が変わるのか見極めたいところである。加えて鳥インフルエンザなど疫病の大流行、大地震などの天変地異、テロ事件など突発事件もリスク要因となりそうだ。〈了〉