画・江嵜 健一郎
♪ 咲いた、咲いた、チューリップの花が、
並んだ、並んだ、赤、白、黄色、
どの花見ても、きれいだな。♪
チューリップは今年も暦通り咲いてくれた。チューリップさんありがとう!!という言葉が自然と出て来る。
チューリップの童謡・唱歌を聞くと
春が来たなと実感する。
今年は元旦にいきなり能登大震災。辰年は文字通り大きく振れる年と知りながらも、何が起こるか先が見えない年回りである。
3月に入ってからも、昼間暖かいが夕方から急に寒くなる日が多い。全く油断できない。それでも、ほどなく全国各地から桜の開花の便りも届くことだろう。
チュ-リップをスケッチしていると、通りがかりのさるご婦人が「きれいですね。いつも見せていただいているのよ」と声をかけて来た。
「濃いワインブルーのチューリップが好きなんよ。珍しい形ね。」と話しを続けた。「せっかく描いておられるのに、手を止めさせて、ごめんね。また、お話聞かせて。楽しみにしてるわ。」と言って帰った。
少し経って、こんどは鬢に白いものが目立つご婦人が声をかけて来た。当方が「日本画をかじっている。ここは震災の跡地で、季節折々の花のスケッチを楽しんでいる。」から始まったご婦人との花談義に花が咲いた。
「暫く前まで絵を教室で描いていた。」と話したあと「お描きになったほかのスケッチ見せていただけない?」とリクエスト。熱心に見ておられた。
花が縁で見も知らぬ、通りがかり方から声がかかる。時に、魚心、水心という言葉がある。花にも心があると信じている。花を描くことで花から元気をもらうことが出来、花にひたすら感謝である。(了)