『いっぴきの虫』{高峰秀子著:文春文庫}を読み始めたら止まらない。デコちやんの愛称でも親しまれた女優、高峰秀子さんが文章の世界でも達人だったことを初めて知った。単行本として1978年8月に潮出版社で刊行されている対談集である。既にお読みになられた方も多いかもしれない。
「パイプのけむり」というエッセ―の作者としても知られる音楽家の圑伊玖磨さんとの対談では「音楽をやるってことは、なにかとても洒落たことだと思い過ぎる。人間の生活があってこそ音楽があると言うことを、作る方も聞く方もわすれていて、音楽の方が上等できれいなもので、人間はどうでもいいみたいなところが多いのよ。」とのくだりにピクッと来た。
「ワールドWaveMorning」に、このところずっと、はまっている。毎日、懲りもせずによく続きますね、という声が聞こえてくるようで、気にならないと言えばウソになる。しかし、現地の放送の中から制約された時間の中で、スタッフ、翻訳者、ディレクター諸々の人々がどれだけのエネルギーをかけて番組制作に取り組んでおられるかと思うだけで、見過ごせない気持ちになる。さらに言えば、先の圑さんのお言葉を借りれば「そこに人間の生活があるからだ」と言い換えた方がいいかもしれない。
恒例により「ワールドWaveMorning」で一日が始まる。ドイツZDFが「ユーロ圏財務相会議で、ギリシャのあとスペイン、イタリアなどで問題が起こった時、類焼を防ぐ「防火壁」としてEFSF(欧州金融安定化基金)と新たにESM(欧州安定メカニズム)の融資枠を現行の5000億ユーロから7000億ユーロへ拡大することが決まった」などと伝えた。ところがこの内2000億ユーロは既にギリシャ用と決まっている。EUもIMFも1兆ユーロ必要だと主張したが、ドイツの納税者の負担が増えるとしてドイツが反対してとん挫した。欧州金融不安は早急に収まらないと覚悟した方がいいとサインを送った。
30日、NY証券取引所は、NYダウは前日比66ドル高,13,212ドルで取引を終了した。朝6時台放送の米ブルームバーグ出演のディ―ラ―、Keith Bliss氏は「年度末特有のお化粧買いだ」とそっけなかった。「ワールドWaveMorning」(経済情報)出演の三菱東京UFJ銀行、岩岡聰樹氏は「2月の米個人消費指標と欧州金融資金が確定したことを好感した買いが入った。4月6日発表の米雇用統計を注目している。」などと話した。
30日のNY外国為替市場は、1ドル=82.79~84円、1ユーロ=110.46~49円とやや円が売られた。NY原油(WTI)相場は,ほぼ横ばい、バレル24セント高、103.02ドル、NY金相場はトロイオンス17.10ドル高、1,669.30ドルだった。狭いレンジ内の取引が続いている。金相場については30日付けのWSJ紙電子版がインドが昨年金を大量に買い込んで貿易赤字の半分に寄与した。原油と合わせると赤字の70%を占めた。貿易赤字拡大はインドルピア急落にも波及した。ルピア急落はインドでのインフレ懸念を増幅させている。インド政府は金の輸入関税を2倍に設定したと書いていた。
スペインTVEがスペインの273億ユーロ(約3兆円)分の赤字削減、合計780億ユーロ(約8兆6千億円)8項目にわたる新年度予算削減計画をモントロ財務副大臣が発表する様子を紹介していた。公務員給与、年金支給額を削減する一方、エネルギー費の上昇を受けて電気代が7%、ガス代が5%それぞれ新年度から値上げを決めたと伝えていた。労働組合は反対して先日ゼネストを行った。スペイン政府は、緊縮財政と景気回復と相矛盾する課題に挑戦することになる。ギリシャの火災は当面消し止めた。次はスペインである。先の7000億ユーロ程度の「防火壁」拡大では、「類焼」を食い止められないと見られている。
「ワールドWaveMorning」は土曜日には、WSJ紙日本版編集長、小野由美子氏が出演する。この1週間のWSJ紙の記事の中から3つを選び解説するのが習いとなっている。今朝は「米アップルの受託会社フォックスコンが中国の労働基準法違反」、「日本電子産業の凋落浮き彫りー台湾企業のシャープ出資」「世銀総裁候補、キム氏、オバマ指名」を取り上げた。劣悪な労働環境で世界有数企業アップルが委託生産していたことを企業イメージ悪化を防ぐために改善を約束した。この結果、アパレルなど他の産業の労働改善にも影響する可能性がある。シャープが台湾企業の影響下に入った件では、アメリカメディアにとってもショックが大きかったようだと解説していた。
高峰秀子著「いっぴきの虫」に戻す。有吉佐和子さんとの対談の中で、「恍惚の人」に触れて、「私にもこの小説で社会にお役に立ったということがあるとしたら、それは、自分にカンケイないと思っていた人に「みんなカンケイのある問題なんですよ」ということを思い知らせた、という功績があるのではないか。どう?」と有吉佐和子さんが語るくだりが特に印象に残った。(了)
「パイプのけむり」というエッセ―の作者としても知られる音楽家の圑伊玖磨さんとの対談では「音楽をやるってことは、なにかとても洒落たことだと思い過ぎる。人間の生活があってこそ音楽があると言うことを、作る方も聞く方もわすれていて、音楽の方が上等できれいなもので、人間はどうでもいいみたいなところが多いのよ。」とのくだりにピクッと来た。
「ワールドWaveMorning」に、このところずっと、はまっている。毎日、懲りもせずによく続きますね、という声が聞こえてくるようで、気にならないと言えばウソになる。しかし、現地の放送の中から制約された時間の中で、スタッフ、翻訳者、ディレクター諸々の人々がどれだけのエネルギーをかけて番組制作に取り組んでおられるかと思うだけで、見過ごせない気持ちになる。さらに言えば、先の圑さんのお言葉を借りれば「そこに人間の生活があるからだ」と言い換えた方がいいかもしれない。
恒例により「ワールドWaveMorning」で一日が始まる。ドイツZDFが「ユーロ圏財務相会議で、ギリシャのあとスペイン、イタリアなどで問題が起こった時、類焼を防ぐ「防火壁」としてEFSF(欧州金融安定化基金)と新たにESM(欧州安定メカニズム)の融資枠を現行の5000億ユーロから7000億ユーロへ拡大することが決まった」などと伝えた。ところがこの内2000億ユーロは既にギリシャ用と決まっている。EUもIMFも1兆ユーロ必要だと主張したが、ドイツの納税者の負担が増えるとしてドイツが反対してとん挫した。欧州金融不安は早急に収まらないと覚悟した方がいいとサインを送った。
30日、NY証券取引所は、NYダウは前日比66ドル高,13,212ドルで取引を終了した。朝6時台放送の米ブルームバーグ出演のディ―ラ―、Keith Bliss氏は「年度末特有のお化粧買いだ」とそっけなかった。「ワールドWaveMorning」(経済情報)出演の三菱東京UFJ銀行、岩岡聰樹氏は「2月の米個人消費指標と欧州金融資金が確定したことを好感した買いが入った。4月6日発表の米雇用統計を注目している。」などと話した。
30日のNY外国為替市場は、1ドル=82.79~84円、1ユーロ=110.46~49円とやや円が売られた。NY原油(WTI)相場は,ほぼ横ばい、バレル24セント高、103.02ドル、NY金相場はトロイオンス17.10ドル高、1,669.30ドルだった。狭いレンジ内の取引が続いている。金相場については30日付けのWSJ紙電子版がインドが昨年金を大量に買い込んで貿易赤字の半分に寄与した。原油と合わせると赤字の70%を占めた。貿易赤字拡大はインドルピア急落にも波及した。ルピア急落はインドでのインフレ懸念を増幅させている。インド政府は金の輸入関税を2倍に設定したと書いていた。
スペインTVEがスペインの273億ユーロ(約3兆円)分の赤字削減、合計780億ユーロ(約8兆6千億円)8項目にわたる新年度予算削減計画をモントロ財務副大臣が発表する様子を紹介していた。公務員給与、年金支給額を削減する一方、エネルギー費の上昇を受けて電気代が7%、ガス代が5%それぞれ新年度から値上げを決めたと伝えていた。労働組合は反対して先日ゼネストを行った。スペイン政府は、緊縮財政と景気回復と相矛盾する課題に挑戦することになる。ギリシャの火災は当面消し止めた。次はスペインである。先の7000億ユーロ程度の「防火壁」拡大では、「類焼」を食い止められないと見られている。
「ワールドWaveMorning」は土曜日には、WSJ紙日本版編集長、小野由美子氏が出演する。この1週間のWSJ紙の記事の中から3つを選び解説するのが習いとなっている。今朝は「米アップルの受託会社フォックスコンが中国の労働基準法違反」、「日本電子産業の凋落浮き彫りー台湾企業のシャープ出資」「世銀総裁候補、キム氏、オバマ指名」を取り上げた。劣悪な労働環境で世界有数企業アップルが委託生産していたことを企業イメージ悪化を防ぐために改善を約束した。この結果、アパレルなど他の産業の労働改善にも影響する可能性がある。シャープが台湾企業の影響下に入った件では、アメリカメディアにとってもショックが大きかったようだと解説していた。
高峰秀子著「いっぴきの虫」に戻す。有吉佐和子さんとの対談の中で、「恍惚の人」に触れて、「私にもこの小説で社会にお役に立ったということがあるとしたら、それは、自分にカンケイないと思っていた人に「みんなカンケイのある問題なんですよ」ということを思い知らせた、という功績があるのではないか。どう?」と有吉佐和子さんが語るくだりが特に印象に残った。(了)