年の瀬にふさわしい話題かどうかは別として、「キャデラックに乗って質屋へ」というタイトルで最近の米国質屋事情について今朝のWSJ紙が紹介していた。
質屋の記事がWSJ紙に載るのは極めてめずらしい。いまなぜアメリカで質屋なのか。全米質屋連合会によるとアメリカで質屋を利用する客の平均年収は29,000ドル(約261万円)である。ところがここ数ヶ月の特徴として、ミドルからアッパーミドル層の利用客が増えた。
株で大損した。銀行がお金を貸してくれなくなった。突然解雇された。様々な事情が背景にあるという。特に失業率の高い地域や差し押さえ住宅が多い地域では、質屋さんは大忙しであると記事は紹介している。
米メイン州で質屋を開業しているリック・ラチヤペルさんは、貸し出し額が今年は去年から33%増えた。ビバリーヒルズのある店は昨年より40%以上増えた。土地柄か、毛皮、ダイヤモンドその他アクセサリーなどの質草が多いと話している。
タイトルに使われたケースはフイラデルフィアの話である。店の表にキャデラックをとめて回りを警戒するように一人の客が店に入ってきた。聞けば今年はじめレイオフされ、今は空港で飛行機の清掃業務をしている29歳の青年で収入は前の職場の半分になったという。
住宅ローンの返済が迫りどうしても2,500ドル(約22万5000円)要るので質屋に来た。質草にモヴァド(Movado)というブランドのダイヤつきの時計を差し出した。ローレックスのように名が通っていないからと店主に断られ意気消沈して店を出ていった。
日本では、質屋は鎌倉時代に生まれ700年の歴史がある。庶民金融としても親しまれてきたが最近では消費者金融が増えた影響もあり質屋を利用する客も減った。ただ、東京質屋連合会のHPによれば、東京には現在500軒の質屋さんがあると知り驚いた次第である。
当の質屋組合のHPによれば、質草には、金・金地金製品、時計、宝石、ブランドバッグ・小物、電化製品、パソコン、カメラなどが一般的である。着物、衣類、金券、株券類などを扱う店もあると出ていた。
WSJ紙記事は小売店を経営しているあるご婦人がローンの頭金に6000ドル(約54万円)必要になったので1.9カラットのダイヤモンドを質草に持って来た。ある客は2カラットのカルチエの腕時計である。子供の学校の制服代に使うという。ローンを利用せずに質屋を利用する女性が最近は多い。米国では値下がりの激しいパソコンの扱いは減ったという。
米国で今年になって初めて質屋を利用した人が昨年より10%増えた。一方、預けた品物を出しに来た客は逆に10%減った。期限内に出しに来なければ「流質」扱いとなる。
日本でも、お金は必要だが大事な品物は手離したくないと思う人は質屋を利用する。3ヶ月を過ぎて利子を払えなければ原則として権利は預け主から質屋に移動する。俗にいうこれが「流れ」である。面白いことに、質流れ品セールが日本でも人気が出ているようだ。
話は飛ぶ。NY株式市場で、12月30日、NYダウは、10月の米国10大都市の住宅価格が19%値下がりし、12月の消費者信頼感指数は、11月の44.7から38.0へ低下と悪材料にもかかわらず、薄商いの中、前日比184ドル上昇、8,668ドルで取引を終了した。
米国は未曾有の金融危機に直面している。米質屋事情は何を教えているのだろうか。(了)
質屋の記事がWSJ紙に載るのは極めてめずらしい。いまなぜアメリカで質屋なのか。全米質屋連合会によるとアメリカで質屋を利用する客の平均年収は29,000ドル(約261万円)である。ところがここ数ヶ月の特徴として、ミドルからアッパーミドル層の利用客が増えた。
株で大損した。銀行がお金を貸してくれなくなった。突然解雇された。様々な事情が背景にあるという。特に失業率の高い地域や差し押さえ住宅が多い地域では、質屋さんは大忙しであると記事は紹介している。
米メイン州で質屋を開業しているリック・ラチヤペルさんは、貸し出し額が今年は去年から33%増えた。ビバリーヒルズのある店は昨年より40%以上増えた。土地柄か、毛皮、ダイヤモンドその他アクセサリーなどの質草が多いと話している。
タイトルに使われたケースはフイラデルフィアの話である。店の表にキャデラックをとめて回りを警戒するように一人の客が店に入ってきた。聞けば今年はじめレイオフされ、今は空港で飛行機の清掃業務をしている29歳の青年で収入は前の職場の半分になったという。
住宅ローンの返済が迫りどうしても2,500ドル(約22万5000円)要るので質屋に来た。質草にモヴァド(Movado)というブランドのダイヤつきの時計を差し出した。ローレックスのように名が通っていないからと店主に断られ意気消沈して店を出ていった。
日本では、質屋は鎌倉時代に生まれ700年の歴史がある。庶民金融としても親しまれてきたが最近では消費者金融が増えた影響もあり質屋を利用する客も減った。ただ、東京質屋連合会のHPによれば、東京には現在500軒の質屋さんがあると知り驚いた次第である。
当の質屋組合のHPによれば、質草には、金・金地金製品、時計、宝石、ブランドバッグ・小物、電化製品、パソコン、カメラなどが一般的である。着物、衣類、金券、株券類などを扱う店もあると出ていた。
WSJ紙記事は小売店を経営しているあるご婦人がローンの頭金に6000ドル(約54万円)必要になったので1.9カラットのダイヤモンドを質草に持って来た。ある客は2カラットのカルチエの腕時計である。子供の学校の制服代に使うという。ローンを利用せずに質屋を利用する女性が最近は多い。米国では値下がりの激しいパソコンの扱いは減ったという。
米国で今年になって初めて質屋を利用した人が昨年より10%増えた。一方、預けた品物を出しに来た客は逆に10%減った。期限内に出しに来なければ「流質」扱いとなる。
日本でも、お金は必要だが大事な品物は手離したくないと思う人は質屋を利用する。3ヶ月を過ぎて利子を払えなければ原則として権利は預け主から質屋に移動する。俗にいうこれが「流れ」である。面白いことに、質流れ品セールが日本でも人気が出ているようだ。
話は飛ぶ。NY株式市場で、12月30日、NYダウは、10月の米国10大都市の住宅価格が19%値下がりし、12月の消費者信頼感指数は、11月の44.7から38.0へ低下と悪材料にもかかわらず、薄商いの中、前日比184ドル上昇、8,668ドルで取引を終了した。
米国は未曾有の金融危機に直面している。米質屋事情は何を教えているのだろうか。(了)