ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

虹彩には、体質や、現在、過去、未来、のデータが秘められています。虹彩学による虹彩分析を針灸、巨針、食事療法の指針に!

米個人消費回復期待からNYダウ168ドル高(学校で教えてくれない経済学)

2009-04-30 12:53:36 | 経済学
 アメリカCNNテレビは、日本時間5時半から、WHOが、豚インフルエンザの危険度(Alert level)をパンデミック(大流行)(フェーズ6)のひとつ手前のフェーズ5へ引き上げることを決めたと記者会見で語るチャンWHO事務局長を映していた。

 アメリカのテキサス州で1歳11月の女児が豚イフルエンザで死亡したことやH1N1型ウイルスがイギリス、スペインなどで新たな患者が報告され、世界27ケ国へ感染が広がりを見せてきたことが「危険度」を「4」(人から人への感染)から「5」(2ケ国以上で人から人への感染)に引き上げた理由である。

 チャン事務局長は、「メキシコ、アメリカ、カナダが調査結果を公開してくれたことに感謝している」と質問する記者連に丁寧に受け答えする姿が印象的だった。騒ぎすぎることは慎むべきである。しかし、事実が隠さず公開されることが「大流行」を阻止することで一番大切であることを強く訴えたい気持ちが画面を通じて伝わった。

 豚インフルエンザ関連では、NHK・BSは、国際線で帰国した乗客が、健康調査票をもらっていないとインタビューに答える映像を流し、一方、「検疫官が不足している。調査すれば、出国手続きが
大渋滞をきたし、大混乱する。」と税関当局は話していたと報道していた。 

 麻生総理は「豚インフルエンザは水際で阻止することが大切だ。周知徹底する。」と大見栄を切っていた。フランスでもドイツでも、スペインでも、豚インフルエンザの二ュ-スオンパレードであった。しかし、日本のように首相が大見栄を切っても、出先機関が尻抜けではどうにもならない。

 経済関係では、NHK・BS「おはよう世界」は、ブルームバーグのニュースを最初に紹介している。この日は、豚インフルエンザを取り上げたあと、クライスラーの「破産法11条」適用は避けられない情勢にあること、その際、フィアットによるクライスラー買収を巡る駆け引きが紹介されていた。4月末の再建計画の申請期限が目前に迫っている。

 4月27日、NYダウは、前日比168ドル高、8,185ドルで取引を終了した。ハイテク株指数ナスダックも上げ、38ポイント高、1,711だった。NY原油(WTI)先物相場は、前日比バレル1.05ドル戻し、50.97ドルで取引を終了した。金先相場もオンス7ドル戻し899.80ドルで取引された。

 NY外国為替市場は、ドルが買い戻され、つれてユーロも反発、1ドル=97.62ドル前後、1ユーロ=129.40円前後で取引された。2日前、ユーロは、対円で、一時、1ユーロ=124円台まで売られていた。水鳥が餌場を断りなく動きまわる姿を連想すれば極めて分かりやすい。

 米商務省は、09年1~3月期の米GDP速報値で、マイナス6.1%と発表した。本来なら株式市場は悪材料として、株は売りである。ところが、この日は、取引開始直後から堅調だった。その裏には、個人消費が底堅く推移していることにマーケットは着目した。

 同時に発表したFOMCの議事録のなかで、「景気悪化のスピードが鈍化している」という言葉を買い材料に使った。10年物国債が株高の影響で売られ、逆相関で動く利回りは、年3.107%まで急上昇したことも景気回復期待を素直に表した格好だ。米GDPの中身を見れば、個人消費が、前期の昨年10~12月がまマイナス4.2%だった。それが1~3月期はプラス2.2%である。
全体としては、依然として悪いが、在庫調整が確実に進んでいることが確認された。

 「おはよう世界」では、ドイツテレビを紹介して、「ドイツ政府は、09年のドイツの経済成長率を1月発表したマイナス2.5%をマイナス6.1%へ下方修DP株式市場は9ケ月先を予見して動く。どちらかと言えば鳥の目に近い。鳥はなんでも知っているとまでは、言わないが、ここは、鳥の目に期待したい。
 
 陰気は損気である。不景気だ、不景気だと騒ぎたてても誰一人幸せになれない。楽観過ぎるのも問題だが、GDPの70%は個人消費が占める。個人が買い気を起こしてはじめて景気は良くなる。笑う門に福来るというではないか。笑顔で元気を出して不景気を吹き飛ばそう。(了)


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西洋シャクナゲ(スケッチ&コメント)

2009-04-29 11:28:10 | スケッチ



西洋シャクナゲ

江嵜企画代表・Ken



 先日、神戸三宮へ出たついでに、いつものフラワーショップ「潤」をのぞいた。たまたま、つぼみをつけた西洋シャクナゲを見つけ、ひと鉢買った。自宅マンションのベランダで約一週間置いていた。2~3日前から急に芽吹きはじめ、あっという間に開花したところをスケッチした。

 ヤフーのブログに、日本原産のシャクナゲは品種が多く、平地では育てにくいと出ていた。漢字で「石楠花」と書くが名前の由来を知りたいと書いたら、学生時代山岳部の知人が、山で高山植物として愛でていますと前書きして、以下のように教えて下さった。

 中国では「石南花」(実際は別種のようだが)と書き、シャクナンゲと読み、それがシャクナゲになったようだ。「石楠花」は韓名で、低木なのでシャクナシ、つまり尺なしが、シャクナゲになったと樹木図録にある、と。

 ブログには、西洋シャクナゲの花期は、4~6月とあるから、今が見ごろなのだろう。比較的寒さに強い。しかし、高温多湿に弱い。夏場、夕方に葉に水をかけてやる時、気化熱で温度を下げてくれると出ていた。

 とにかく元気な花である。描きながらも、その間に、押しくらまんじゅうのように、お互いの花が、そこのけ、そこのけと、どんどん開いて行く。花は枝の頂点で咲くから、まことに美しい。

 絵は何を描くのも難しい。花の絵は特に難しいと感じる。花自身が既に美しいからだと言った人がいる。既に美しいものを絵にするのだから、よほど腕が伴わないと、本来、描けないのであろう。

 店で買ったときはつぼみが4つついていた。そのうちの2つが開花した。三番手のつぼみが、次はわたしと、自分の出番と待っている。明日にも一気に開花しそうだ。

 花後は花がらを早めに摘み取るとブログに出ていた。摘み取った脇から、新しい枝が伸びて、花芽を上げるので放置すると来年の花がつかなくなるそうだ。妙に感心した。(了)

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豚インフルエンザが重し、NYダウ51ドル安、追加利下げ礼下げ懸念でユーロ=125円台

2009-04-28 10:25:47 | 経済学
(学校で教えてくれない経済学)



豚インフルエンザの影響が、NY株式市場にも出て来た。NYダウは、先週末比51ドル安、8,025ドルで取引を終了した。特に海外渡航が制限されるとして、航空株が値を下げ、アメリカンエアライン13%安、コンチネンタル航空16%安が目だった。GMの破産回避を狙った発表で一時50ドル近く上げたが、豚インフルエンザに押し戻されたと今朝のWSJ紙は解説した。

NY原油(WTI)相場も、バレル1.41ドル下げ、50.14ドルで取引された。豚インフルエンザが需要減につながるとして、値下がりに影響したと今朝のブルームバーグが解説していた。NY為替市場ではユーロが金利安を材料に売られ、1ユーロ=125.81円前後で取引された。

日本時間午前5時半からの緊急記者発表で、WHO(世界保健機関)は、6段階に危険度を分けているパンデミック(大流行)の段階を、フエ―ズ3(豚から人への感染)からフエーズ4(人から人へ)一段階上げたと発表した。

説明役のフクダ事務局長代理は、「一段階上げたからといって「大流行」への拡大を認めたわけではない。ウイルス自身が変化する。事態は時々刻々変わりうる。持続的感染かどうか見極めることが重要だ。大切なことはきめ細かく追跡調査していくことだ」と語っていた。

NHK・BS「おはよう世界」でも豚インフルエンザのニュースを詳しく取り上げた。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スペインそしてロシアのテレビ局も、全てが豚インフルエンザのニュースを取り上げ、この問題に対する関心の高さを教えてくれた。

メキシコでは、観衆ゼロの競技場でサッカーの試合が行われた。メキシコでは教会、学校、劇場など公共の施設はすべて閉鎖された。オバマ大統領は、「豚インフルエンザは警戒が必要である。しかし、冷静に行動してほしい」と国民に呼びかけた。

中国は、ここ2週間以内でメキシコから帰国した人を追跡調査した。必要な人は隔離する。タイもメキシコからの乗客には、体温感知装置のサーモグラフィーを使って監視している。インドネシアでは鳥インフルエンザで豊富な経験を生かしている。

二ユージーランドではメキシコから帰国した高校生10人を検査したところ3人に被疑者が出た。同じ飛行機に乗った人全てを現在調査中であるとフランステレビ局が解説していた。今回の豚インフルエンザは若い人の発症が多い。

スペインテレビでは、「取るべき措置は全てとった。周知徹底することを全ての施設に伝達した」と国民に呼びかけ、「メキシコでは豚インフルエンザで149人が死亡した。現在776人が入院中である。しかし、大多数の患者は回復に向かっている。薬は十分にある。」と冷静に対応するよう求めていた。フランステレビでは、フィヨン首相が、「フランスは世界で最も体制が整った国である。」と語る映像を流していた。

経済関係では、「おはよう世界」でドイツテレビの紹介の中で、「ドイツの消費者の購買意欲は依然として強い。それは安い価格にある。ガソリン代、燃料代などが値下がりした。所帯で300ユーロ浮いた。それを他の消費に回している。」とドイツの景気調査研究所の分析を紹介していた。

街中インタービューでは、「いまは買い時だと思うわ。安いから手元に残るお金が増える。」という主婦の声を紹介していた。日本でもガソリン代が減った。灯油の支払いが例年と比べて減っている。しかし、不景気だ、不景気だとマスコミが流すのものだからどうしても財布のひもは緩まない。

新聞も雑誌も大変だと騒いだ方が売れ行きがいい。日本人は、一般論であるが、ネガティブに反応しやすい。各社の決算が一般紙でも連日出ている。全ての企業が赤字でない。減配する企業もあるが利益は出ている。配当据え置きが結構多い。

円高をマスコミは騒ぐが誰のために騒いでいるのかといつも思う。日本は資源の99%を海外からの輸入に依存している。自国通貨の値打ちが上がれば、同じ品物を安く買える。その分国全体としては豊かになる。家計でもそれは同じである。

本来出費していたたとえば原燃料代が減った。その分当然余裕が出る。ドイツ人の反応の方がはるか自然であろう。なにも必要以上に無駄使いすることはない。しかし、政府も含めてだが、円高で生まれる恩恵を取りこむ業者を厳しく監視することこそ、マスコミの使命であろう。(了)

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豚インフルエンザで米政府、公衆衛生非常事態宣言出す(学校で教えてくれない経済学)

2009-04-27 10:03:00 | 経済学
米国で、5州で20例の豚インフルエンザの症状が報告されたことを受けて、ホワイトハウスは公衆衛生非常事態(Health Emergency)宣言した。メキシコでは80人以上が既に死亡した。日本では空港でメキシコからの帰国者に体温測定を実施していると今朝のWSJ紙が紹介していた。

WSJ紙によれば、豚インフルエンザ(Swine Flu)の症状は、熱、頭痛、咳、のどの痛み、体の痛みなど普通の風邪の症状と似ている。稀に豚と接触した人間が感染する。人から人への感染も懸念されていると指摘している。対応については、手洗いの励行、症状が出れば外出を控えることと書いていた。

CDC(米疾病対策センター)によれば、タミフル(Tamiflu),リレンザ(Relenza)が豚インフルエンザに効くかどうか現在テスト中であると発表した。緊急対応として抗ウイルス性の薬剤を1,250万を備蓄しており、3,750万追加可能であると4月26日発表した。

ホワイトハウスは、メキシコから帰国したオバマ大統領や随行員にも豚インフルエンザの症状は見られないと発表した。

NY市当局は、クイーンズ州の私立中学校の生徒に豚インフルエンザの陽性反応が出たことで、いまのところ感染拡大の怖れは見られないが、月曜日以降、学校閉鎖も考慮していると発表した。

米国以外の動きとしては、メキシコが非常事態宣言を出した。豚インフルエンザの症例としてカナダ4、ニュージーランド10、フランス4がWHO(世界保健機関)に報告されている。

香港では空港チエックで豚インフルエンザの兆候が確認されれば隔離する。韓国政府は香港に習う。韓国はメキシコ渡航者には警告すると発表した。インドネシアは、SARSや鳥インフルエンザ流行時と同じ体制をとり、入国者全員を検査すると発表した。

空港検査の強化や出入国に制限が厳しくなると通常のビジネスにも当然影響が出てくる。メキシコ政府の対応が遅れたのは経済への影響を恐れたためであるとの指摘も出ている。一端流行してしまうと事実上対応が難しい。

今朝のNHK・BS「おはよう世界」でも豚インフルエンザを取り上げ、フランスやドイツのテレビ番組を紹介していた。ドイツでは空港での制限はしていない。ドイツテレビのアナウンサーは、「ドイツはまだ「勧告」を出していない。説明は早い方がいい。2~3週間も経ってからでは手遅れだ」と話していた。

NHKテレビでは、「1918年のスペイン風邪、57年のアジア風邪、68年の香港風邪では数百万から1000万の犠牲者が出た。ただ今回は、いまのところ、豚から人への感染(フェーズ3)で、人から人(フエ-ズ4)の段階と認めていない。検査でも毒性は少ないようだ。十分な分析をした上で措置を取ることが望ましい」と話していた。

近くの喫茶「いけだ」で、昨日、なじみ客の一人が、豚インフルエンザの影響を心配していた。ゴールデンウイーク入りで、海外へ旅行に出るひとも多くなるだろう。取り立てて対応出来ないということであるが、せめて手洗いとうがいの励行だけは心がけたい。

経済の動きでは、NY外国為替市場で、電子取引で、ドルが売られ、1ドル=96.84円前後で取引された。ドルは対ユーロでも売られ1ユーロ=1.3243ドル前後で取引された。対ユーロで円は、1ユーロ=128.32円前後で取引された。

今朝のWSJ紙によれば、ユーロが対ドルで買われた背景のひとつに、4月のドイツの景況感が改善し、景気が3月に底を打ったとの観測が流れたためだと解説していた。ドルが週末売られた背景に、中国中央銀行のアドバイザーの一人が、2009年の中国経済は、政府の景気刺激策により、年7%ないし8%成長達成が見込めると語ったとの情報が刺激したと紹介していた。

ドルは世界金融危機が広がりを見せる中、むしろ安全通貨として避難先に選ばれていた。米国の景気の実態は良くないが相対的にドルが買われていたに過ぎない。日本では、ドルが売られ、円が買われると、すわ、大変だと、ネガティブに反応する。その意味でドル=96円台への移行は、持続性があるのかどうか、見極めておくことが大切だろう。

豚インフルエンザが突然、登場してきた。同列に議論できないが、突然変動するという点では為替も同じである。鳥インフルエンザでは日本は対応が遅れた。昔から、備えあれば憂いなしというではないか。(了)

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地元企業の株主総会風景(スケッチ&コメント)

2009-04-25 08:57:26 | スケッチ


地元企業の株主総会風景

江嵜企画代表・Ken



 地元神戸の菓子メーカーの株主総会に出て会場の様子をスケッチした。この会社は創業昭和6年(1931)だから80年近い歴史がある。以前は最寄駅の阪神御影駅のプラットフォームから本社ビルが見えた。いまは海上埋め立て地の六甲アイランドへ移転した。

 業績は一進一退を繰り返していたが、最近は不況下にもかかわらず、当社の基本的経営方針である、百貨店販売に軸足を置いた堅実経営を続け、年6円の配当を出せるまで回復した。株価は日経ダウ並みに上下に動くが、値上がり益は期待できない。

 ただ、喫茶・レストランも経営しており、指定の店では株主優待で20%割引券を1000株につき10枚出しているので、ご婦人には人気がある。株主総会の会場にも大勢ご婦人が来ていた。出席者には1500円前後のお菓子がお土産に出る。会場では当社製品が20%引きで買える。昨年から株主定着を狙って、3年以上保有すれば時価3000円程度のお菓子が送られるようになった。

 株主総会へは、議長を務める社長と株主との質疑応答を楽しみにして出かける。この日は8人が質問した。ローカル企業というせいもあろうが、とげとげしい質問はあまり出ない。社長はひとりひとり、時間をかけて、丁寧に答えた。

 「地元では名が通っているが、地方では名前が知られていない。マスコミを使ってもっと宣伝しないのか」と若手の男性が最初に手を挙げた。社長は、「百貨店関係が売り上げの70%を占める。マスメディアの効果は測りにくい。現場第一主義でこれからもやって行きたい。」と答えた。

 二番手は「イベントなどで出る売れ残り商品をチャリティなどに寄付したら名前が売れるのではないか。」と質問した。社長は、「当社の製品は、ひとさまの口に入るものである。ロス率1%に抑える。売り切る。それでも残れば廃棄する。」ときっぱりと答えた。

 三番手は「今の世の中の流れは、インターネットの活用だ。当社は不足している。」と質した。社長は、「売り上げの65%が干菓子、生菓子が27%である。バレンタインにはヤフーに掲載している。当社オンラインで生菓子は出来ないが注文出来る。株主様のご趣旨を生かし、インターネットのサイトにこれからもどしどし出していきたい。」と答えた。

 六番手は「マスコミ、アナリストに対する情報公開の対応がまずいのではないか。先日の記者会見でも取り上げたのは神戸新聞のみだ。それも売り上げ増、赤字決算と大きな見出しが出た。直後に株価が大きく下げた。」と指摘した。

 社長は「マスメディアの宣伝はやっていない。当社は巣ごもり需要を開拓する。値ごろ感を尊重する。素材からきっちり吟味する。ブライダル、お悔やみにも力を入れており成果が出ている。最近では、大手企業の記念祭で多額の特注をいただいた。株価の下げは日経ダウに連動した。その後は日経ダウは下げ続けたが300円をキープしている。6円配当は維持する。」とスクリーンに株価推移を写して説明した。

 「2011年に創業80周年を迎える。贈り物がキーワードである。女性が中心。年齢層も幅広い。当社のマークを大事にする。長期的に考え、コツコツと仕事を続けたい。」と社長は、質疑応答を終えた。ささやか1000株の株主だが、地元企業の頑張りに期待して、会場を後にした。(了)


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悪材料の中、NYダウ70ドル上げる(学校で教えてくれない経済学)

2009-04-24 09:20:24 | 経済学
 今朝の神戸の日の出の時間を調べたところ午前5時17分と出ていた。札幌はどうかとインターネットで見ると午前4時39分、那覇は5時58分と出ていた。同じ日本でもこれほど違う。言葉も違う。習慣も違う。それぞれの顔も違う。違うからこそが味がある。

 毎々紹介しているNHK・BS「おはよう世界」はすぐれ物の番組の一つであると思っている。世界がそれぞれ違うことを短時間の間に手際よく教えてくれるからだ。もちろんそれぞれの国が、これ見よがしに報道する面があることを承知の上で見る必要があるが、日本との違いがよくわかる。

 違いという点でいえば、昨晩さる会合で、30数年前ごろは、日本の新聞でもそれぞれ特徴があったと知人が話していた。赤旗、朝日、読売、毎日、産経の話が出た。当時は、それぞれがそれなりにかなりはっきりと差を出していた。最近はテレビ同様、各紙の特徴が薄まり、かつ、読み応えのある記事が急速に減ってきていると話していた。

 今朝の「おはよう世界」紹介のロシア国営テレビの放送で、「アフガニスタンでタリバン勢力が首都イスラマバードから100キロのところまで迫っている。アメリカはタリバン壊滅作戦を取ると言っている。アメリカに対する不満が高まっている」と紹介していた。

 そのニュースの中で、「アメリカはなぜ、わざわざアフガニスタンまで戦争にやってきているのかわからない。自分の国の経済危機の解決に専念べきだ。」とタリバンの首領が話す様子を流していた。アメリカがアフガニスタンに深入りするとロシアの二の舞になると言わんばかりだった。面白がってばかりではおれないが、アフガニスタンでにえ湯を飲まされたロシアならではの視点であろう。

 今朝の日本のニュースでは、3月決決算で日本の金融機関が大幅の赤字を計上していることが目立った。みずほが5,800億円、三井住友が3,900億円、三菱東京UFJが合併後初の赤字、野村が7,000億円、農林中央金庫が6,000億円と並んでいた。貸倒れ引当金の増加と株価値下がりなどが背景にあると解説している。庶民感覚からは程遠い赤字決算の内容だった。

 アメリカでは19の金融機関が受けている「ストレステスト」が来月初めにも公表される。今朝のNY株式市場では、取引終了間際に金融株が値上がりしたことで、NYダウは前日比70ドル高、7,957ドルで取引を終了した。ナスダックは6ポイント高の1,652ポイントだった。ただ、上がる株下がる株、決算の良い企業あり、悪い企業あり。まちまちの動きで、今朝のNYダウがなぜ値上がりしたのかピンとこないという意見も出ていた。

 「おはよう世界」が紹介するブルームバーグによれば、「ストレステスト結果が表に出ればその分透明性が出てくる。」として金融株が買われたと解説していた。番組のゲストに呼ばれたファンドマネジャーは、「アメリカのカード会社は不良債権を抱えていない。アメリカ人のカード利用頻度は落ちていない。」と強気の見方を紹介していた。

 今朝のWSJ紙は、引けにかけてのNYダウ反発は金融株がリ―ドしたと指摘した。アメリカンエキスプレスは、3月決算で59%減益を発表した。しかし、同社の株価は7・9%値上がりした。バンクオブアメリカ6.8%、JPモルガン4.1%それぞれ値上がりしたと紹介していた。

 NY外国為替市場では、ドル、ユーロが対円で買い戻され、1ドル=98.06円前後、1ユーロ=128.83円前後とまちまちだった。NY原油(WTI)相場は、バレル77セント高の45.62ドルで取引された。NY金先物相場は、前日比14ドル上げ905ドルへ久しぶりに900ドル台に乗せた。

 今朝の「おはよう世界」で付け加えたい番組がある。スペインテレビによると、スペインでは、結婚式の売り上げは2%減っているが、ウエデイングドレスの売り上げは減っていない。これはスペインだけではない。アメリカでもアラブでも同じ傾向がみられると紹介していた。

 料理など諸経費は節約する。しかし、ウエディングドレスにはお金を惜しまない。女心を垣間見る思いがした。日本の男性にはユーモアのセンスが欠けるとよく指摘される。それに加えて、今少し、女ごころに気配りすれば、景気回復にも力となると思うが、思い過ごしであろうか。(了)

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米金融株株安がリード、信用不安消えず、NYダウ82ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2009-04-23 08:33:48 | 経済学
経済の世界における原油、為替、金利は、人間の体でいえば、体温、脈拍、血圧のように、健康状態を診断するにあたって、基本的な3点セットだと常々思っている。

 サブプライムローン問題に端を発して問題化した世界の金融危機は、欧米はじめ世界の中央銀行が、金利をゼロに下げ、量的金融緩和との併せ技で、多少、経済に落ち着きがみられる。ところが、日本はじめ欧米がペーパーマネーを乱発するから、自然の成り行きとして、紙幣乱発の通貨は値下がり方向に動くという見方で現実の相場は動いていくとの見方が多い。

景気が悪くなると全ての需要が減る。物の値段は基本的には需要と供給の関係で決まる。世界金融危機を契機として、需要が減り、在庫が増えるから、原油相場がピークの1/3の水準まで値下がりした。原油相場は、一時バレル32ドル台まで値下がりしたあと現在48ドル前後で、なんとか踏み留まっているかに見受けられる。

日本では原油がバレル147ドルまで値上がりし、ガソリンがリッター200円目前になるとマスコミを先頭に国民総出で騒ぐ。ところが原油が現在のようにバレル48ドル前後になり、ガソリンもリッター115円前後で落ち着くと話題にならない。

ガソリンはリッター115円になったが、これは円相場が1ドル=100円近くまで売られた結果である。この先ドルが売られ、ドル建ての原油相場が安定すれば再びリッター100円近辺まで値下がりするだろう。ところが円高の恩恵で、ガソリンが下がり始めると喜ばない。むしろ、デフレ再来だと不安がる。

マスコミも独自の見解を展開することはまずやらない。読者が「なぜおまえのところは他と同じ記事を載せないのか」と新聞社に怒鳴りこんで来るひとが結構多いと聞いた。ひとそれぞれ顔が違う。身も心も違う。にもかかわらず日本人は同じでないとなぜか落ちつかない人が多い。

日本人は小学校のときからひとが赤のランドセルを持っていると赤だという。自分は黄色にするという子供は極めて珍しい。「ユニーク」ということばは褒め言葉だが、日本では変わり者だと軽蔑の対象になる。違ったことをクラスで言いだそうものなら徹底していじめの対象にされる。

たまたまだと言われそうだが、いま正に、原油問題を取り上げた雑誌がある。時々紹介している二ユーズウイーク日本版である。いま駅の売店に並んでいる。この雑誌は一般誌だが、サブプライムローンで世界が金融危機に陥って以来、特に経済について、印象的な記事を連発している。

「原油がもっと安くなり続ける理由」と題して、「長期的な視野に立って歴史をひもとけば、原油などの商品価格は一貫して下落している」と、4月29日付けのニューズウイーク日本版で、ルチル・シャルマ氏(モルガンスタンレー・インベストメント・マネジメントの新興市場責任者)の記事を掲載している。

一方、同誌は、「原油価格はまだ上がる」と題して、「今後20年で儲けたいならコモディティーに投資せよー大物投資家ジム・ロジャーズが強気相場を主張する理由」について、インタビュー記事を紹介している。なかなか面白い。

ルチル・シャルマ氏は、「200年間、テクノロジーの進歩や採掘方法のお陰で下落している。一時的な反発はあっても下落を続ける。」、「需要は価格を反映する。」、「見当はずれの上げ相場。」、「中国の影響は過大評価。」、「今は長い下り坂の入り口」と「いずれ値上がりするという大方の見方は間違っている」と指摘している。

これに反して、ジム・ロジャース氏は、「重要なのは急落後の時期を利用して儲けることだ。」、「世界中の中央銀行が史上初めて同時に紙幣を増刷している。」、「中国経済は米経済に比べたらちっぽけなものだ。」、「ウオール街は傍流になる。いまは金貸しが世の中を動かす時代でない。」「いまは現金だって紙くず同然になりうる。」、「私が中国の中央銀行の総裁だったら、原油と小麦と亜鉛を買う。彼らも実際そうしている」とルチル・シャルマ氏の見方を全く受け入れようとしない。

NHK・BS「おはよう世界」が伝えるブルームバーグニュースによれば、4月22日のNYダウは、引け前20分で下げ、前日比82ドル安、7,886ドルで取引を終了した。金融株が下げをリードした。貸倒引当金を積み増す銀行が多い。信用不安が根強く残っていると解説していた。原油相場は今のNY市場では主役でないのであろう。コメントに出なかった。米銀行にスポットが当たっている。

IMFが2009年のGDP見通しを日本は当初のマイナス5.8%をマイナス6.2%へ、米国マイナス2.8%、ユーロ圏マイナス4.2%とそれぞれ下方修正した。足元の景気は厳しいことを裏付けた。(了)

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ガイトナー発言好感、NYダウ127ドル高(学校で教えてくれない経済学)

2009-04-22 09:08:22 | 経済学
 NY外国為替市場は、4月21日、前日売られたユーロと英ポンドが買い直され、ユーロは、1ユーロ=1.2971ドル、1英ポンド=1.4650ドルで取引された。日本円は、1ドル=98.53円、1ユーロ=127.77円と対ドル、対ユーロともに、値下がりした。

 今朝のWSJ紙によると、ユーロ反発は、米国株が前日の急落から落ち着きをとりもどしたことと、リスクの高いとされる通貨、例えばカナダドルなどに買い戻しがはいったためと解説していた。

 昨日、ユーロはECBトリシェ総裁発言を材料に売られた。今朝は、ガイトナー米財務長官の議会証言で米銀行株が反発、それにつれてNYダウが前日比127ドル高、7,969ドルへ前日の下げのほぼ半分を埋めたことがユーロ買い戻しに貢献した。

ガイトナーは、「米国の銀行は必要とする以上の資金を保有している」と証言した。要するにアメリカの銀行は問題ないと言ったことになる。ただ、今朝のNHK・BS「おはよう世界」が紹介していたブルームバーグニュースでは「ガイトナー発言がいつまで投資家をひきとめられるか」と指摘した。

同時にブルームバーグは、「次々発表される過去の悪い決算はどうでもいい。2009年に景気は持ち直すのかどうかというコメントをみんなが待ち望んでいるのだ」というゲストの意見も紹介していた。今朝のNY株式市場の反発は将来に対する投資家の期待感の表れかもしれない。

ユーロや英ポンドの反発は、米国景気の行方をヨーロッパ人自身が、自分の問題以上に、固唾を飲んで見守っていることの表れである。米国経済が良くならない限りヨ―ロッパも良くならない。

特に今回のサブプライムローン問題に端を発した世界危機に巻き添えを食ったという思いが強い英国人には米国景気の回復への願望は想像以上のようだ。それが英ポンド相場に素直に反映する。

しかし、日本で為替の話をすると、「また、為替相場か」という受け止め方である。為替相場には、それぞれの国の思いが表れると常々思っている。日本人は、自分の血圧や体温には神経質なくらい反応する。ところが、円相場の話になると、いずれ自分自身の日々の生活に降りかかってくる身近な問題にもかかわらず毛嫌いする。

この日ユーロが反発した背景にドイツの景況感指数であるZEWが、3月のマイナス3.5ポイントから4月に予測の3.5ポイントをも上回り13.0と改善したことだと今朝のWSJ紙は解説していた。ユーロは、昨日、1ユーロ=126.10円、1ユーロ=1.2888ドルまで値下がりしていた。

ユーロ相場はドイツ景気の行方が大いに影響する。NYダウは米銀行株が大いに影響する。体でいえば肝臓とか腎臓と言うより心臓に値する。為替相場や株式相場はそれぞれの国の健康のバロメーターであるとの認識が日本ほど希薄な国はないであろう。

今朝「朝日ニュースター」の番組で、西部邁氏と佐高信氏が「夏目漱石と日本文学」について語り合っていたのを興味深く聞いた。

その中で西部邁氏はウイットとユーモアは違うと話していた。漱石はイギリス留学の影響か大人のユーモアを心得たひとだと評していた。ユーモアには謙遜の美学がある。ウイットは高みから見おろすところがあるなどと話していた。

佐高信氏は経済人との付き合いが多い。あるバ―で佐高氏含め友達3人で部屋の隅で談笑していた。会社のえらいさんを囲んだ集団のひとりが「おい、おまえ、次に歌え」と突然言ってきたのにはたまげた、と。新幹線の中での話として、社長が席を立つと社長の悪口、専務が立つと専務の悪口が出ると日本のサラリーマン社会の実態の一端をユーモアたっぷりに紹介していた。

大いに脱線した。経済学はむつかしいと言う人は多い。経済とは日々の生活の一人一人の生き様にすぎない。いますこし日本人にユーモアのセンスがあれば日本の景気も良くなると確信する。(了)

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米金融株売りが相場をリード、NYダウ289ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2009-04-21 15:35:41 | 経済学
 4月20日付け読売朝刊「編集手帳」というコラムに、勝海舟が、福沢諭吉を「相場などをして金をもうけることが好きな男さ」と揶揄した。同じコラムに、映画「ライムライト」の中に出てくるチヤップリンのセリフにある「人生には三つのものがあればいい。希望と勇気と少しのお金」を紹介していた。

 日本ではお金の話をすると嫌がる人が多い。ところが、お金にまつわるトラブルで命を落とす人が後をたたない。近くをJR神戸線が走っている。大げさな言い方をすれば、人身事故が毎日のように起こっている。障害者団体に対する郵便優遇制度を悪用して多額のお金を手に入れた人もいる。

 今朝のNHK・BS「おはよう世界」を見ていたら、フランス国営テレビ番組で、ヨーロッパ経済の現状と見通しについてかなり詳しく報道していた。かすかな朗報が伝えられる一方で、景気は来年になるまで回復しないとの冷めた見方と併せて紹介していた。

日本ではアメリカの話は比較的よく取り上げられる。ところがヨーロッパの話となると関心が薄い。欧州の経済の実態はアメリカより深刻だと言うことが余り正確に伝えられていない。「おはよう世界」の肩を持つつもりはないが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン含めて分け隔てなく報道している。

ヨーロッパのニュースということでは、ECBのトリシェ総裁が日本に来ていて、セミナーで講演、その後も複数の日本のメディアとのインタービューを受けた話が今朝のWSJ紙に出ていた。普通の家庭なら複数の新聞を読める人は極めてまれである。そういう意味でWSJ紙は助かる。

トリシエ総裁は、5月7日開催予定のECBの会合で詳細説明するとして、追加利下げがあることと「スタンダードでない」措置をとるとして、前例のない量的緩和措置をとることを、かなりはっきりと発言した。

それをきっかけに、NY外国為替市場では、ユーロが対ドル、対円共に値下がりし、対ドルで、1ユーロ=1.28ドル台、対円では、1ユーロ=126円台で取引された。このままユーロが下げ続けるのか。先読みして一気に下げたのか、5月の会合のあとでは戻るのか、正直、予測がつかない。

日本円は対ドルでも買われ、1ドル=97.97円前後で取引された。ドルはこのところアメリカ株が上昇トレンドのなか買われていた。この日のNY株式市場では、NYダウが前日比289ドル、3.5%急落、7,841ドルと再び8,000ドルの大台を割ったが、対円以外ではドル買い需要は衰えていない。

日本では自国通貨が買われるとマスコミはじめ悲観的な報道を流す。輸出で飯を食っている企業が円高で収益がさらに圧迫されると円高をどうしてもマイナス材料としてとらえるのであろう。日本は資源の99%を海外から輸入している。

海外から原材料を安く仕入れることが出来れば、中間業者や各種機関が取り込まないことが大前提だが、個人消費にプラスになる。日本でもGDP(国民総生産)の60%は個人消費である。個人の懐勘定が少しでも改善すれば景気にも間違いなくプラスになる。にもかかわらず喜ばない。

脱線した。今朝のNYダウの急落は、バンクオブアメリカ株が24%安、シティー19%安、アメリカンエキスプレス13%、JPモルガン10%安など金融株の値下がりがリードしたとWSJ紙は解説している。この日バンカメは今年1~3月期黒字転換したと発表した。ところが株価は急落した。

なぜバンカメは売られたのか。同時に発表した将来の焦げ付きに備えた貸倒れ引当金を約134億ドル積み増ししたことが嫌気されたためである。投資家は、不良資産がこの先次々出てくると読んだ。このところ金融株は、金融危機は回復に向かうとして、上げて来ていた。とりあえず身軽になっておこうと金融株から投資家は、「逃げた」のであろう。

ヨーロッパ経済は、中欧、東欧の金融不安もあり、実態経済は米国より悪い。にもかかわらず、ユーロは、1ユーロ=1.34ドル台まで買われていた。それがトリシェ発言をきっかに一気に売り気配に転じた。米金融株も同じで、米国の金融機関の実態は何もよくなっていない。体の健康と同じでマーケットの自浄作用と思われる。

「おはよう世界」が伝えたフランステレビで、「ツバメが1羽戻ってきたからと言って、春がきたわけでない」とヨーロッパのことわざを紹介していた。確かに一部に明るさは見られるが、欧州経済の本復には時間がかかりそうだ。トリシェ総裁の発言を契機としたユーロ売りが教えている。(了)

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金利差材料にユーロ売り、ブラジルリアル,ルーブル買われる(学校で教えてくれない経済学)

2009-04-20 07:34:33 | 経済学
先週のNY外国為替市場で微妙な変化が出ている。ユーロがここ一ケ月で対ドルで最安値の1ユーロ=1.3035ドルで取引された。4月18日付けのWSJ紙によれば、ECBがノン・スタンダード(規格外の)金融政策を余儀なくされており、追加利下げを含めて不透明感が一気に高まってきたからであるとWSJの二人の記者が書いた。

東京で開かれたセミナーで、ECBトリシエE総裁は「ユーロが値下がりするとの見方は、ヨーロッパの実態を反映していない」と語った。その一方で、「強いドル政策を堅持する米国政府を大いに評価している。」との発言のあとユーロが対ドルで売られた。

トリシエ総裁は、「2009年は極めて難しい年である。そのことだけははっきり言える。状況は加速度的に悪化している。原油と商品相場の下落により、一部には非インフレ的な動きさえみられる。回復は2010年のある時期までずれ込むだろう。」と語った。

ECBの「規格外の」金融政策には、「量的緩和策」の導入が含まれるとWSJ紙は書いた。EU内部で金融政策に関する見方が大きく分かれている。EUの中でまとまっていない。そのことがユーロ先安を後押ししているとWSJ紙は書いた。

ユーロ売りにつられるように、豪ドル、カナダドルが利益確定の売りを誘い、軒並み売られたとWSJ紙は報じている。市場参加者の一部は、いずれの通貨も、3月はじめから一ケ月一貫して上げて来た。上げ過ぎのとがめが出たと指摘している。

1ユーロ=1.3222ドルから一時、ユーロ=1.3015ドルまでユーロが売られた。1米ドル=1.1985カナダドルをピークに、1ドル=1.2093カナダドルまで売られた。一方、1豪ドル=73.21米セントから1豪ドル=71.91米セントまで値下がりした。

ユーロの値下がりは、中国がここ20年で最低の経済成長率を記録したとの二ュ-スを受けて、下げ幅を拡大したとWSJ紙は解説している。今世界経済は中国頼みである。欧州経済は米国より悪い。ユーロは対円でも値下がりし、一時、1ユーロ=129.36円まで値下がりした。

ユーロ、豪ドル、カナダドルに売られ易い地合いが生まれた一方で、リスクはあるが、利回りの高い通貨に資金が移動している。WSJ紙は、それは新手のキャリートレードであると解説した。ゼロ金利の通貨を売って、金利の高いインドネシアルピア、ブラジルレアル、ロシアルーブルをヘッジファンドが買い始めた。

インドネシア、ブラジル、ロシアの政策金利はその他通貨と比べて相対的に高い。売られ過ぎの反動から、インドネシアルピアは、ここ一ケ月で対ドルで12%以上値上がりした。

ロシア通貨は昨年末から一貫して売られた。中欧、東欧景気悪化の象徴的存在として、通貨安、株安とロシアは国ごと売られていた印象が強い。ロシア経済はすこぶる単純である。あくまで原油相場次第である。ロシアルーブルの反発は原油相場の底入れをシグナルしているかもしれない。

40年近い前の古い話である。日本の繊維は、韓国、台湾、香港4ケ国が同じ箱に入れられて米国に輸入規制された。全体を箱詰めされたあと、個別の鳥籠に入れられた。ある鳥(品目)が一定比率以上超えて飛ぶ(輸出)と自動的にトリガ―(引き金)が発動、米国に撃ち落とされた。

水鳥も自由に飛んでいるときは飛距離も出た。箱の中での生活が長くなると飛べる水鳥(品目)も飛べなくなる。まず罠をかけ箱詰めする。狩猟民族の常套手段である。日本の繊維業界も過去の話だと無視しないで、米国に規制された苦い経験を、若い世代にも是非、語り継いでいただきたい。

為替の世界でも、乱暴だと叱られそうだが、それぞれの通貨を鳥だと思えばいい。今朝のWSJ紙の為替の話も所詮は水鳥の話である。水鳥は基本的には安全志向である。利回りがより高い分、安全な餌場だと水鳥は考える。ユーロ、豪ドル、カナダドルからインドネシア、ブラジル、ロシアそれぞれの通貨へ一時避難を開始したのであろう。仮に危険と察知すれば、断りなく飛び去る。

日本人は難しく話されると有難がたがる人が多い。物事は単純には運ばない。しかし、分かりにくい話は、概して、中身が乏しい。週末、為替の世界に見られた微妙な変化に注目したい。(了)

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